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「やはり、人間はこの程度の力が限界か」
耳にノイズが走ったような耳鳴りがして、誰かとすれ違った。
その人物に気付いて、走っていた足を止めた。
後ろを振り返ると、その人物は俺に見向きもしていなかった。
ローズもその人物に気付いて、足を止めたかと思ったら膝をついた。
「メシア様」
「お前は今まで会ってきた人間の中で一番精霊の力に適合している」
「お褒めいただきありがとうございます」
俺の事を無視して、二人は会話を続けていた。
精霊の力って、やっぱり薬の事だよな…あんな事をしておいて力なわけがない。
神は膝を曲げて、ローズの顎に触れていた。
俺からは後ろ姿しか見えないから、神の顔は分からない。
見えるのはローズの顔だけで、俺の時とは違いうっとりとした顔だった。
神には心を許しているのか、薬を与えたのも…
どんな風に言われたのか分からないが、神は危険な存在だ…カイウスにとっても人間にとっても…
今の俺が何を言っても、さっきのように怒りを買うだけた。
神に向かって攻撃を仕掛けたら、当然反撃してくる。
今の俺の中にはカイウスの力がある、全力で戦ったりなんてしたら近くにいるローズがどうなるか分からない。
下手に手を出す事が出来ないが、警戒は緩めずに二人を見ていた。
神が目的だったから、俺もここから離れるわけにはいかない。
でも、今神がここにいるならリーズナはカイウスに会える筈だ。
無事に帰ってくる事だけを望んでいる…カイウスと一緒に…
「あの男はカイウスから力を奪ったんだ」
黙って聞いていたら、突然神は変な事を言っていた。
奪ったって、何の事だ?これはリーズナから借りたものだ。
ローズも驚いた顔をしてこちらを見ていた。
違うと言っても、神は構わずローズに話しかけていた。
「カイウスの記憶が失ったのも、この男のせいだ」
「違う!それは神がカイウスに…」
そこで言葉が出なくて、神とローズを見るしか出来なかった。
ローズが俺を見る目が、さっきよりも憎悪で満ちていた。
俺が何を言っても、ローズの目は変わる事がなかった。
そうか、ローズが元々俺が嫌いでもここまで憎悪を向けられる覚えがないと思っていた。
神はローズに俺への憎悪をさらに植え付けたのか。
俺やカイウスにも似たような事をしようとしていたからあり得ない話ではない。
神はローズの頭に触れて、目を手で覆った。
なにかしようとしているのは見ていれば分かる。
ローズを助けようと、二人に向かって走る。
これ以上体をボロボロにしたら、死んでしまう。
でも、二人に近付く事が出来ず見えない壁に吹き飛ばされた。
体を打ち付けて、痛みに顔を歪ませながら立ち上がる。
その時、ローズの叫び声が聞こえて周りが眩い光に包まれた。
小刻みで揺れる床はやがて、大きなものに変わった。
二人が何をしているのかどうなっているのか分からない。
カイウスの力でも、ほんの僅かな力だ…神が張った結界を破る事が出来ない。
何度か結界に弾かれても殴り続けていたら、結界が膨張した。
驚いて、攻撃を止めて距離を取ろうとしたが気付くのが遅かった。
膨張した結界によって、外に投げられた。
窓はさっき俺が破壊したから、ガラスで怪我をする事がなくて良かった。
受け身を取ろうと思っていたら、俺の目の前になにかが見えた。
それは俺に向かって、長い爪を向けていた。
落ちる時の風を利用して、地面に向かって殴りつけた。
早く下に降りる事が出来て、爪には当たらなかった。
外にいた兵士達は誰一人として俺の方を見ていなかった。
俺ではなく、後ろを見て恐怖に顔を歪ませて叫び声を上げていた。
ローベルト家のために命を捨てる覚悟をしたと言っても、実際に見たら逃げるのは当たり前だ。
せめて罪悪感がないように俺からも「皆逃げてくれ!」と大きな声を上げた。
後ろを見て、その姿に俺は恐怖というより神への怒りで満ちていた。
なんで、人にこんな事まで出来るんだ…こんな…酷い事を…
神に新しい力を与えられたローズは、言われないと分からないほどに姿が変わっていた。
長い爪に、髪も腰まで長くなり髪も白い。
体は俺の二倍、真っ黒な瞳が俺を見つけた。
声ではない大きな音を出して、俺に向かって走ってきた。
