バイバイ、セフレ。

月岡夜宵

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おまけSS『11月22日の夫夫』

 籍を入れた日。俺と彼は家族になった。正真正銘の伴侶である。俺たちを結ぶ確かな〝つながり〟が出来た、こんなに嬉しいことは他にない。やっと夢にまで見た君の隣に立つことが叶った瞬間である。


 勿論、共に住もうとすれば住むことは出来た。恋人期間と婚約の期間がほぼ一緒ではある自分達。お試し期間でもないが、仮住まいで同棲をする案だってあった。ただそれをしなかったのはけじめである。

 共に支え合う関係になりたい。それは俺の理想だった。
 未来を想像した時、彼に守られてばかりの自分になりたくなかった。だから大学生の間は彼に見合う人になるべく努力しようと思っていた。その意思を尊重してくれた紫君も思う所があったようで同意はすんなりとれたのだった。

 自分も、と紫君はあの日続けた。

「いつか壊れてしまうものなんかじゃない。本気で欲しいのは強固な絆なんだ。仮初の関係はあの頃だけでごめんだしね」

 セフレ、という世間一般的に褒められたものではない関係であった俺たち。だからこそ思うのだ。あんな中途半端でいつ揺らいでも仕方ない不確かなものでは、結局誤解したまま終わっていても不思議ではなかったと。
 だからこそそんな二の舞を踏むことがないように、徹底的に話し合って決めたのだ。

 二度とそばから離れずに済むよう、予防線を張っておこうと。

 人の気持は残念ながら移ろいやすい。だからこそ、容易には移ろうことがないように、お互いを結びつけるものを一つずつ増やしていこうと。

 紫君はロマンチストなわりに強かだ。時々暴走しがちな危うい影が見えそうになるが、それは俺に関係することだけ。そんな彼の提案。勿論俺も賛成した。




 そして現在。11月22日。

「周囲からの理想とかじゃなくてさ。自分たちにとってより良い関係を築き上げたいんだ。そのために、籍を入れる日はやっぱりこの日がいいだろうなって決めてたんだよ。末永く尚紀と居られるように」
「ふふっ……紫って案外ロマンチストだよね?」
「な!?」
「でも俺も、嫌いじゃないよ」

 ――君とずっと居られる、そんなおまじないがあるなら、俺は信じたい。ささやかな夢をいつまでも共に。その誓いを、この用紙に託す。

「いい夫夫になろうな」
「うん。いい夫夫でいよう」

 純白の衣装をまとう結婚式より先に、真っ白な婚姻届を出すところから二人の共同作業は始まったのであった。

バイバイ、セフレ。おまけ《完》

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