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その裏で・再び
「……は?ジルが勘当されて叩き出された?」
「はい。ご両親たちの目の前で、『婚約を破棄する!』とやったようで」
「アイツはどうしてそう両極端なんだ……!」
クローディアスは、思わず頭を抱えた。
甘えるなら婚約者に甘えろとは言いましたよ。確かに言ったけど、甘えるってこういうことじゃないだろう⁉︎
「そのあと、ピンクおん……マリナ・ストーン嬢を探そうとしたらしく、街で目撃されていました」
「……アイツ、ピンク女に惚れてでもいた訳?そんなに接点あったか?」
「まあ……あなたがすげなく追い払うたびに、慰めに行ってましたが。……弟殿下と一緒に」
「……アホか」
「アホですね」
クローディアスは、どさりとソファに身体を投げ出した。
「レイチェル嬢の何が気に入らないんだ、あんな美人。エヴァとはまた違うタイプだが、間違いなくとんでもない美女だろう?」
「まあ……人には好みというものがありますからねぇ……」
「好みって。……美女は嫌いとか?あのピンク女よりよっぽど、レイチェル嬢の方が美しかろう」
「可愛いタイプが好きなんでしょう。顔だけで言うなら……うちのパティとか」
「パトリシア嬢?……元気な姿しか浮かばん」
「あー、まあ、殿下が彼女を見る時は、私に会いに来てる時ですからね。普段に輪をかけて元気ですね」
侍女がお茶を2人分出して下がると、クローディアスはレイモンドに座るよう合図した。
「で?無事なのか、ジェレミーは」
声をひそめて尋ねたクローディアスに、レイモンドは首を傾げた。
「無事の定義によります」
「……と言うと?」
「身体は無事です。怪我どころか、今までより贅沢をしているかもしれません」
「……は?」
「超高級な男娼館に売られたようです。貢物で部屋が埋まったそうですよ。その一部を男娼館に還元しているので、仕事も気が向いた時しかしないようですが、売り上げは断トツトップです」
「男娼……館……」
呆然と呟いたクローディアスに、レイモンドは苦笑を浮かべた。
「本人が幸せかどうかは、判りかねます」
「本当に両極端だな⁉︎」
無事なら良かったけど。良かった……のか?
考え込みそうになったクローディアスは、頭を振って紅茶のカップを手にした。
どうにかする気がないのならば、考えても致し方ない。
「もう、アイツのことは忘れる。忠告を聞かずに勝手に堕ちていった奴まで、面倒見切れるか」
「それがよろしいかと」
「で……ストーン嬢のことだが」
「は」
雰囲気を一変させた主に、レイモンドは背筋を伸ばした。
「逃亡した、のか?」
「いえ、正確には違います。ストーン家に着いて馬車のドアを開けたら、中に座っていたのは茶髪茶目の少女だったそうで」
「身代わりか」
クローディアスの深刻な口調に、レイモンドは首を振った。
「いえ、本人だそうです」
「……は?」
「元々、ストーン嬢は茶髪茶目の、おとなしい少女でした。学園に入る前に、何故かピンクの頭になっていたそうで……性格も変わり果て、お前などうちの娘ではない!と勘当に近い状態で放り出したらしいのですが」
「迷惑だな⁉︎」
「家に着いた茶髪のストーン嬢は、元のマリナ嬢だったらしく」
「あー……じゃあまあ、ピンク頭は逃亡したで、いいんだな」
「そのようです」
紅茶で喉を潤し、クローディアスは再び口を開いた。
「ハーレム男の方は?」
「家で監禁されたのは確認しました。数日は騒ぎ立てていたようですが……ぬいぐるみを与えたら静かになったそうで」
「……は?」
「ぬいぐるみを与えたら静かになったそうで」
「聞こえなかった訳じゃないっ」
クローディアスは、再びソファに沈み込んだ。
「何なんだ、一体……」
「1つ1つお名前を付けて、ハーレムしているそうですよ?クマちゃんと」
「クマちゃん……」
ボスッとクッションを殴って、クローディアスは吐き捨てた。
「それでいいんなら、端っからそうしてろっての」
あーもーやだ、と呟いて、殴ったクッションを抱えたクローディアスに、レイモンドは無表情に言った。
「シャイルードル公爵令嬢をお呼びしますか?」
「結構だ!」
「そうですか。私はパティに会ってきます」
では、と立ち上がったレイモンドに、クローディアスは、イイ笑顔を浮かべた。
「逃すか。今は人手が足りないんだ。動員した文官に、変なのが混じってないとは限らないからな」
「嫌です」
「仕事だ」
「……くっ」
拳を握って扉に向かったレイモンドに、クローディアスは澄ました顔で声をかけた。
「休憩は終わりだ。文官を入れてくれ」
