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脱出作戦
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俺が逃げ出さないようにか、腕を強く掴まれて引っ張られた。
俺が余計な事を言わないように口も塞がれている。
知らない人が見たら誘拐されているように見える。
ジークを言葉や行動でどうにかしようとしたが、先にジークによって塞がれてしまった。
今まで俺が何度か脱走しようとしたからジークも警戒している。
大勢集まっていたダンスホールには、誰もいなかった。
入り口付近は重装備した兵士がいたけど、ここには俺とジークしかいない。
もっと人がいたらどさくさに紛れる事が出来たんだけどな。
奥のステージまで向かい、ダンスホールの中を見渡せるように立った。
いつ神が来るか分からないけど、ここで待機しなければいけない。
神は俺達がなにかしているのをとっくに気付いているけど、何もしてこない。
足掻いているのを見て楽しんでいるんだろう。
俺は早くカイウスに会わないといけないのに…
ダンスホールに着いたら、いつ戦いが起きるか分からないから口と手は離してくれた。
ダンスホールに入ってからは、ジークを振り払っても入り口にも人がいるから来る前よりも逃げ出す事は困難だ。
とりあえず他の抜け道を探したいからジークにはここから出て行ってほしい。
「あの、さ…ここはいいから外の様子見てきた方が…」
「……」
ジークに提案してみるが、当たり前のように無視された。
俺の命令よりローベルト卿の命令なのは分かってるけど、だったら俺よりローベルト卿を守りに行けよ。
ダンスホールは入り口が一つしかない。
見た限り窓もない場所で、逃げ出すなら必ずジークにバレてしまう。
だったら、自然とダンスホールから出る必要がある。
なるべく戦いが起きる前にカイウスを見つけたい。
「あ、トイレ…」
「……」
「トイレしたいな…戦いが始まる前に、ね」
トイレなら生理現象だし、したくなっても怪しまれない。
そう思ったの、ジークは俺を凄く怪しんでいる。
ここにトイレはないし、こんなところでしたらジークも困るだろ?
トイレなんて一ミリもしたくはないが、ここから出るために嘘をついた。
嘘だとバレたら他に思いつかないから、チャンスはなくなる。
ジークは俺をジッと見ていて、目が泳がないようにジークを真っ直ぐ見つめた。
探るような鋭い眼差しで、冷や汗が流れる。
その冷や汗が我慢しているように見えたのか、ジークは小さなため息を吐いた。
そしてそのまま俺の腕を掴んで、引っ張りながら歩き出した。
腕の自由はやっぱりない、でも一つだけ自由になる時がある。
入り口の兵士に「どちらへ?」と聞かれたからジークはトイレだと一言言って俺を引きずりながら行った。
歩いている最中、ジークを呼び止める声が聞こえた。
兵士の一人がそこにいて、伝言を伝えていた。
「まだ、神が動き出していなくて…」
「ローベルト卿はなんて」
「近付いたら知らせると…」
会話をしている二人は俺の事は見えていない様子だった。
トイレに行っても、個室内まで入ってくるかもしれない。
今までのジークを見れば常識が通じないのは分かる。
今が逃げるチャンスかもしれない、幸い近くにはこの二人しかいない。
会話に夢中で、俺の腕の拘束もさっきより緩んでいる。
会話が終わる前に行動するために、ジークの脇腹を蹴った。
ジークにはダメージなんてないんだろうけど、腕を緩めるには十分だった。
ジークに再び掴まれる前に、腕を引いて走り出した。
外に出たい、カイウスはきっとあそこにいる筈だ。
後ろから二人の足音が聞こえる、ジークともう一人の兵士のだ。
一人増えても変わらない、ジークが二人になったらヤバいけど…
必死に頭の中で地図を思い出しながら曲がる。
すると、なにかにぶつかって俺の足が止まった。
目の前を見ると兵士の格好をした大男が立っていた。
尻餅を付いてしまい、起き上がらせるために手を差し伸ばしてきた。
気持ちはありがたいけど、今はそんな事をしてる場合ではない。
自分から起き上がる前に、視界が大きくぶれた。
追いついたジークに頭を殴られて、一瞬意識が飛んだ。
床に顔をぶつけて、顔を上げると白い床にポタポタと血が落ちた。
鼻血を出したけど、お構いなしでジークによって無理矢理起き上がらされて頬を殴られた。
ジクジクと頬が痛い、ジークに抵抗する隙を与えず殴られ続ける。
「さ、流石にそれ以上はマズイですジーク様…ローベルト卿が見たらなんて言うか」
「……これは躾だ、言っても分からないなら体で覚えさせる」
「そうは言っても、神と戦える唯一の切り札が弱っていては勝てるものも勝てません、ローベルト卿も神との戦い以外の原因で死ぬのはお許しになりませんよ」
