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お仕事編
15 それぞれのギフト
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「お前たち、オルランド侯爵をざまぁしてめでたしにしてないか?危険だと分かっていてもこれからが本番だ。
リリアにはギフトがあるだろうが」
ヤコブが、つまらないことを言うなという顔で呆れている。
「ギフトは自分の身を守るために使いますけど。でも、自分の意識が先になくなったらギフトは使えないので、解毒剤は欲しいです」
行かない選択肢はないのだろう。
正直、母と会う可能性が高いのは憂鬱だ。
逃げたい。
でも、私は何も悪いことはしていない。
「解毒は必要ない。俺のギフトは【毒を消す力】だ。」
ヤコブはキッパリと私たちに告げた。
「へぇ、便利だなあ。むしろそれは俺が欲しいギフトだな」
ゲオルクも羨ましそうな顔をする。
そんなギフトもあるのか。
でも毒に出会わない人や職業で使わない人が大半よね。
普段だったら埋没しそうなギフトだわ。
ゲオルクの腹違いのお姉さんといい、ヤコブといい、それを職業に活かせてうらやましい。
ん?
「あれ?ヤコブさん、私が毒にやられた時、どうやってそのギフトを発動させるんですか?」
わたしが目をぱちぱちさせて聞くと、ヤコブ、ゲオルク、グレイの三人は、少し嫌そうな顔をしながら、顔を見合わせていた
◇
「どこからどう見ても......女性にしか見えません...なんか、ひどいわ。天は二物を与えすぎじゃないかしら?」
お茶会当日───
私は、女装したヤコブのメイド姿を見て言葉を失った。
しかも、クール美人系、美しいプラチナの髪が年齢を不詳にさせる。
骨格を綿の詰め物で丸みを持たせ、メガネを外し、すべすべに整えられた肌にのった化粧が色白の肌に見せる。
とても不満げにしているのに、美しいって...全女性を敵に回しますよ。
なんですか?誰ですか?コレ?
「だが、女性の声は長くは出せないし、そばにいるというよりは、動かず下がって見守るしかできない」
第一王妃の主催のお茶会に、自分のメイドがしゃしゃり出るのは、主人のメイドの躾を問われる。
主人が頼りにならないと言っているようなものだからだ。
それに、位は第一王妃が最高位。
そのメイドを信頼していないというそぶりは見せられない。
「居てくれると思うだけで心強いわ」
コレは本当だ。
手強い第一王妃だけじゃない。
私は、これから母からも身を守りつつ、第五王妃に何かあればそれにも対応するのだから。
「リリアがくる前はみんな代わる代わる女性役をしていたんだよ。ヤコブの女装は上手いから、安心できる。歩き方や雰囲気、声とか意外と性別を変えるのは技術が必要なんだ」
グレイの説明に、私も納得する。
「そうね。私も男になれって言われても、無理だもの。ヤコブさん、すごいわ。でも、毒を私が浴びた時はどうやって解毒するの?」
「俺の場合は、毒を浴びた対象者や毒が入ったものに触れるだけだな。」
ヤコブは「その時は流石に駆け寄って助けてやる」と私の頭にポンポンと触れそうになって、手を止める。
「せっかくセットしてるんですからね。この髪を崩したらヤコブさんを恨みますからね」
メイドがいないので、基本は私と周りの職員総出でやらないといけない。
コルセットはグレイに手伝ってもらったが、未婚なので本来ならそれもありえないことだがそうも言っていられない。
ゲオルクは、そんな私を頼もしそうに見つめたが、少し元気がない。
「リリアもすごく綺麗だよ。だが、あの第一王妃の逆鱗に触れなければいいが......」
こんな時にも、偽の婚約者候補を褒めるのはさすが王子。
でも顔色が悪い。
今日はお茶会なので、私のドレスは淡い少しブルーがかったデイドレスだ。
他の王妃たちと被らないように地味なものを選んでいる。
それでも、第一王妃は、気に入らないでしょうね。
「もう!こんな時は笑って楽しくおかしくやり遂げるんじゃなかったの?ほら、ゲオルクだって、そんな顔していたら、せっかくの男前が台無しよ。」
お母様が亡くなった場所だもの
更に、同じような環境を整えられたら、落ち込むのだって当然だわ。
私は、ゲオルクの前で淑女らしくない笑い声をあげて、ニィッと口角をあげた。
不安があっても、それをおくびにも出さず美しく洗練した動きをするの。
そうお母様が言っていたわね。
お母様はきっと…最高の侍女を演じるでしょうね。
だから、私もやり遂げるわよ。
ここを私が生きて行く世界にするのだと決めたのだから──
「あとは、そうだ!ピアスを取って、音を傍受できるイヤリングに変えるけどいいかい?」
ヤコブが品のあるパールに似せたイヤリングを持ってくる。
「あれ?このピアスって音の傍受ができるんじゃないんですか?」
すっかりピアス穴も出来上がり、慣れたピアスを外してもらいながら聞くと、ヤコブは何のことだい?と首を傾げている。
「そんなプライバシーも守れないことしないよ。情事のときにこっちも聞きたくないじゃないか」
ヤコブが顔を顰めて、ないないと手を振る。
情事と言われ、私も想像して真っ赤になる。
だが、あら?想像するわたしの相手が出てこないわ。
「もうっ!情事の時がないと分かっていて言わないでください。でも、それじゃどうしてゲオルクは私とグレイお兄様の話をきいてたの?」
目の前のゲオルクが決まり悪そうに口を開いた。
「ごめん、そのピアスはただの位置情報。気持ち悪いだろうと思って言わなかったんだけどね……俺の《ギフト》は【音が傍受できる力】なんだよ」
リリアにはギフトがあるだろうが」
ヤコブが、つまらないことを言うなという顔で呆れている。
「ギフトは自分の身を守るために使いますけど。でも、自分の意識が先になくなったらギフトは使えないので、解毒剤は欲しいです」
行かない選択肢はないのだろう。
正直、母と会う可能性が高いのは憂鬱だ。
逃げたい。
でも、私は何も悪いことはしていない。
「解毒は必要ない。俺のギフトは【毒を消す力】だ。」
ヤコブはキッパリと私たちに告げた。
「へぇ、便利だなあ。むしろそれは俺が欲しいギフトだな」
ゲオルクも羨ましそうな顔をする。
そんなギフトもあるのか。
でも毒に出会わない人や職業で使わない人が大半よね。
普段だったら埋没しそうなギフトだわ。
ゲオルクの腹違いのお姉さんといい、ヤコブといい、それを職業に活かせてうらやましい。
ん?