「……かしこまりました」
「はい。ご両親たちの目の前で、『婚約を破棄する!』とやったようで」
「アイツはどうしてそう両極端なんだ……!」
クローディアスは、思わず頭を抱えた。
甘えるなら婚約者に甘えろとは言いましたよ。確かに言ったけど、甘えるってこういうことじゃないだろう⁉︎
「そのあと、ピンクおん……マリナ・ストーン嬢を探そうとしたらしく、街で目撃されていました」
「……アイツ、ピンク女に惚れてでもいた訳?そんなに接点あったか?」
「まあ……あなたがすげなく追い払うたびに、慰めに行ってましたが。……弟殿下と一緒に」
「……アホか」
「アホですね」
クローディアスは、どさりとソファに身体を投げ出した。
「レイチェル嬢の何が気に入らないんだ、あんな美人。エヴァとはまた違うタイプだが、間違いなくとんでもない美女だろう?」
「まあ……人には好みというものがありますからねぇ……」
「好みって。……美女は嫌いとか?あのピンク女よりよっぽど、レイチェル嬢の方が美しかろう」
「可愛いタイプが好きなんでしょう。顔だけで言うなら……うちのパティとか」
「パトリシア嬢?……元気な姿しか浮かばん」
「あー、まあ、殿下が彼女を見る時は、私に会いに来てる時ですからね。普段に輪をかけて元気ですね」
侍女がお茶を2人分出して下がると、クローディアスはレイモンドに座るよう合図した。
「で?無事なのか、ジェレミーは」
声をひそめて尋ねたクローディアスに、レイモンドは首を傾げた。
「無事の定義によります」
「……と言うと?」
「身体は無事です。怪我どころか、今までより贅沢をしているかもしれません」
「……は?」
「超高級な男娼館に売られたようです。貢物で部屋が埋まったそうですよ。その一部を男娼館に還元しているので、仕事も気が向いた時しかしないようですが、売り上げは断トツトップです」
「男娼……館……」
呆然と呟いたクローディアスに、レイモンドは苦笑を浮かべた。
「本人が幸せかどうかは、判りかねます」
「本当に両極端だな⁉︎」
無事なら良かったけど。良かった……のか?
考え込みそうになったクローディアスは、頭を振って紅茶のカップを手にした。
どうにかする気がないのならば、考えても致し方ない。
「もう、アイツのことは忘れる。忠告を聞かずに勝手に堕ちていった奴まで、面倒見切れるか」
「それがよろしいかと」
「で……ストーン嬢のことだが」
「は」
雰囲気を一変させた主に、レイモンドは背筋を伸ばした。
「逃亡した、のか?」
「いえ、正確には違います。ストーン家に着いて馬車のドアを開けたら、中に座っていたのは茶髪茶目の少女だったそうで」
「身代わりか」
クローディアスの深刻な口調に、レイモンドは首を振った。
「いえ、本人だそうです」
「……は?」
「元々、ストーン嬢は茶髪茶目の、おとなしい少女でした。学園に入る前に、何故かピンクの頭になっていたそうで……性格も変わり果て、お前などうちの娘ではない!と勘当に近い状態で放り出したらしいのですが」
「迷惑だな⁉︎」
「家に着いた茶髪のストーン嬢は、元のマリナ嬢だったらしく」
「あー……じゃあまあ、ピンク頭は逃亡したで、いいんだな」
「そのようです」
紅茶で喉を潤し、クローディアスは再び口を開いた。
「ハーレム男の方は?」
「家で監禁されたのは確認しました。数日は騒ぎ立てていたようですが……ぬいぐるみを与えたら静かになったそうで」
「……は?」
「ぬいぐるみを与えたら静かになったそうで」
「聞こえなかった訳じゃないっ」
クローディアスは、再びソファに沈み込んだ。
「何なんだ、一体……」
「1つ1つお名前を付けて、ハーレムしているそうですよ?クマちゃんと」
「クマちゃん……」
ボスッとクッションを殴って、クローディアスは吐き捨てた。
「それでいいんなら、端っからそうしてろっての」
あーもーやだ、と呟いて、殴ったクッションを抱えたクローディアスに、レイモンドは無表情に言った。
「シャイルードル公爵令嬢をお呼びしますか?」
「結構だ!」
「そうですか。私はパティに会ってきます」
では、と立ち上がったレイモンドに、クローディアスは、イイ笑顔を浮かべた。
「逃すか。今は人手が足りないんだ。動員した文官に、変なのが混じってないとは限らないからな」
「嫌です」
「仕事だ」
「……くっ」
拳を握って扉に向かったレイモンドに、クローディアスは澄ました顔で声をかけた。
「休憩は終わりだ。文官を入れてくれ」
「……かしこまりました」
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