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一話完結
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───ケイオスリング王国、王城
きらめく千の燭台、荘厳に壁を埋め尽くす百のタペストリー。
国王生誕40年の式典も無事終了。
大広間では国内外の王国貴族に有力者が集まり、饗宴が繰り広げられていた。
王座にて、ケイオス国王はご満悦で大広間を見渡している。
一方で隣、王妃エリィザベータはにこやかにしつつも、来賓の出欠確認に余念がない。
宴もたけなわ。
王たちの前に第一王子のアルフォンヌスが参じ、ひざまずいた。
「父う……陛下、王妃様。この場を借りて是非、お伝えしたいことがございます」
「ふはは、どうしたんだあらたまって」
アルフォンヌスが、右方に向かって手を挙げ、合図する。
「は~い」
かっる~い返事とともに人混みから現れたツインテール令嬢。
雑な礼で、アルフォンヌスの横にちぃんと座った。
王は微かに眉をひそめたものの、息子に激甘なのでぎりセーフとした。
「……で、アル。そちらはの令嬢は何だ」
王子はニヤリとして令嬢とともに立ち上がると、広間に向かって叫んだ。
「皆の者、聞けっ。私はこのリーサルロッテ男爵令嬢と、真実の愛に目覚めたっ。よって……」
純白のマントを颯爽と翻し……
眼下に立つ、ブロンド縦ロールの令嬢を指さす。
「レテティーシァ公爵令嬢っ。お前との婚約を、今ここで破棄するっ!」
口あんぐりで硬直する、王と王妃。
ワインを注ぐ手も忘れ、こぼしまくる給仕。
弓を握ったまま口半開きになる楽団のバイオリニスト。
「ああ、そんな。何ということ……」
レテティーシァはあまりの出来事に血の気が引き、ふらりと倒れた。
───その時。
「おっと危ない」
肩までの金髪が麗しい美丈夫が、さっと彼女を抱きかかえた。
「大丈夫ですか」
「……あ、あなたさまは」
「コスモッス帝国第二王子、レオンヒャルト。初めまして。そして好きです。結婚しましょう」
「はい」
レテティーシァは相手がとにかくイケメンなので素早く落ちた。
「ありがとう。やはり君こそが運命の愛。さあ、僕と一緒に帝国へ行こう」
お姫様抱っこをして、レオンがこの場を発とうとしたときだった。
「ちょぉぉおっと待ったぁぁ───っ!」
いい感じのところに割って入る怒声。
真っ赤なロングの髪を炎のごとく逆立てた令嬢が、二人を睨みつけている。
「レオン様っ。わたくしという婚約者がありながらっ、そんな女に求婚とはっ……ぬぁに考えとんじゃああっ!」
王国もう一人の公爵家令嬢、マリエベッラ。美人だがヤンキー。
レオンヒャルトは肩をすくめた。
「君のそういうところがものすごくイヤなんだよね。僕は可憐な女性が好きなんだ」
肩をぎゅっと抱かれ、思わず「あん」などと声を発してしまうレテティーシァ。
マリエベッラは憤怒の顔で真っ赤なドレススカートをたくし上げると、隠し持っていたナイフを抜いた。
「国際問題やぞっ。赦せんっ、ぶっ●してやるっ」
のけぞる周囲など眼中に無く、ナイフを振りかざすマリエベッラ。
しかしそこで。影から音もなく飛び出してきた男が、がっしりと羽交い締めにした。
「うひゅひゅっ。ダメだよ、ボクのマリエ。そんな男の血で穢すことこそ、ボクが赦さない」
「なっ……お、お前は、ダルタニオっ」
漆黒のチュニックをまとう子爵令息、ダルタニオ。
拾ったワカメみたいな黒ロン毛が顔にかかってとにかく暗い。
「スンスン、ハァハァ……耳の裏の汗の臭い最高ぉ。こないだ盗んだハンカチよりずっとイイ」
背後から耳にかかる息で、マリエベッラは全身鳥肌になった。
「ひぃぃぃっ、は、放さんかいこのド変態ストーカーっ。●すぞっ」
「いいよぉぉ、そのドレスをボクの血でもっと赤く染め上げてくれええ」
「やめてぇっ、兄様ぁーっ」
「ぐぽあっ!?」
ダルタニオの横から、めちゃくちゃな勢いでタックルをかます妹のヒルルダガルデ。
横に吹っ飛んだマリエベッラは机の脚に頭をぶつけて気絶。
ヒルルダガルデはそのまま兄を押し倒し、馬乗りに。
若草色のショールをしゅるりと脱ぎ捨て、露わにした肌を押し当てた。
