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終わり
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あの日、亡くなった人達は調べて遺族の人達に知らせた。
カイウスも一緒に来てくれたおかげで話を聞いてもらえた。
俺が出来る事はローベルト家の屋敷を墓地にして、手を合わせる事だけだ。
ずっと忘れないように、事件があったこの日に毎日通う事に決めている。
そして、今日がその一年後だった。
神が完全に消滅したのか、復活する危険性は分からない。
でも、一年経っても何も起こらないからきっと大丈夫なんだと信じたい。
今日はカイウスも騎士団の仕事の終わりに来てくれて一緒に手を合わせた。
カイウスの意思ではないが、カイウスも責任を感じているんだろう。
この日あった事は一生忘れない、この日を迎える度に心に刻まれていく。
夕陽に照らされていた空はすっかりと暗くなっていた。
俺達の家に向かってカイウスと並んで、歩いていた。
「ライム、騎士団の仕事には慣れたか?」
「うん、まだやる事が多いけど…必ずカイウスに追いついてみせるよ、この国を守れるように」
「そうか、期待してる」
手の甲がカイウスの手に触れて、自然と磁石のように引き寄せられて指を絡ませる。
この世界に悪役として生まれた俺にはきっと意味があった。
ゲームでの役割なんて関係ない、俺は俺として生きていていいんだ。
ローベルト家に支配されていた時は、目の前が真っ暗に見えていた。
カイウスに出会って助けられて、やっと明るくなれたのに、影を落とされる事を何度もされた。
悪役としての結末しかないのかと、何度も悩んでいた。
ローベルト家の人達が捕まり、罪を償って俺は本当の意味で解放された。
こんなに未来が明るく見える日が来るなんて思わなかった。
覚悟を背負って俺達は、前に向かって歩き続ける。
騎士として、パートナーとして、カイウスの隣で…
「ライム、こっちに来てくれ」
「どうしたの?」
とある日の朝、カイウスに手招きされて近付く。
二人同時に休みになる日が滅多になくて、初めて休みが被ってカイウスの部屋でのんびりしていた。
快適に過ごせるように家の修復を重ねたら、以前住んでいた時よりも快適になった。
カイウスに買ってもらったから、修復は俺がやると仕事の休みを削って直した。
修行にもなるし、綺麗になる家を見ると心地がいい。
さすがに訓練所は壊れすぎていて修復は難しかった。
諦めるしかなくて、せめて綺麗に掃除くらいはした。
家の家具も増えてきているが、お互いの部屋に集まる事が多い。
やっぱりカイウスがいるところが一番安心する。
椅子に座っているカイウスに呼ばれて、近付くとカイウスは両手を向かい合わせてなにかをしていた。
俺も集中してそれを見ていたら、カイウスの手の間からなにか見えた。
それは電流のようなもので、まるで魔法のようだった。
「カイウス、もしかして魔力が戻ったの!?」
「まだ完全ではないけど、このくらいなら出来る」
そう言ったカイウスの手の間は、さらに力が注がれて輝いていた。
その力がだんだん黒くなり、あの時の記憶を思い出した。
カイウスを止めようとして、考えなしで黒い力に手を突っ込んだ。
カイウスの腕を掴むだけで良かったと後々分かるが、この時の俺には判断出来ないほどに動揺していた。
手を突っ込んでから痛みが走るだろうかと思っていたが、痛くはなかった。
それどころか、不思議と温かかくてもふもふしていた。
カイウスの力が何でもふもふしているのか不思議だったが、触っている手をなにかで叩かれた。
痛くはなかったが、手を離すと黒くて細長いものが動いていた。
『気安く触るなよ』
カイウスの力は黒猫の姿に変わっていった。
小さな声で「リーズナ…?」と聞くと、俺にそっぽを向いてしまった。
カイウスの膝の上に座るリーズナに、気持ちが溢れて思わず抱きしめた。
すぐに逃げられてしまったが、それもいつものリーズナみたいで安心した。
リーズナはカイウスの方を見て『またコイツのお守りはごめんだからな』と言っていたが、リーズナの顔は穏やかに見えた。
俺と同じくらい、カイウスに会うのを心待ちにしていたんだから当然だ。
カイウスの中でリーズナはずっと生きていたけど、リーズナはカイウスを見る事は出来なかった。
鏡越しには見たかもしれないが、ちゃんと見る事が出来たのはこの日が久々になる。
リーズナに警戒されているから、近付かないようにしてしゃがんだ。
「俺だって騎士になったんだから、もうお守りなんて必要ないよ」
『まだ新人のくせに?』
「うっ……すぐにリーズナを越えるから!」