「あれ?ヤコブさん、私が毒にやられた時、どうやってそのギフトを発動させるんですか?」
わたしが目をぱちぱちさせて聞くと、ヤコブ、ゲオルク、グレイの三人は、少し嫌そうな顔をしながら、顔を見合わせていた
◇
「どこからどう見ても......女性にしか見えません...なんか、ひどいわ。天は二物を与えすぎじゃないかしら?」
お茶会当日───
私は、女装したヤコブのメイド姿を見て言葉を失った。
しかも、クール美人系、美しいプラチナの髪が年齢を不詳にさせる。
骨格を綿の詰め物で丸みを持たせ、メガネを外し、すべすべに整えられた肌にのった化粧が色白の肌に見せる。
とても不満げにしているのに、美しいって...全女性を敵に回しますよ。
なんですか?誰ですか?コレ?
「だが、女性の声は長くは出せないし、そばにいるというよりは、動かず下がって見守るしかできない」
第一王妃の主催のお茶会に、自分のメイドがしゃしゃり出るのは、主人のメイドの躾を問われる。
主人が頼りにならないと言っているようなものだからだ。
それに、位は第一王妃が最高位。
そのメイドを信頼していないというそぶりは見せられない。
「居てくれると思うだけで心強いわ」
コレは本当だ。
手強い第一王妃だけじゃない。
私は、これから母からも身を守りつつ、第五王妃に何かあればそれにも対応するのだから。
「リリアがくる前はみんな代わる代わる女性役をしていたんだよ。ヤコブの女装は上手いから、安心できる。歩き方や雰囲気、声とか意外と性別を変えるのは技術が必要なんだ」
グレイの説明に、私も納得する。
「そうね。私も男になれって言われても、無理だもの。ヤコブさん、すごいわ。でも、毒を私が浴びた時はどうやって解毒するの?」
「俺の場合は、毒を浴びた対象者や毒が入ったものに触れるだけだな。」
ヤコブは「その時は流石に駆け寄って助けてやる」と私の頭にポンポンと触れそうになって、手を止める。
「せっかくセットしてるんですからね。この髪を崩したらヤコブさんを恨みますからね」
メイドがいないので、基本は私と周りの職員総出でやらないといけない。
コルセットはグレイに手伝ってもらったが、未婚なので本来ならそれもありえないことだがそうも言っていられない。
ゲオルクは、そんな私を頼もしそうに見つめたが、少し元気がない。
「リリアもすごく綺麗だよ。だが、あの第一王妃の逆鱗に触れなければいいが......」
こんな時にも、偽の婚約者候補を褒めるのはさすが王子。
でも顔色が悪い。
今日はお茶会なので、私のドレスは淡い少しブルーがかったデイドレスだ。
他の王妃たちと被らないように地味なものを選んでいる。
それでも、第一王妃は、気に入らないでしょうね。
「もう!こんな時は笑って楽しくおかしくやり遂げるんじゃなかったの?ほら、ゲオルクだって、そんな顔していたら、せっかくの男前が台無しよ。」
お母様が亡くなった場所だもの
更に、同じような環境を整えられたら、落ち込むのだって当然だわ。
私は、ゲオルクの前で淑女らしくない笑い声をあげて、ニィッと口角をあげた。
不安があっても、それをおくびにも出さず美しく洗練した動きをするの。
そうお母様が言っていたわね。
お母様はきっと…最高の侍女を演じるでしょうね。
だから、私もやり遂げるわよ。
ここを私が生きて行く世界にするのだと決めたのだから──
「あとは、そうだ!ピアスを取って、音を傍受できるイヤリングに変えるけどいいかい?」
ヤコブが品のあるパールに似せたイヤリングを持ってくる。
「あれ?このピアスって音の傍受ができるんじゃないんですか?」
すっかりピアス穴も出来上がり、慣れたピアスを外してもらいながら聞くと、ヤコブは何のことだい?と首を傾げている。
「そんなプライバシーも守れないことしないよ。情事のときにこっちも聞きたくないじゃないか」
ヤコブが顔を顰めて、ないないと手を振る。
情事と言われ、私も想像して真っ赤になる。
だが、あら?想像するわたしの相手が出てこないわ。
「もうっ!情事の時がないと分かっていて言わないでください。でも、それじゃどうしてゲオルクは私とグレイお兄様の話をきいてたの?」
目の前のゲオルクが決まり悪そうに口を開いた。
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