「ぅぅううわあああ、ヒルル、何をやってるっ」
震える兄の顔を指先でゆっっくりとなぞりながら、ぎらりと黒目を輝かせて舌なめずりする妹。
「所詮は男と女、どうにでも番になってしまえば兄さまは私のもの。うふふひひ」
「ぃぃい、やめろ、やめてくれぇぇ」
前からヤバい思っていた妹の色魔のごとき奇行に怖れをなし、ダルタニオは泡を吹いて気を失った。
しかし、ヒルルがさあこれからと言う時に、ものすごい力で兄から引きはがされた。
そのまま彼女を壁へとドンする銀ピカ全身鎧の男。
「ヒルルぅっ! やっと見つけたぞっ」
しかしヒルルはキョトンとして何のこっちゃかわからない。
騎士は激昂した。
「俺だっ。ブルウーノだっ。半年前、公爵家でのパーティで人酔いしたお前を介抱しただろう。あんなに思わせぶりだったのに逃げて……一目惚れだったんだぞっ」
体育会系なノリで大告白のブルウーノ。
よく見たら鎧の肩に「ヒルル命」などと彫っている。鎧だけに重い。
「ぜんぜん知らないわ、ごめ~ん。もう冷めちゃった。か~えろっと」
興が削がれたヒルルは、そんなんどうでもいいとばかりにさっと退場。
ブルウーノは心を折り膝も折れ……拳を握りしめて慟哭した。
「ぐぬおぉおおお───っ! 俺の、俺の純情を返せぇ───っ!」
「うぁあ~~~んっ!なんてかわいそうなのブルちゃんっ」
髪を振り乱しながら現れたミドルエイジ女性。
そっとブルウーノの頭を胸に抱きかかえ、一緒に号泣しはじめる。母親のジュリアッテであった。
「よしよし、いい子いい子。さ、もうおうちに帰りましょ。大好きなハンバーグ、いーっぱい焼いてあげるから」
「ううっ……ぐすん、マンマぁ……」
他方、二人の世界に入る母子をドン引きで見届けながら、拳をわなわなと震わせる男がいた。
「いつまで……そうしているつもりだっ」
ジュリアッテの夫にしてブルウーノの父、フィルミーノ伯爵は、その温厚そうな顔をついに決壊させた。
「もう許さんっ。私を路傍の石のごとく無視し続けっ。息子を立派にせんと努めていたのかと思えば、この恥さらしがっ!」
ジュリアッテは、凍てつくような目でフェルミーノを見据えた。
「あなたなど、所詮かわいいブルウーノを授かるためだけの存在。これからも、貧乏伯爵のあなたを救った私の両親に感謝して生きていればいいのよ」
「な、なんということをっ」
「おほほほ、悔しかったら、まだ残っている借金を全部返済しなさいな、この無能伯爵がっ」
「ぐくうっ……」
「ならばその借金、わたくしが全て肩代わりいたします」
「───なっ!?」
フィルミーノとジュリアッテは、その声の主を目に留めるなり、すかざすひざまずいた。
王妃エリィザベータが、凛として立っている。
王妃が合図すると、書記官がささと何やら書き上げ、ジュリアッテに手渡した。
「今の発言の証明書です。離婚も調停しますよ。当然其方にも手厚く、王家として取り計らいますが」
「いっ、いえ……そのような」
王妃の貫禄に圧され、ジュリアッテはギリィと歯がみしながら、息子ともども退散した。
残されたフィルミーノに、王妃はやさしく声をかける。
「よく今日まで耐えましたね、〝フィル〟。」
「王妃様……」
王妃はぐっと近づき、耳打ちした。
「〝エリィ〟と呼んで、20年前のように。ずっと……ずっとあなたを、助けたかった」
フィルミーノは嬉しくもわきまえつつ。
王妃の差し出した手を取り、甲にキスをする。
「エリ……いえ、王妃様。わが生涯の忠誠を、あなたさまに捧げます」
「ああ、フィル。わたくしの愛しい人……」
王妃はうっとりとした表情で、フィルを見つめてつぶやいた。
───その彼方、ゲストたちがどよめきまくる中。
ケイオスリング国王は座に深く腰を落とし、眉をひそめながら〝全て〟を見届け終えた。
目の前で起こった息子アルフォンヌスの茶番が大広間を一周し、まさか自分の誕生祭をズタボロにされてしまうとは。
そんなことは露知らず。
此方では、息子とリーサルなんとかという娘が、何にも考えていないさまでイチャイチャしている。
王はキレた。
「ああ~もう、やってられんっ! アルよっ」
「はい。何でしょうか父上っ」
ゆるみきった顔で仔犬みたいに寄ってくる息子に、王は心底愛想が尽きた。
