上 下
1 / 30
序章

(1)

しおりを挟む
【俺を取り戻してよ】

 きっと、私たちの繋がりは、その一枚の紙きれから始まってしまっていた。
 避けようがない運命がもしあるとするならば、私たちに起こったことは必然だったのかもしれない。明日どころから、数時間先のことでさえ人は分からないものだ。
 それでも、たったひとつだけ分かっていたことがある。
 それは、私たちにはタイムリミットがあったということ。そのことだけはたしかだった。

しおりを挟む

処理中です...