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道のりは長い
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その時、大きな地響きがしてまともに立っていられなくなった。
下からなにかが来るのか?
すぐに地響きは小さくなっていったが、俺と同じく全員が立ってられなくて膝を付いていた。
ユリウスは舌打ちして「またかよ」と言っていた。
前にもこんな事があったのか?…地下といえば神がいる場所…カイウスもそこにいるの?
指輪とイヤーカフが答えを合わせるように教えてくれた気がした。
もう一度地響きが鳴り、立ち上がろうとしたユリウスは尻餅を付いた。
「おい!様子を見てこい!」
「で、でもこの前様子を見た奴がまだ帰ってこな…」
「うるさい!俺に殺されたくなかったらさっさと行け!」
ユリウスの声が響いて、兵士は泣きそうな顔をしてなかなか行かない。
どちらを取っても死ぬ事になるだろうから、行きたくはないだろう。
ユリウスに逆らってでも、地下の方が怖いって事なんだろう。
舌打ちしたユリウスは俺の方を見ていた。
地下にカイウスがいるなら、俺が行く…そう言いたげな顔をするがユリウスは目を逸らした。
俺に背中を向けていて、何処かに行こうとしていた。
ユリウスの横にいる兵士に声を掛けていた。
「おい、コイツをローベルト卿のところに連れて行け」
「…よろしいのですか?」
「ならお前が進んで地下に行くか?」
「い、いえ!それは…」
「地下はローベルト卿に認められた兵士しか立ち入る事が出来ない、人柱くらいにはなれるだろ……ただし、どんな目に遭っても逃げ出すようならお前のその手足を切り取って、煩わしい口を縫い付けてやる」
ユリウスは本気ですると、俺に鋭い瞳を向けて兵士数人を引き連れて行ってしまった。
残された騎士が二人、俺に近付いてきた。
とりあえず、ローベルト卿に会えるようになった。
まだ油断ならない、ユリウスと違ってあの人は簡単にはいかない。
二階に上がると、不自然な立ち入り禁止の場所があった。
そういえば、ハイドレイが爆発があったと言っていた。
きっとここが爆発の場所なんだろうな、危ないから立ち入り禁止にしているみたいだ。
兵士が立っていて、よく見えないが…あまりウロウロとしていて怪しまれてローベルト卿に会わせてくれなくなるかもしれない。
それにこの爆発はカイウスがやったものではないから、カイウスが元に戻る手がかりはない。
今はローベルト卿のところに向かう事にした。
扉の前で足を止めると、兵士がノックを数回した。
「ライム様がローベルト卿にお会いしたいとおっしゃっております」
兵士がそう言うと、扉が開いて部屋から出てきた。
当然ローベルト卿ではなく、秘書の男が立っていた。
秘書は俺の方を一瞬だけ見ていて冷たい声で「呼んだ覚えはない」と言っていた。
確かに今までは呼ばれて行く事が多かったから変に思うよな。
それに俺は今屋敷にいない事になってるんだし…
兵士はユリウスに言われた事をそのまま秘書に話していた。
人柱は何人居ても足りないくらいだから、常に補充が必要になる。
嫌な言い方だが、それで納得してくれるならいい。
騎士は俺が逃げた事を言っていて、そうだろうなと思った。
俺も人任せに出来ない、アピールしないとローベルト卿に会わせてもらえない。
「俺は他の人と違う、カイウスを止める力がある」
「……カイウス?何故屋敷から離れていた貴方が知ってるんですか、ライム様」
失言だった…カイウスがいる事は屋敷にいた人達しか知らない。
兵士の方を睨んでいて、兵士は慌てて首を振っていた。
ローベルト家の秘密を知ったから、いくら血が繋がっても屋敷から離れた俺を生かしておけないだろう。
秘書は腰に手を持っていき、なにかしようとしていて後ずさった。
俺は行く場所がなくて、錠剤を拾って飲んだ負け犬だと兵士は最初に説明していたが、それだけだと説明がつかない。