「お前、廃嫡っ。国外追放に処すっ!」
~Fin~
きらめく千の燭台、荘厳に壁を埋め尽くす百のタペストリー。
国王生誕40年の式典も無事終了。
大広間では国内外の王国貴族に有力者が集まり、饗宴が繰り広げられていた。
王座にて、ケイオス国王はご満悦で大広間を見渡している。
一方で隣、王妃エリィザベータはにこやかにしつつも、来賓の出欠確認に余念がない。
宴もたけなわ。
王たちの前に第一王子のアルフォンヌスが参じ、ひざまずいた。
「父う……陛下、王妃様。この場を借りて是非、お伝えしたいことがございます」
「ふはは、どうしたんだあらたまって」
アルフォンヌスが、右方に向かって手を挙げ、合図する。
「は~い」
かっる~い返事とともに人混みから現れたツインテール令嬢。
雑な礼で、アルフォンヌスの横にちぃんと座った。
王は微かに眉をひそめたものの、息子に激甘なのでぎりセーフとした。
「……で、アル。そちらはの令嬢は何だ」
王子はニヤリとして令嬢とともに立ち上がると、広間に向かって叫んだ。
「皆の者、聞けっ。私はこのリーサルロッテ男爵令嬢と、真実の愛に目覚めたっ。よって……」
純白のマントを颯爽と翻し……
眼下に立つ、ブロンド縦ロールの令嬢を指さす。
「レテティーシァ公爵令嬢っ。お前との婚約を、今ここで破棄するっ!」
口あんぐりで硬直する、王と王妃。
ワインを注ぐ手も忘れ、こぼしまくる給仕。
弓を握ったまま口半開きになる楽団のバイオリニスト。
「ああ、そんな。何ということ……」
レテティーシァはあまりの出来事に血の気が引き、ふらりと倒れた。
───その時。
「おっと危ない」
肩までの金髪が麗しい美丈夫が、さっと彼女を抱きかかえた。
「大丈夫ですか」
「……あ、あなたさまは」
「コスモッス帝国第二王子、レオンヒャルト。初めまして。そして好きです。結婚しましょう」
「はい」
レテティーシァは相手がとにかくイケメンなので素早く落ちた。
「ありがとう。やはり君こそが運命の愛。さあ、僕と一緒に帝国へ行こう」
お姫様抱っこをして、レオンがこの場を発とうとしたときだった。
「ちょぉぉおっと待ったぁぁ───っ!」
いい感じのところに割って入る怒声。
真っ赤なロングの髪を炎のごとく逆立てた令嬢が、二人を睨みつけている。
「レオン様っ。わたくしという婚約者がありながらっ、そんな女に求婚とはっ……ぬぁに考えとんじゃああっ!」
王国もう一人の公爵家令嬢、マリエベッラ。美人だがヤンキー。
レオンヒャルトは肩をすくめた。
「君のそういうところがものすごくイヤなんだよね。僕は可憐な女性が好きなんだ」
肩をぎゅっと抱かれ、思わず「あん」などと声を発してしまうレテティーシァ。
マリエベッラは憤怒の顔で真っ赤なドレススカートをたくし上げると、隠し持っていたナイフを抜いた。
「国際問題やぞっ。赦せんっ、ぶっ●してやるっ」
のけぞる周囲など眼中に無く、ナイフを振りかざすマリエベッラ。
しかしそこで。影から音もなく飛び出してきた男が、がっしりと羽交い締めにした。
「うひゅひゅっ。ダメだよ、ボクのマリエ。そんな男の血で穢すことこそ、ボクが赦さない」
「なっ……お、お前は、ダルタニオっ」
漆黒のチュニックをまとう子爵令息、ダルタニオ。
拾ったワカメみたいな黒ロン毛が顔にかかってとにかく暗い。
「スンスン、ハァハァ……耳の裏の汗の臭い最高ぉ。こないだ盗んだハンカチよりずっとイイ」
背後から耳にかかる息で、マリエベッラは全身鳥肌になった。
「ひぃぃぃっ、は、放さんかいこのド変態ストーカーっ。●すぞっ」
「いいよぉぉ、そのドレスをボクの血でもっと赤く染め上げてくれええ」
「やめてぇっ、兄様ぁーっ」
「ぐぽあっ!?」
ダルタニオの横から、めちゃくちゃな勢いでタックルをかます妹のヒルルダガルデ。
横に吹っ飛んだマリエベッラは机の脚に頭をぶつけて気絶。
ヒルルダガルデはそのまま兄を押し倒し、馬乗りに。
若草色のショールをしゅるりと脱ぎ捨て、露わにした肌を押し当てた。
「ぅぅううわあああ、ヒルル、何をやってるっ」
震える兄の顔を指先でゆっっくりとなぞりながら、ぎらりと黒目を輝かせて舌なめずりする妹。
