死を取り扱う精霊の物語

Spitfire

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1 羽無き精霊

1-2 目覚め-α-

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 銀世界、露出する部分から冷たい風が当たる。
「ベクター……君はもうそろそろ、独り立ちの時期だ」
銀世界を歩く中、先頭に立つ大男がそう言う。
「……独り立ち…?」



「ん……ぐう」
夢。短い夢……。
いつかの過去、そんな夢から解放された。
……ココは。
「あ……気が付きましたか?ベクターくん」
聞き覚えのある声が何処からかする。
「うぅ……」
体を起こそうとした時、その声の主が見える。
ソフィア先生。僕の住む寮の人。
「……え」
僕は軽く呆然としてしまう。
「……あなた、いきなり倒れたそうね……」
ソフィア先生曰く、僕はジークさんと話してる最中にぶっ倒れたらしい。
その後、ジークさんと共に僕の部屋に運んでくれて、今に至るとの事だ。
「……何かあったのかしら?」
ソフィア先生はかなり気にしてるらしく、僕に疑問を当ててきた。
「……実は……僕……夜型なのです」
死に関わる精霊の都合上。夜型になるものはかなり多い。
「……あら、それはそれは……」
ソフィア先生は目を丸くしてしまうものの、直ぐに笑みを作り、微笑んだ。
「それなら、ゆっくり直していきましょう。学園は基本昼からなので」

ソフィア先生とある程度話した後、僕はのんびりと休み、次の日になると片付けや整理整頓をして、外をぶらぶらし……泡地獄をした後、のんびりと寝た。

そして翌朝。
様々な精霊が朝を迎え、個々のスケジュールをこなしていく中、僕もそのようにしていた。
起きて、朝食を取り、支度して、寮を後にする。
今日から授業に入る中、僕は緊張と好奇心が擽られていた。
一昨日にあったジークさん。
昨日一緒に食べたラフィくん。
個性豊かな人々が揃うこの学園で、他の者達に会うことがちょっとだが、楽しみになっていた。
授業に必要な教科書にプリント。
外に出る為の鹿撃ち帽を被りながら学園に向かう。
様々な精霊が学園に向かう中、1人遅れてみんなの後を追う僕。
精霊達を次々抜かして進むと、目の前に目的の学園校舎が見えてきた。
上から見た時に弧を描く形で、白い壁に木の色の屋根……。
新しくも温もりのある空間がコンセプトと、聞くこの校舎にあるレンガ造りの階段を登り、すぐさま目的の場所を探す。
この校舎には下足箱というものがないので、直ぐに校舎内を動ける。
しかし、コレには綺麗好きのラフィからしては、嫌なことこの上ない……と思う。
そんな事を浮かべながら第1講義室のある一階左廊下を進み、奥にある扉を開く。
扉の先には大きな空間が広がる。
この学校で1番大きい第1講義室はその称号に恥じぬ大きさをしていたようだ。
教室内には僕より先に来た学生精霊がちらほら居る。
シュティーア寮に居た赤い髪の毛をもつジークや、話したことが無いものの黄色い髪の毛の精霊が、もう1人の精霊と共にいる。
他にも、泡の精霊であるラフィが2人の小さな精霊と共に居るのが見える。
他にも、赤い帽子に赤い服を来た赤だらけの精霊や、ちょっとオドオドしてる灰色の精霊。天使のような雰囲気をもつ黄色髪の精霊。
そして、既にトネリコの葉を卒業したのか、葉羽はねを卒業した白毛の少女がいた。
……ここに居るみんなは、自身の羽を手にする為集まった者たちなんだろう。
僕のライバルであり、仲間であり、同じ目標を持った者たちなのだと認識した。

ホームルームが終わり、直ぐに授業が始まった。
最初は神樹トネリコ伝承学というもの。
僕はこの事については完全な無知であり。授業の話が始まっても理解はできないものであった。
授業が進み、3時間目、4時間目と進む。
……そして、授業も終わり、僕は理解できなかった内容を知りたいが為、僕はのんびりと教科書を見て、予習する。
数時間、宿題を取り組み、教室内で勉強を進める中、
「勉強熱心だね」
オドオドとした声で僕に話しかけてくる精霊がいた。
教室内で見た灰色の精霊さん。
入学式の時に見たことがあり、その時名前を確認した。たしかその名前は……。
「……シューヴァ・イーリス」
和服に学生服という、変わった服装の彼の名前。
「そう、シューヴァ……、あなたと同じ……ここで勉強する者です」
緊張と臆病が混ざってぎこちない言い方をするジーヴァ。
「そんな固くならなくて大丈夫だよ、シューヴァさん……!」
シューヴァに向けて軽く笑みを作り、解すように促す。
「あ……えと……すみません」
1つ誤りを入れるシューヴァ。やはり話すことには慣れていないのだろう。
「シューヴァくん!!!助けてくださーい!!!!!!」
……何処からかそんな声が聞こえ、シューヴァはすぐにそちらの対応に追われて言った。
そして、僕もある程度勉強に取り組み終え、時間的に寮に戻る時間が迫っていた。

校舎を後にし、僕はゆっくりと帰宅道を帰る中、1人の精霊が木の影でぼーと立っていることに気がついた。
「……あの子は」
その精霊が誰かピンと来た。
……と言うより、その見た目ですぐに分かるものかもしれない。
全身に赤いものを装備し、赤いボトルキャップのような帽子を被るその精霊を忘れるわけがない。彼も入学式の時に名前を知って……たしか
「……君は、ココラくん?」
赤い精霊・ココラは自身の名前を呼ばれて振り向く。
「……きみは?」
そう訪ねてくる。
「僕はベクター……君と同じく、羽がない精霊だよ」
と、自己紹介をした。
「きみも、羽がないんだね」
ふわっとした言い方にのんびりとした雰囲気でココラは話す。
「うん、生まれつき持ってないんだ……僕は」
ほほうと、興味を軽く持つココラ……しかし、
「そうなんだね……きみはそういう……って、なんのはなしをしてたんだっけ?」
ちょっとバランスを崩したくなるような発言に僕はちょっとツッコミを入れたくなった。

ココラと話を終え、寮に帰宅。
ソフィア先生に挨拶をして、自分の部屋に入る。
今日も色んな人に話したな……。
話す事は楽しいものと昔、お師匠様に言われたのを思い出した。
様々なことを知り、様々なことを教えれる。
お師匠様が僕に教えてくれたこと。
人と話すのは大切であり、なくてはならないこと。お師匠様はずっとそれを僕に教えてくれた。
今、みんなと話すことができ、話すことが楽しいことを実感できた。
……これからも様々な人と話すことになると思うと、自然とワクワクしてきた。
お師匠様、僕に学園というものを教えて下さり、ありがとうございます。
そんな聞こえないお礼をした後、僕は軽く夕食を食べ、風呂に入り、ベットにダイブする。
夕食も風呂もベットも全て妙に熱かった。
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