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婚約者
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「行くぞ」
「…あ、うん」
今は会いたくなかったが、有無を言わせない圧を感じて付いていく。
ハイドレイが男になにか言おうとしてくれたが、ハイドレイになにかあったら困るから止めた。
俺の事は俺でどうにかするから、だから心配しないで。
ハイドレイと別れて、男と一緒に俺の部屋に向かう。
俺の部屋は二階の上の屋根裏部屋になっていた。
またここか、懐かしいけど苦い思い出しかない。
「俺の事、なんて言ってたんですか」
「お前の力はローベルト家に必要だ」
「……そうですか」
「指を切り落として指輪を手に入れればお前に用はないが、指輪に触れられないならお前を使うしかない」
随分とはっきりと言うんだな、隠されても困るけど…
男は俺に任務以外の外出は禁止だと言っていた。
他の兵士は外に実家があったり、普通の仕事でカモフラージュするために外出する。
それ以外の兵士は皆待機していて、俺もその一人だ。
いつものように、俺を監禁する理由ではない。
俺を本当に兵士と認めたって事なのか?駒として…
「食事は皆と食うか一人で食うか勝手に選べ」
「……分かりました」
男は部屋から出ようとしたから、大切な話を思い出して引き止めた。
こういう話は長引くのは良くない、ちゃんと話さないと…
そういえば、名前知らないな。
別にいっか、どうせ名前知っても呼ばないし…
いくら潜入する時ための仲間とはいえ、俺とカイウスにした事はずっと覚えている。
油断させるためだと言われたって仲良くなんてしない。
「婚約の話なんだけど」
「……」
「なしにしたい、貴方だって男と恋人なんて嫌だろ?」
ローベルト卿が気になるから嫌だと言い出せないなら俺が代わりに言ってもいい。
俺も嫌だからそれくらいなら喜んでするよ。
政略結婚が何の政略結婚なのか分からないが、怒られるほどじゃないと思う…多分。
男は俺の顔をジッと見ているから居心地が悪くて、目線を逸らす。
こんな時に黙られると、いろいろと困る。
普通に「俺も嫌だった」でいいのに、いい言葉を探しているようには見えない…気遣いの感情がないって自分で言ってたし…
もうこれは勝手にローベルト卿に言っていいって事でいいかな。
「あの…俺…」
「ジーク」
「……え?」
「俺の名前だ、婚約者ならそれくらい覚えておけ」
そう言って、呆然とする俺を置いてジークは行ってしまった。
もしかして、俺の話…通じてなかったのか?
こうなったらローベルト卿に直接聞くしかないとドアを開けた。
しかし、ローベルト卿の部屋の前で入り口にいた兵士に止められた。
今から大事な話をするから、お願いだから通してくれ!
そう思っても、俺の話を聞かずに機械のように同じ事を繰り返す。
「許可がない者はたとえライム様でも通すわけにはいきません」
「…あ、うん」
今は会いたくなかったが、有無を言わせない圧を感じて付いていく。
ハイドレイが男になにか言おうとしてくれたが、ハイドレイになにかあったら困るから止めた。
俺の事は俺でどうにかするから、だから心配しないで。
ハイドレイと別れて、男と一緒に俺の部屋に向かう。
俺の部屋は二階の上の屋根裏部屋になっていた。
またここか、懐かしいけど苦い思い出しかない。
「俺の事、なんて言ってたんですか」
「お前の力はローベルト家に必要だ」
「……そうですか」
「指を切り落として指輪を手に入れればお前に用はないが、指輪に触れられないならお前を使うしかない」
随分とはっきりと言うんだな、隠されても困るけど…
男は俺に任務以外の外出は禁止だと言っていた。
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いつものように、俺を監禁する理由ではない。
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「食事は皆と食うか一人で食うか勝手に選べ」
「……分かりました」
男は部屋から出ようとしたから、大切な話を思い出して引き止めた。
こういう話は長引くのは良くない、ちゃんと話さないと…
そういえば、名前知らないな。
別にいっか、どうせ名前知っても呼ばないし…
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「……」
「なしにしたい、貴方だって男と恋人なんて嫌だろ?」
ローベルト卿が気になるから嫌だと言い出せないなら俺が代わりに言ってもいい。
俺も嫌だからそれくらいなら喜んでするよ。
政略結婚が何の政略結婚なのか分からないが、怒られるほどじゃないと思う…多分。
男は俺の顔をジッと見ているから居心地が悪くて、目線を逸らす。
こんな時に黙られると、いろいろと困る。
普通に「俺も嫌だった」でいいのに、いい言葉を探しているようには見えない…気遣いの感情がないって自分で言ってたし…
もうこれは勝手にローベルト卿に言っていいって事でいいかな。
「あの…俺…」
「ジーク」
「……え?」
「俺の名前だ、婚約者ならそれくらい覚えておけ」
そう言って、呆然とする俺を置いてジークは行ってしまった。
もしかして、俺の話…通じてなかったのか?
こうなったらローベルト卿に直接聞くしかないとドアを開けた。
しかし、ローベルト卿の部屋の前で入り口にいた兵士に止められた。
今から大事な話をするから、お願いだから通してくれ!
そう思っても、俺の話を聞かずに機械のように同じ事を繰り返す。
「許可がない者はたとえライム様でも通すわけにはいきません」
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