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侯爵家の秘宝
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シアは、再び試練に耐えていた。
何しろ、領民へのお披露目である。どちらかと言えば、昨日のパーティーよりも本日の方が大切な日である。
ケイティが既に着るドレスを用意して、万全である。
「シア様は金色の美しい御髪ですから、どんなドレスもよく似合うので迷いました・・・」
ドレスはシアにピッタリで、白の生地が段々赤へと変わっていく薔薇の蕾の様なドレスである。
「少し胸元が開きすぎでは?」
シアは少々難癖をつけてきたが、ケイティは聞く耳を持たない。
「シア様、アナスタシア様はご自分がこれほどお美しいと言うのに、全くおめかしをなさらないんですもの。こういう時くらい、私の腕を奮わせてくださいませ!」
鏡の中のシアは、本当に美しく、まるで御伽の国のお姫様の様である。
「私は、いつものドレスがいいのに・・・全く、サージャといい、ケイティといい・・・」
「私にいくら悪態をつかれても無駄でございますよ。さあ、これをおつけください。」
最後に、耳と胸元には濃緑色の宝石をあしらったイヤリングとネックレスがシアを飾った。
「光の加減でルビーの様に色が変わる、珍しい石だそうでー」
「知っている・・・」
「え?」
シアは何故か苦笑いを浮かべた。
「アレキサンドライト・・・侯爵家の秘宝・・・」
「シア様?」
シアは、どこか思いがあるのか。その宝石を手で触っていた。
「シア様?!」
ケイティがもう一度声をかける。シアは、ハッとして空色の瞳をケイティに向ける。
「ご気分でもお悪いのではないですか?」
ケイティは、心配そうにシアの顔を覗き込む。ケイティは、シアより一つ年下だというのに、いつも細かなところまで気を使ってくれる。
「なんでもない、なんでもないの・・・そんなふうに心配しなくても大丈夫だから。サージャと領民たちが待っているのでしょう?」
シアは、そうケイティに優しく微笑んだ。
何しろ、領民へのお披露目である。どちらかと言えば、昨日のパーティーよりも本日の方が大切な日である。
ケイティが既に着るドレスを用意して、万全である。
「シア様は金色の美しい御髪ですから、どんなドレスもよく似合うので迷いました・・・」
ドレスはシアにピッタリで、白の生地が段々赤へと変わっていく薔薇の蕾の様なドレスである。
「少し胸元が開きすぎでは?」
シアは少々難癖をつけてきたが、ケイティは聞く耳を持たない。
「シア様、アナスタシア様はご自分がこれほどお美しいと言うのに、全くおめかしをなさらないんですもの。こういう時くらい、私の腕を奮わせてくださいませ!」
鏡の中のシアは、本当に美しく、まるで御伽の国のお姫様の様である。
「私は、いつものドレスがいいのに・・・全く、サージャといい、ケイティといい・・・」
「私にいくら悪態をつかれても無駄でございますよ。さあ、これをおつけください。」
最後に、耳と胸元には濃緑色の宝石をあしらったイヤリングとネックレスがシアを飾った。
「光の加減でルビーの様に色が変わる、珍しい石だそうでー」
「知っている・・・」
「え?」
シアは何故か苦笑いを浮かべた。
「アレキサンドライト・・・侯爵家の秘宝・・・」
「シア様?」
シアは、どこか思いがあるのか。その宝石を手で触っていた。
「シア様?!」
ケイティがもう一度声をかける。シアは、ハッとして空色の瞳をケイティに向ける。
「ご気分でもお悪いのではないですか?」
ケイティは、心配そうにシアの顔を覗き込む。ケイティは、シアより一つ年下だというのに、いつも細かなところまで気を使ってくれる。
「なんでもない、なんでもないの・・・そんなふうに心配しなくても大丈夫だから。サージャと領民たちが待っているのでしょう?」
シアは、そうケイティに優しく微笑んだ。
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