兵士の言葉にジークは手を止めて俺から離れた。
やっとなくなったけど、少し動くだけで痛みが走る。
俺が余計な事を言わないように口も塞がれている。
知らない人が見たら誘拐されているように見える。
ジークを言葉や行動でどうにかしようとしたが、先にジークによって塞がれてしまった。
今まで俺が何度か脱走しようとしたからジークも警戒している。
大勢集まっていたダンスホールには、誰もいなかった。
入り口付近は重装備した兵士がいたけど、ここには俺とジークしかいない。
もっと人がいたらどさくさに紛れる事が出来たんだけどな。
奥のステージまで向かい、ダンスホールの中を見渡せるように立った。
いつ神が来るか分からないけど、ここで待機しなければいけない。
神は俺達がなにかしているのをとっくに気付いているけど、何もしてこない。
足掻いているのを見て楽しんでいるんだろう。
俺は早くカイウスに会わないといけないのに…
ダンスホールに着いたら、いつ戦いが起きるか分からないから口と手は離してくれた。
ダンスホールに入ってからは、ジークを振り払っても入り口にも人がいるから来る前よりも逃げ出す事は困難だ。
とりあえず他の抜け道を探したいからジークにはここから出て行ってほしい。
「あの、さ…ここはいいから外の様子見てきた方が…」
「……」
ジークに提案してみるが、当たり前のように無視された。
俺の命令よりローベルト卿の命令なのは分かってるけど、だったら俺よりローベルト卿を守りに行けよ。
ダンスホールは入り口が一つしかない。
見た限り窓もない場所で、逃げ出すなら必ずジークにバレてしまう。
だったら、自然とダンスホールから出る必要がある。
なるべく戦いが起きる前にカイウスを見つけたい。
「あ、トイレ…」
「……」
「トイレしたいな…戦いが始まる前に、ね」
トイレなら生理現象だし、したくなっても怪しまれない。
そう思ったの、ジークは俺を凄く怪しんでいる。
ここにトイレはないし、こんなところでしたらジークも困るだろ?
トイレなんて一ミリもしたくはないが、ここから出るために嘘をついた。
嘘だとバレたら他に思いつかないから、チャンスはなくなる。
ジークは俺をジッと見ていて、目が泳がないようにジークを真っ直ぐ見つめた。
探るような鋭い眼差しで、冷や汗が流れる。
その冷や汗が我慢しているように見えたのか、ジークは小さなため息を吐いた。
そしてそのまま俺の腕を掴んで、引っ張りながら歩き出した。
腕の自由はやっぱりない、でも一つだけ自由になる時がある。
入り口の兵士に「どちらへ?」と聞かれたからジークはトイレだと一言言って俺を引きずりながら行った。
歩いている最中、ジークを呼び止める声が聞こえた。
兵士の一人がそこにいて、伝言を伝えていた。
「まだ、神が動き出していなくて…」
「ローベルト卿はなんて」
「近付いたら知らせると…」
会話をしている二人は俺の事は見えていない様子だった。
トイレに行っても、個室内まで入ってくるかもしれない。
今までのジークを見れば常識が通じないのは分かる。
今が逃げるチャンスかもしれない、幸い近くにはこの二人しかいない。
会話に夢中で、俺の腕の拘束もさっきより緩んでいる。
会話が終わる前に行動するために、ジークの脇腹を蹴った。
ジークにはダメージなんてないんだろうけど、腕を緩めるには十分だった。
ジークに再び掴まれる前に、腕を引いて走り出した。
外に出たい、カイウスはきっとあそこにいる筈だ。
後ろから二人の足音が聞こえる、ジークともう一人の兵士のだ。
一人増えても変わらない、ジークが二人になったらヤバいけど…
必死に頭の中で地図を思い出しながら曲がる。
すると、なにかにぶつかって俺の足が止まった。
目の前を見ると兵士の格好をした大男が立っていた。
尻餅を付いてしまい、起き上がらせるために手を差し伸ばしてきた。
気持ちはありがたいけど、今はそんな事をしてる場合ではない。
自分から起き上がる前に、視界が大きくぶれた。
追いついたジークに頭を殴られて、一瞬意識が飛んだ。
床に顔をぶつけて、顔を上げると白い床にポタポタと血が落ちた。
鼻血を出したけど、お構いなしでジークによって無理矢理起き上がらされて頬を殴られた。
ジクジクと頬が痛い、ジークに抵抗する隙を与えず殴られ続ける。
「さ、流石にそれ以上はマズイですジーク様…ローベルト卿が見たらなんて言うか」
「……これは躾だ、言っても分からないなら体で覚えさせる」
「そうは言っても、神と戦える唯一の切り札が弱っていては勝てるものも勝てません、ローベルト卿も神との戦い以外の原因で死ぬのはお許しになりませんよ」
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