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しおりを挟む大陸の覇者、リシャール帝国。
竜に見守られている歴史ある帝国で、周辺の国々は豊かな帝国の恩恵を受けるために属国となり、大陸は帝国を中心に反映してきた。
そして、リシャール帝国の皇族に次いで権力を握るのは竜の子孫である公爵家。
始祖の竜が人間と契りを交わしたその子孫たちは竜の力をその身に宿し、強い軍事力を帝国にもたらした。
その気になれば、帝国を統べることも出来るであろう公爵家だが、その後継者には代々受け継がれる弱点がある。
それは、強すぎる竜の力に人間の体が馴染まないことだ。
その膨大な力が人体を駆け巡り、とてつもない激痛が襲うのだ。
幼い頃は、攻撃魔法としてその力を放出することで痛みの軽減をはかるが、体が成人に近付くと力の放出が間に合わなくなってくる。
では、どう対処するのか。
自身の番に、その負担をおわせるのだ。
そうすることで子孫たちは耐え難い苦痛から解放され、人間らしい寿命まで生き長らえることができる。
だが、負担をおわされる番はその負担に耐えられずに大きく寿命を減らしてしまう。
その為に幾ら皇族に次ぐ地位を持つ公爵家とはいえ、どの貴族も自身の子どもを公爵家に嫁がせることを躊躇うので、公爵家後継者の花嫁探しはいつの代も難航した。
そして今代の後継者カルディも十八の年を迎え、花嫁を強く必要とする年になっていた。
今回はどこの令嬢を嫁がせればいいものかと社交界で悩みの種になっていたが、ある日突然にその花嫁の座を願う令嬢が現れた。
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