捨てようとした命の価値

水谷アス

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モゲマルとの100日

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島に着いた日から毎日つけた目印が
ついに100個めになった。

「今日で100日かぁ」

モゲマルはこの島に沢山住んでいた。

他の動物…虫とかトカゲはいたけど
哺乳類はあまり見かけない。

多分天敵がいないから
こいつはこんなに
のんびりしているんだろう。

最初の一匹と仲良くなったら
モゲマルは次々と現れて
いつもリンゴを持ってきてくれた。
きれいな水のあるところも
教えてくれた。

何とかそれで生きることができた。
そこらの木の枝や葉っぱを組み合わせて
雨をしのぐ家のようなものも作ってみる。

そしたらその中にモゲマルが住み着いて
なんと、子どもを産んでしまった。

子どもを産んだとこに
同居するのも何なので
そのたびに新しい家を作った。

でも、作るたびにそこはモゲマルの巣に
なってしまうのだった。

住み着いたモゲマルが
何だか嬉しそうにしている気がして
案外まんざらでもなかった。

ちょっと寒さを感じたときには
モゲマルをぎゅっと抱きしめているだけで
十分暖かかった。

100日ここで過ごしたけど…
モゲマルがいてくれるから
案外楽しくやれている。





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