『まぁ、カイを助けてくれたのはライムだから…カイを守れるほどには強くなれるって俺も思っている』
リーズナに頷いて、カイウスの方を見た。
カイウスは俺達を優しい瞳で見守っていた。
そうだ、ハイドレイがずっとリーズナの事を気にしていたんだ。
一緒に戦った仲間だし、リーズナがカイウスのところに戻ったって言われても納得出来ないよな。
リーズナにハイドレイの事を話すと、一瞬分かっていなかったがすぐに思い出した。
あれから一年以上経つからな、ハイドレイにリーズナを会わせてあげたい。
リーズナはすぐに会うとは言わずに『用件が終わったらな』と言っていた。
用件って何の事か分からなかったが、カイウスがリーズナに言った。
「リーズナ、俺の力はまだ戻らないから宮殿には行けない…宮殿に行って精霊達の様子を見に行ってほしい」
『分かった』
リーズナはそう言うと、自分の姿が眩い光に包まれて消えた。
宮殿に向かったんだろう、カイウスが言うには「異変はないだろうが、念のためな」とリーズナを見送った。
ハイドレイに会わすのはもう少し先になりそうだな。
そうだ、ユリウスにもリーズナの事を伝えに行こう。
仲が悪そうにしていたけど、面会した時にリーズナがカイウスのところに帰った事を伝えたら寂しそうにしていた。
嬉しそうにはしないだろうけど、またリーズナの顔を見て仲良く言い合えたらいいな。
考えていて頬が緩んでいたらカイウスに後ろから抱きしめられて、体温を感じる。
愛がいっぱい溢れてくる、カイウスの名を口にすると耳元で名前を囁かれる。
体が嬉しくて震えていて、カイウスの方を振り返った。
唇が触れ合って、舌が絡まり息遣いが荒くなる。
指と指が触れ合って、俺達の距離がゼロになる。
カイウスのベッドに押し倒されて、体を重ねた。
足を開いてカイウスを受け入れると、久しぶりの行為なのに体はすんなりと受け入れていた。
嬉しくてすぐにイってしまったけど、俺達の一日はまだ始まったばかりだ。
奥の奥までカイウスの体温を感じたい、もっともっと溢れるほどにほしい。
握る手に力を込めて、快楽を受け入れた。
元々のシナリオは敵同士だったのかもしれない。
でも、今…俺達は愛し合い、協力して生きている。
生前叶わなかった夢を叶えて、また新しい夢を描く。
なにが起きても、最悪なシナリオを乗り越えた俺達に出来ない事はない。
お互いの瞳を見つめながら、誓いのキスのように唇を重ねた。
俺とカイウスの指には、お互いに送った指輪が輝いていた。
カイウスも一緒に来てくれたおかげで話を聞いてもらえた。
俺が出来る事はローベルト家の屋敷を墓地にして、手を合わせる事だけだ。
ずっと忘れないように、事件があったこの日に毎日通う事に決めている。
そして、今日がその一年後だった。
神が完全に消滅したのか、復活する危険性は分からない。
でも、一年経っても何も起こらないからきっと大丈夫なんだと信じたい。
今日はカイウスも騎士団の仕事の終わりに来てくれて一緒に手を合わせた。
カイウスの意思ではないが、カイウスも責任を感じているんだろう。
この日あった事は一生忘れない、この日を迎える度に心に刻まれていく。
夕陽に照らされていた空はすっかりと暗くなっていた。
俺達の家に向かってカイウスと並んで、歩いていた。
「ライム、騎士団の仕事には慣れたか?」
「うん、まだやる事が多いけど…必ずカイウスに追いついてみせるよ、この国を守れるように」
「そうか、期待してる」
手の甲がカイウスの手に触れて、自然と磁石のように引き寄せられて指を絡ませる。
この世界に悪役として生まれた俺にはきっと意味があった。
ゲームでの役割なんて関係ない、俺は俺として生きていていいんだ。
ローベルト家に支配されていた時は、目の前が真っ暗に見えていた。
カイウスに出会って助けられて、やっと明るくなれたのに、影を落とされる事を何度もされた。
悪役としての結末しかないのかと、何度も悩んでいた。
ローベルト家の人達が捕まり、罪を償って俺は本当の意味で解放された。
こんなに未来が明るく見える日が来るなんて思わなかった。
覚悟を背負って俺達は、前に向かって歩き続ける。
騎士として、パートナーとして、カイウスの隣で…
「ライム、こっちに来てくれ」
「どうしたの?」
とある日の朝、カイウスに手招きされて近付く。
二人同時に休みになる日が滅多になくて、初めて休みが被ってカイウスの部屋でのんびりしていた。
快適に過ごせるように家の修復を重ねたら、以前住んでいた時よりも快適になった。
カイウスに買ってもらったから、修復は俺がやると仕事の休みを削って直した。
修行にもなるし、綺麗になる家を見ると心地がいい。
さすがに訓練所は壊れすぎていて修復は難しかった。
諦めるしかなくて、せめて綺麗に掃除くらいはした。