黙る俺を見て、秘書はさらに眉を寄せていた。
「それに、屋敷までどうやって来たんですか?門の前で不審者は追い出すように言ってある筈です」
その言葉に答える事が出来ずに、沈黙するしかなかった。
ハイドレイの事を言える訳がない、適当な人も言えない。
言ったらローベルト家の奴らは、その人を殺すかもしれない。
俺は一人で壁をよじ登って侵入したと口にした。
あんな高い壁をよじ登るのは普通に時間が掛かる。
その前に外を見回りしている兵士に見つかって終わりだ。
壁の向こう側には兵士が沢山いるし、取り押さえられて誰にも会えず牢獄に入れられてしまう。
カイウスのように飛べないから、俺はハイドレイに頼んだ。
協力者がいた方がスムーズに、怪しまれずに行けるからな。
でも、侵入したと言うくらいしか、他の人を巻き込まない方法が分からない。
「兵士が見回りしていた筈では?」
「それは、痺れさせたんです!」
「痺れ…?」
「俺の力は雷だから」
そう言ってイヤーカフを見せたら、秘書は眉を寄せていた。
これ以上はもう何もない、これでダメだったら無理矢理にでもローベルト卿のところに突撃するしかない。
この秘書も薬を飲んでいたのか、吐いた息が冷気のように冷たかった。
チラッと開かれたドアの向こう側を見ると、奥の机に向かっていたローベルト卿と目が合った。
すぐに目線を逸らされてしまい、俺はローベルト卿に向かって叫んだ。
「俺は!もう逃げない!向き合うって決めたんだ!昔のような弱い自分じゃない!」
これはローベルト家に言ったわけではない。
ここの地下にいるカイウスに届いてほしかった。
それを知らないローベルト卿は、俺の方を向いた。
勘違いさせるように言ったから、これでローベルト家に忠誠を誓ったと思ってくれたらいい。
嘘でも、ローベルト卿に忠誠は誓いたくない。
俺が心から愛して向き合いたいって思うのは、カイウスだけだから。
「そんな事を言っても…ローベルト卿は」
「聞いてやろう、入れ」
「ローベルト卿!?」
部屋からローベルト卿の声が聞こえて、ローベルト卿に注目を集める。
下からなにかが来るのか?
すぐに地響きは小さくなっていったが、俺と同じく全員が立ってられなくて膝を付いていた。
ユリウスは舌打ちして「またかよ」と言っていた。
前にもこんな事があったのか?…地下といえば神がいる場所…カイウスもそこにいるの?
指輪とイヤーカフが答えを合わせるように教えてくれた気がした。
もう一度地響きが鳴り、立ち上がろうとしたユリウスは尻餅を付いた。
「おい!様子を見てこい!」
「で、でもこの前様子を見た奴がまだ帰ってこな…」
「うるさい!俺に殺されたくなかったらさっさと行け!」
ユリウスの声が響いて、兵士は泣きそうな顔をしてなかなか行かない。
どちらを取っても死ぬ事になるだろうから、行きたくはないだろう。
ユリウスに逆らってでも、地下の方が怖いって事なんだろう。
舌打ちしたユリウスは俺の方を見ていた。
地下にカイウスがいるなら、俺が行く…そう言いたげな顔をするがユリウスは目を逸らした。
俺に背中を向けていて、何処かに行こうとしていた。
ユリウスの横にいる兵士に声を掛けていた。
「おい、コイツをローベルト卿のところに連れて行け」
「…よろしいのですか?」
「ならお前が進んで地下に行くか?」
「い、いえ!それは…」
「地下はローベルト卿に認められた兵士しか立ち入る事が出来ない、人柱くらいにはなれるだろ……ただし、どんな目に遭っても逃げ出すようならお前のその手足を切り取って、煩わしい口を縫い付けてやる」
ユリウスは本気ですると、俺に鋭い瞳を向けて兵士数人を引き連れて行ってしまった。
残された騎士が二人、俺に近付いてきた。
とりあえず、ローベルト卿に会えるようになった。
まだ油断ならない、ユリウスと違ってあの人は簡単にはいかない。
二階に上がると、不自然な立ち入り禁止の場所があった。
