16 / 16
おまけSS『11月22日の夫夫』
籍を入れた日。俺と彼は家族になった。正真正銘の伴侶である。俺たちを結ぶ確かな〝つながり〟が出来た、こんなに嬉しいことは他にない。やっと夢にまで見た君の隣に立つことが叶った瞬間である。
勿論、共に住もうとすれば住むことは出来た。恋人期間と婚約の期間がほぼ一緒ではある自分達。お試し期間でもないが、仮住まいで同棲をする案だってあった。ただそれをしなかったのはけじめである。
共に支え合う関係になりたい。それは俺の理想だった。
未来を想像した時、彼に守られてばかりの自分になりたくなかった。だから大学生の間は彼に見合う人になるべく努力しようと思っていた。その意思を尊重してくれた紫君も思う所があったようで同意はすんなりとれたのだった。
自分も、と紫君はあの日続けた。
「いつか壊れてしまうものなんかじゃない。本気で欲しいのは強固な絆なんだ。仮初の関係はあの頃だけでごめんだしね」
セフレ、という世間一般的に褒められたものではない関係であった俺たち。だからこそ思うのだ。あんな中途半端でいつ揺らいでも仕方ない不確かなものでは、結局誤解したまま終わっていても不思議ではなかったと。
だからこそそんな二の舞を踏むことがないように、徹底的に話し合って決めたのだ。
二度とそばから離れずに済むよう、予防線を張っておこうと。
人の気持は残念ながら移ろいやすい。だからこそ、容易には移ろうことがないように、お互いを結びつけるものを一つずつ増やしていこうと。
紫君はロマンチストなわりに強かだ。時々暴走しがちな危うい影が見えそうになるが、それは俺に関係することだけ。そんな彼の提案。勿論俺も賛成した。
そして現在。11月22日。
「周囲からの理想とかじゃなくてさ。自分たちにとってより良い関係を築き上げたいんだ。そのために、籍を入れる日はやっぱりこの日がいいだろうなって決めてたんだよ。末永く尚紀と居られるように」
「ふふっ……紫って案外ロマンチストだよね?」
「な!?」
「でも俺も、嫌いじゃないよ」
――君とずっと居られる、そんなおまじないがあるなら、俺は信じたい。ささやかな夢をいつまでも共に。その誓いを、この用紙に託す。
「いい夫夫になろうな」
「うん。いい夫夫でいよう」
純白の衣装をまとう結婚式より先に、真っ白な婚姻届を出すところから二人の共同作業は始まったのであった。
バイバイ、セフレ。おまけ《完》
勿論、共に住もうとすれば住むことは出来た。恋人期間と婚約の期間がほぼ一緒ではある自分達。お試し期間でもないが、仮住まいで同棲をする案だってあった。ただそれをしなかったのはけじめである。
共に支え合う関係になりたい。それは俺の理想だった。
未来を想像した時、彼に守られてばかりの自分になりたくなかった。だから大学生の間は彼に見合う人になるべく努力しようと思っていた。その意思を尊重してくれた紫君も思う所があったようで同意はすんなりとれたのだった。
自分も、と紫君はあの日続けた。
「いつか壊れてしまうものなんかじゃない。本気で欲しいのは強固な絆なんだ。仮初の関係はあの頃だけでごめんだしね」
セフレ、という世間一般的に褒められたものではない関係であった俺たち。だからこそ思うのだ。あんな中途半端でいつ揺らいでも仕方ない不確かなものでは、結局誤解したまま終わっていても不思議ではなかったと。
だからこそそんな二の舞を踏むことがないように、徹底的に話し合って決めたのだ。
二度とそばから離れずに済むよう、予防線を張っておこうと。
人の気持は残念ながら移ろいやすい。だからこそ、容易には移ろうことがないように、お互いを結びつけるものを一つずつ増やしていこうと。
紫君はロマンチストなわりに強かだ。時々暴走しがちな危うい影が見えそうになるが、それは俺に関係することだけ。そんな彼の提案。勿論俺も賛成した。
そして現在。11月22日。
「周囲からの理想とかじゃなくてさ。自分たちにとってより良い関係を築き上げたいんだ。そのために、籍を入れる日はやっぱりこの日がいいだろうなって決めてたんだよ。末永く尚紀と居られるように」
「ふふっ……紫って案外ロマンチストだよね?」
「な!?」
「でも俺も、嫌いじゃないよ」
――君とずっと居られる、そんなおまじないがあるなら、俺は信じたい。ささやかな夢をいつまでも共に。その誓いを、この用紙に託す。
「いい夫夫になろうな」
「うん。いい夫夫でいよう」
純白の衣装をまとう結婚式より先に、真っ白な婚姻届を出すところから二人の共同作業は始まったのであった。
バイバイ、セフレ。おまけ《完》
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
人並みに嫉妬くらいします
米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け
高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。
君の足跡すら
のらねことすていぬ
BL
駅で助けてくれた鹿島鳴守君に一目惚れした僕は、ずっと彼のストーカーをしている。伝えるつもりなんてなくて、ただ彼が穏やかに暮らしているところを見れればそれでいい。
そう思っていたのに、ある日彼が風邪だという噂を聞いて家まで行くと、なにやら彼は勘違いしているようで……。
不良高校生×ストーカー気味まじめ君
片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。