家の家具も増えてきているが、お互いの部屋に集まる事が多い。
やっぱりカイウスがいるところが一番安心する。
椅子に座っているカイウスに呼ばれて、近付くとカイウスは両手を向かい合わせてなにかをしていた。
俺も集中してそれを見ていたら、カイウスの手の間からなにか見えた。
それは電流のようなもので、まるで魔法のようだった。
「カイウス、もしかして魔力が戻ったの!?」
「まだ完全ではないけど、このくらいなら出来る」
そう言ったカイウスの手の間は、さらに力が注がれて輝いていた。
その力がだんだん黒くなり、あの時の記憶を思い出した。
カイウスを止めようとして、考えなしで黒い力に手を突っ込んだ。
カイウスの腕を掴むだけで良かったと後々分かるが、この時の俺には判断出来ないほどに動揺していた。
手を突っ込んでから痛みが走るだろうかと思っていたが、痛くはなかった。
それどころか、不思議と温かかくてもふもふしていた。
カイウスの力が何でもふもふしているのか不思議だったが、触っている手をなにかで叩かれた。
痛くはなかったが、手を離すと黒くて細長いものが動いていた。
『気安く触るなよ』
カイウスの力は黒猫の姿に変わっていった。
小さな声で「リーズナ…?」と聞くと、俺にそっぽを向いてしまった。
カイウスの膝の上に座るリーズナに、気持ちが溢れて思わず抱きしめた。
すぐに逃げられてしまったが、それもいつものリーズナみたいで安心した。
リーズナはカイウスの方を見て『またコイツのお守りはごめんだからな』と言っていたが、リーズナの顔は穏やかに見えた。
俺と同じくらい、カイウスに会うのを心待ちにしていたんだから当然だ。
カイウスの中でリーズナはずっと生きていたけど、リーズナはカイウスを見る事は出来なかった。
鏡越しには見たかもしれないが、ちゃんと見る事が出来たのはこの日が久々になる。
リーズナに警戒されているから、近付かないようにしてしゃがんだ。
「俺だって騎士になったんだから、もうお守りなんて必要ないよ」
『まだ新人のくせに?』
「うっ……すぐにリーズナを越えるから!」
『まぁ、カイを助けてくれたのはライムだから…カイを守れるほどには強くなれるって俺も思っている』
リーズナに頷いて、カイウスの方を見た。
カイウスは俺達を優しい瞳で見守っていた。
そうだ、ハイドレイがずっとリーズナの事を気にしていたんだ。
一緒に戦った仲間だし、リーズナがカイウスのところに戻ったって言われても納得出来ないよな。
リーズナにハイドレイの事を話すと、一瞬分かっていなかったがすぐに思い出した。
あれから一年以上経つからな、ハイドレイにリーズナを会わせてあげたい。
リーズナはすぐに会うとは言わずに『用件が終わったらな』と言っていた。
用件って何の事か分からなかったが、カイウスがリーズナに言った。
「リーズナ、俺の力はまだ戻らないから宮殿には行けない…宮殿に行って精霊達の様子を見に行ってほしい」
『分かった』
リーズナはそう言うと、自分の姿が眩い光に包まれて消えた。
宮殿に向かったんだろう、カイウスが言うには「異変はないだろうが、念のためな」とリーズナを見送った。
ハイドレイに会わすのはもう少し先になりそうだな。
そうだ、ユリウスにもリーズナの事を伝えに行こう。
仲が悪そうにしていたけど、面会した時にリーズナがカイウスのところに帰った事を伝えたら寂しそうにしていた。
嬉しそうにはしないだろうけど、またリーズナの顔を見て仲良く言い合えたらいいな。
考えていて頬が緩んでいたらカイウスに後ろから抱きしめられて、体温を感じる。
愛がいっぱい溢れてくる、カイウスの名を口にすると耳元で名前を囁かれる。
体が嬉しくて震えていて、カイウスの方を振り返った。
唇が触れ合って、舌が絡まり息遣いが荒くなる。
指と指が触れ合って、俺達の距離がゼロになる。
カイウスのベッドに押し倒されて、体を重ねた。
足を開いてカイウスを受け入れると、久しぶりの行為なのに体はすんなりと受け入れていた。
嬉しくてすぐにイってしまったけど、俺達の一日はまだ始まったばかりだ。
奥の奥までカイウスの体温を感じたい、もっともっと溢れるほどにほしい。
握る手に力を込めて、快楽を受け入れた。
元々のシナリオは敵同士だったのかもしれない。
でも、今…俺達は愛し合い、協力して生きている。
生前叶わなかった夢を叶えて、また新しい夢を描く。
なにが起きても、最悪なシナリオを乗り越えた俺達に出来ない事はない。
お互いの瞳を見つめながら、誓いのキスのように唇を重ねた。
俺とカイウスの指には、お互いに送った指輪が輝いていた。
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