【完結】聖女のはずが勇者(仮)に間違われて、魔王さまに溺愛されてます

小豆缶

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49 魔王復活とは

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魔王さまは、それからずっと私を膝に乗せて、ぎゅっと抱きしめていた。

言葉はなかった。
でも、沈黙の中のぬくもりが、すべてを語っていた。

「トミーさんじゃないよ」なんて、軽くは言えない。
でも、そうではないようにと願う彼の心に、そっと寄り添いたかった。

そして――ウンディーネさんのことを思うと、胸がぎゅっと痛くなる。

やっと、二人は許し合えたのに。
マクライアさんは、指輪ケースを用意して、きっと喜ばせようとしてたのに。

……どうして、こんなに上手くいかないの?

「リン」

魔王さまが、ぽつりと私の名前を呼んだ。

「ウンディーネが、お前にとって大切な存在だということは、わかっている」

私は小さくうなずく。
ネズミイさんと同じ、この世界で出会えた――初めての“友達”。

「でも彼女も、もともとは死んだ存在だ。マクライアがいない今、精霊契約を解除して……あの世に返してやろうと思う」
「……二人は、そっちで会えるんでしょうか?」
「それは、わからない。でも……もう大丈夫だと思う」

魔王さまの微笑みは、あまりにも儚くて、見ていられなかった。

「ただ、水の精霊がいないと、君の浄化に負担がかかるかもしれない」

そう言って、彼はそっと私の頬に触れる。

「リンに何かあったら……私は、きっと狂う」

その声は静かで、深く沈んでいた。

「……それを止められるのは、私の子供だけだ」
「……子供?」

思わず聞き返してから、自分の顔が熱くなる。
え、子供? いや、キスはしたけど、そんな段階じゃ……!

「私の子供が、狂化した私を殺す。そうでなければ、魔界は壊れる」
「え……?」

子供が、魔王さまを……殺す?

「五十年前、前の魔王が瘴気を吸い切れなくなり、魔界の門が開いた。
狂化した魔物が人間界にあふれ、新たな魔王が現れるまで止まらなかった」

魔王さまは、遠い昔を思い出すように語る。

「人間は“魔王が復活した”と思ってる。勇者がそれを倒すって。でも違う。
本当は、新しい魔王が、前の狂化した魔王を殺す。それが、魔王の継承なんだ。新たに力を持った魔王が復活するから《魔王復活》だ」

私は、言葉を失った。

つまり、私との間に生まれる子供が、魔王さまを……?

「……父が悪人なら、きっと割り切れた。けど……」

魔王さまは目を伏せ、低く続けた。

「母を早くに亡くした私に、父はたくさんの愛情をくれた。
でも瘴気に呑まれ、苦しみながら私に『殺してくれ』と懇願した。誰も止められなかった。だから私が……」

その苦しみは、想像もできない。
どれほどの決断だったか、胸が痛くなる。

「リンとの子は、きっとかわいい。大切にしたい。でも……私と同じことを背負わせたくないんだ」

魔王さまの手が、私の背をぎゅっと抱きしめる。

「それに……もし君が、ウンディーネのように力を使いすぎて消えたら、その子はどれだけ不幸か。考えるだけで、怖くて仕方がない」

そして、ぽつりと続けた。

「でも、それは私たちの感情の話だ。ウンディーネとマクライアを、ちゃんと解放してやれるのは……俺たちしかいないんだよ」

その腕に、もう一度、力が込められた。
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