そういえば、ハイドレイが爆発があったと言っていた。
きっとここが爆発の場所なんだろうな、危ないから立ち入り禁止にしているみたいだ。
兵士が立っていて、よく見えないが…あまりウロウロとしていて怪しまれてローベルト卿に会わせてくれなくなるかもしれない。
それにこの爆発はカイウスがやったものではないから、カイウスが元に戻る手がかりはない。
今はローベルト卿のところに向かう事にした。
扉の前で足を止めると、兵士がノックを数回した。
「ライム様がローベルト卿にお会いしたいとおっしゃっております」
兵士がそう言うと、扉が開いて部屋から出てきた。
当然ローベルト卿ではなく、秘書の男が立っていた。
秘書は俺の方を一瞬だけ見ていて冷たい声で「呼んだ覚えはない」と言っていた。
確かに今までは呼ばれて行く事が多かったから変に思うよな。
それに俺は今屋敷にいない事になってるんだし…
兵士はユリウスに言われた事をそのまま秘書に話していた。
人柱は何人居ても足りないくらいだから、常に補充が必要になる。
嫌な言い方だが、それで納得してくれるならいい。
騎士は俺が逃げた事を言っていて、そうだろうなと思った。
俺も人任せに出来ない、アピールしないとローベルト卿に会わせてもらえない。
「俺は他の人と違う、カイウスを止める力がある」
「……カイウス?何故屋敷から離れていた貴方が知ってるんですか、ライム様」
失言だった…カイウスがいる事は屋敷にいた人達しか知らない。
兵士の方を睨んでいて、兵士は慌てて首を振っていた。
ローベルト家の秘密を知ったから、いくら血が繋がっても屋敷から離れた俺を生かしておけないだろう。
秘書は腰に手を持っていき、なにかしようとしていて後ずさった。
俺は行く場所がなくて、錠剤を拾って飲んだ負け犬だと兵士は最初に説明していたが、それだけだと説明がつかない。
黙る俺を見て、秘書はさらに眉を寄せていた。
「それに、屋敷までどうやって来たんですか?門の前で不審者は追い出すように言ってある筈です」
その言葉に答える事が出来ずに、沈黙するしかなかった。
ハイドレイの事を言える訳がない、適当な人も言えない。
言ったらローベルト家の奴らは、その人を殺すかもしれない。
俺は一人で壁をよじ登って侵入したと口にした。
あんな高い壁をよじ登るのは普通に時間が掛かる。
その前に外を見回りしている兵士に見つかって終わりだ。
壁の向こう側には兵士が沢山いるし、取り押さえられて誰にも会えず牢獄に入れられてしまう。
カイウスのように飛べないから、俺はハイドレイに頼んだ。
協力者がいた方がスムーズに、怪しまれずに行けるからな。
でも、侵入したと言うくらいしか、他の人を巻き込まない方法が分からない。
「兵士が見回りしていた筈では?」
「それは、痺れさせたんです!」
「痺れ…?」
「俺の力は雷だから」
そう言ってイヤーカフを見せたら、秘書は眉を寄せていた。
これ以上はもう何もない、これでダメだったら無理矢理にでもローベルト卿のところに突撃するしかない。
この秘書も薬を飲んでいたのか、吐いた息が冷気のように冷たかった。
チラッと開かれたドアの向こう側を見ると、奥の机に向かっていたローベルト卿と目が合った。
すぐに目線を逸らされてしまい、俺はローベルト卿に向かって叫んだ。
「俺は!もう逃げない!向き合うって決めたんだ!昔のような弱い自分じゃない!」
これはローベルト家に言ったわけではない。
ここの地下にいるカイウスに届いてほしかった。
それを知らないローベルト卿は、俺の方を向いた。
勘違いさせるように言ったから、これでローベルト家に忠誠を誓ったと思ってくれたらいい。
嘘でも、ローベルト卿に忠誠は誓いたくない。
俺が心から愛して向き合いたいって思うのは、カイウスだけだから。
「そんな事を言っても…ローベルト卿は」
「聞いてやろう、入れ」
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