これは、人ですらない…神によって壊された。
耳にノイズが走ったような耳鳴りがして、誰かとすれ違った。
その人物に気付いて、走っていた足を止めた。
後ろを振り返ると、その人物は俺に見向きもしていなかった。
ローズもその人物に気付いて、足を止めたかと思ったら膝をついた。
「メシア様」
「お前は今まで会ってきた人間の中で一番精霊の力に適合している」
「お褒めいただきありがとうございます」
俺の事を無視して、二人は会話を続けていた。
精霊の力って、やっぱり薬の事だよな…あんな事をしておいて力なわけがない。
神は膝を曲げて、ローズの顎に触れていた。
俺からは後ろ姿しか見えないから、神の顔は分からない。
見えるのはローズの顔だけで、俺の時とは違いうっとりとした顔だった。
神には心を許しているのか、薬を与えたのも…
どんな風に言われたのか分からないが、神は危険な存在だ…カイウスにとっても人間にとっても…
今の俺が何を言っても、さっきのように怒りを買うだけた。
神に向かって攻撃を仕掛けたら、当然反撃してくる。
今の俺の中にはカイウスの力がある、全力で戦ったりなんてしたら近くにいるローズがどうなるか分からない。
下手に手を出す事が出来ないが、警戒は緩めずに二人を見ていた。
神が目的だったから、俺もここから離れるわけにはいかない。
でも、今神がここにいるならリーズナはカイウスに会える筈だ。
無事に帰ってくる事だけを望んでいる…カイウスと一緒に…
「あの男はカイウスから力を奪ったんだ」
黙って聞いていたら、突然神は変な事を言っていた。
奪ったって、何の事だ?これはリーズナから借りたものだ。
ローズも驚いた顔をしてこちらを見ていた。
違うと言っても、神は構わずローズに話しかけていた。
「カイウスの記憶が失ったのも、この男のせいだ」
「違う!それは神がカイウスに…」
そこで言葉が出なくて、神とローズを見るしか出来なかった。
ローズが俺を見る目が、さっきよりも憎悪で満ちていた。
俺が何を言っても、ローズの目は変わる事がなかった。
そうか、ローズが元々俺が嫌いでもここまで憎悪を向けられる覚えがないと思っていた。
神はローズに俺への憎悪をさらに植え付けたのか。
俺やカイウスにも似たような事をしようとしていたからあり得ない話ではない。
神はローズの頭に触れて、目を手で覆った。
なにかしようとしているのは見ていれば分かる。
ローズを助けようと、二人に向かって走る。
これ以上体をボロボロにしたら、死んでしまう。
でも、二人に近付く事が出来ず見えない壁に吹き飛ばされた。
体を打ち付けて、痛みに顔を歪ませながら立ち上がる。
その時、ローズの叫び声が聞こえて周りが眩い光に包まれた。
小刻みで揺れる床はやがて、大きなものに変わった。
二人が何をしているのかどうなっているのか分からない。
カイウスの力でも、ほんの僅かな力だ…神が張った結界を破る事が出来ない。
何度か結界に弾かれても殴り続けていたら、結界が膨張した。
驚いて、攻撃を止めて距離を取ろうとしたが気付くのが遅かった。
膨張した結界によって、外に投げられた。
窓はさっき俺が破壊したから、ガラスで怪我をする事がなくて良かった。
受け身を取ろうと思っていたら、俺の目の前になにかが見えた。
それは俺に向かって、長い爪を向けていた。
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俺ではなく、後ろを見て恐怖に顔を歪ませて叫び声を上げていた。
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せめて罪悪感がないように俺からも「皆逃げてくれ!」と大きな声を上げた。
後ろを見て、その姿に俺は恐怖というより神への怒りで満ちていた。
なんで、人にこんな事まで出来るんだ…こんな…酷い事を…
神に新しい力を与えられたローズは、言われないと分からないほどに姿が変わっていた。
長い爪に、髪も腰まで長くなり髪も白い。
体は俺の二倍、真っ黒な瞳が俺を見つけた。
声ではない大きな音を出して、俺に向かって走ってきた。
これは、人ですらない…神によって壊された。
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