「所詮は男と女、どうにでも番になってしまえば兄さまは私のもの。うふふひひ」
「ぃぃい、やめろ、やめてくれぇぇ」
前からヤバい思っていた妹の色魔のごとき奇行に怖れをなし、ダルタニオは泡を吹いて気を失った。
しかし、ヒルルがさあこれからと言う時に、ものすごい力で兄から引きはがされた。
そのまま彼女を壁へとドンする銀ピカ全身鎧の男。
「ヒルルぅっ! やっと見つけたぞっ」
しかしヒルルはキョトンとして何のこっちゃかわからない。
騎士は激昂した。
「俺だっ。ブルウーノだっ。半年前、公爵家でのパーティで人酔いしたお前を介抱しただろう。あんなに思わせぶりだったのに逃げて……一目惚れだったんだぞっ」
体育会系なノリで大告白のブルウーノ。
よく見たら鎧の肩に「ヒルル命」などと彫っている。鎧だけに重い。
「ぜんぜん知らないわ、ごめ~ん。もう冷めちゃった。か~えろっと」
興が削がれたヒルルは、そんなんどうでもいいとばかりにさっと退場。
ブルウーノは心を折り膝も折れ……拳を握りしめて慟哭した。
「ぐぬおぉおおお───っ! 俺の、俺の純情を返せぇ───っ!」
「うぁあ~~~んっ!なんてかわいそうなのブルちゃんっ」
髪を振り乱しながら現れたミドルエイジ女性。
そっとブルウーノの頭を胸に抱きかかえ、一緒に号泣しはじめる。母親のジュリアッテであった。
「よしよし、いい子いい子。さ、もうおうちに帰りましょ。大好きなハンバーグ、いーっぱい焼いてあげるから」
「ううっ……ぐすん、マンマぁ……」
他方、二人の世界に入る母子をドン引きで見届けながら、拳をわなわなと震わせる男がいた。
「いつまで……そうしているつもりだっ」
ジュリアッテの夫にしてブルウーノの父、フィルミーノ伯爵は、その温厚そうな顔をついに決壊させた。
「もう許さんっ。私を路傍の石のごとく無視し続けっ。息子を立派にせんと努めていたのかと思えば、この恥さらしがっ!」
ジュリアッテは、凍てつくような目でフェルミーノを見据えた。
「あなたなど、所詮かわいいブルウーノを授かるためだけの存在。これからも、貧乏伯爵のあなたを救った私の両親に感謝して生きていればいいのよ」
「な、なんということをっ」
「おほほほ、悔しかったら、まだ残っている借金を全部返済しなさいな、この無能伯爵がっ」
「ぐくうっ……」
「ならばその借金、わたくしが全て肩代わりいたします」
「───なっ!?」
フィルミーノとジュリアッテは、その声の主を目に留めるなり、すかざすひざまずいた。
王妃エリィザベータが、凛として立っている。
王妃が合図すると、書記官がささと何やら書き上げ、ジュリアッテに手渡した。
「今の発言の証明書です。離婚も調停しますよ。当然其方にも手厚く、王家として取り計らいますが」
「いっ、いえ……そのような」
王妃の貫禄に圧され、ジュリアッテはギリィと歯がみしながら、息子ともども退散した。
残されたフィルミーノに、王妃はやさしく声をかける。
「よく今日まで耐えましたね、〝フィル〟。」
「王妃様……」
王妃はぐっと近づき、耳打ちした。
「〝エリィ〟と呼んで、20年前のように。ずっと……ずっとあなたを、助けたかった」
フィルミーノは嬉しくもわきまえつつ。
王妃の差し出した手を取り、甲にキスをする。
「エリ……いえ、王妃様。わが生涯の忠誠を、あなたさまに捧げます」
「ああ、フィル。わたくしの愛しい人……」
王妃はうっとりとした表情で、フィルを見つめてつぶやいた。
───その彼方、ゲストたちがどよめきまくる中。
ケイオスリング国王は座に深く腰を落とし、眉をひそめながら〝全て〟を見届け終えた。
目の前で起こった息子アルフォンヌスの茶番が大広間を一周し、まさか自分の誕生祭をズタボロにされてしまうとは。
そんなことは露知らず。
此方では、息子とリーサルなんとかという娘が、何にも考えていないさまでイチャイチャしている。
王はキレた。
「ああ~もう、やってられんっ! アルよっ」
「はい。何でしょうか父上っ」
ゆるみきった顔で仔犬みたいに寄ってくる息子に、王は心底愛想が尽きた。
「お前、廃嫡っ。国外追放に処すっ!」
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