7 / 50
第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~
天敵? いえ真面目すぎるだけです
しおりを挟む
札幌市地下歩行空間の設営も無事に完了。
イベント期間が土、日曜日の二日間だったため、日曜日の夕方6時から撤去作業が始まりました。
基本的に、撤去作業は設営時間の2/3程度、今回の場合も設営はイベントの運営スタッフが来る15分前に完了しました。
ただ、システムなどの解体についてはさすがはベテランさん、一気に解体を終わらせて備品回収の私がむしろ遅かったという。
「……よし、梱包は終わったのでこれからエレベータまで移動します。いつも通りの注意点を守って、安全にお願いします」
ウィルプラスの高尾さんの説明と同時に、全員で搬出作業を開始。
ただ、日曜日の夕方5時というシビアな時間は、搬出作業には不向きな気がします。
──ガヤガヤガヤガヤ
大勢の人が行き来する地下歩行空間。
その中を、システム機材をはじめ多くの荷物が積まれている台車を押していかなくてはなりません。
決して壁などの設備にぶつかることなく、尚且つ通行の妨げにならないように。
ここで問題なのは、私たちが問題を起こした場合、そのクレームは最初にイベント運営会社に届くということ。
そこから下請け会社に降りて、そして私たちの会社へ。
それ故に、兎にも角にも注意しなくてはなりません。
通路及びエレベータの優先権は道ゆく人々、私たちはそこを通してもらっている。
この心構えが甘いと、ちょっとした油断で事故に繋がるそうです。
しかも、どんなに軽い台車も二人で押さなくてはなりません。
それが札幌市交通局のルール。
「……しっかし。一般用エレベータじゃな暗く搬出用のやつを使わせてもらえたら、楽なんだけどなぁ」
「そうそう。その辺り何というか、頭が硬いというか……」
まだ名前を覚えていないベテランさんがぼやいています。
そういえば、確かに作業用のエレベーターってある筈ですよね?
よく地下歩行空間で大きな催しがありますけれど、どう考えても一般用エレベータでは荷物を下ろすことは不可能なものもありましたから。
「搬出用のエレベータってあるのですか?」
「あるよ。でも、うちらみたいなイベントだと使わせてくれないんだよなぁ。ほら、あそこのイベントなんて、これから搬出みたいだよ?」
ベテランさんの指差した先。
そこでは、別のイベントの人が階段から荷物を運び出しています。
しかも、あれは展示用大型冷蔵庫。
よくコンビニとかにあるアイスクリームの入ったストッカーがありますよね? あれを少し薄くしたようなやつを、大勢の大人たちが一斉に持ち上げて、階段を上がっていきます。
その姿、まさに力仕事。
「え? あ、あれはエレベータを使わないのですか?」
「あれ、入らないんだよ。参考までにつたえるけど、うちらもあれ、良くやるから」
「そうそう。夏場のアイスクリームのイベントの時とかでさ、北海道中から地元オリジナルアイスとかがら集まってくるイベントがあってね。その時は早朝からあれだよ? まあ御子柴さんとか女性はエレベータで備品搬入だけど」
「うわ……」
他人事のように話していたベテランさん。
すると、目の前で冷蔵庫を運んでいたスタッフの一人が、私たちに近寄ってきました。
「お、今日はそっちなの? 次のうちのイベントの時はよろしくね」
「はい。ちなみに次はなんですか?」
「ロイトンであるから。まあ、近々募集かけるから……って、そっちの子は新人?」
すごくガタイのいいお兄さんが、ベテランさんと話をしています。
そして私を見てそう問いかけましたので。
「はい。先月からお世話になっています御子柴です」
「関山さん、ミコシーちゃんって呼んでも大丈夫だから」
「え、私ミコシーなのですか?」
「そっか。俺は東尾RAの関山。まあ、そのうち現場で会うことがあるからよろしく。それじゃあね」
「はい!!」
そのまま作業続行。
関山さんは冷蔵庫の搬出を手伝いに向かいます。
私たちはこのままエレベータでの搬出作業。
「先ほどの方は、やっぱりイベント会社なのですか?」
「まあ、備品レンタルだね。名桜レンタリースと同じ。北海道にはまだいくつもそういう会社があって、うちらはその都度、色々なイベントに呼び出されるんだよ。御子柴さんも、そのうち関山さんと仕事するかもしれないから頑張ってね」
「あとはまあ……そのうち洗礼を受けると思うけど……」
「洗礼?」
はて、それは一体なんでしょうか?
ベテランさんの話し方から察しますに、あまりいい印象はないのですけど。
「まあ……あるイベント会社の人なんだけど。仕事熱心なところは認めるけど、なんというか」
「細かい!! とにかく仕事が細かくて、気に入らなかったらクレームどころかやり直しまでさせられる人がいるんだよ。まあ、うちのメンバーでもその人の現場は出入り禁止っていわれているぐらいだから」
「その人、怖いのですけど……」
仕事の鬼か、それとも自分の事をよく見せたいだけの人なのか。
その辺りがよくわかりませんが。
その現場には、あたりませんように。
………
……
…
仕事が終わり、自宅へ戻る。
明日は月曜日、アルバイトもないため、ゆっくりできそうです。
「はぁ、少しずつだけど力がついてきたような……」
シャワーを浴びてから、バスタオル一枚の姿で姿見に向かってポージング。
はい、とっても貧相な体ですいません。
たかだか一ヶ月程度の、それも週末だけの仕事でそうそう体ができるはずもありませんよね。
──モニッ
でも、ふと見ると上腕に少しだけ力こぶ。
気のせいか足も細く……いえ、筋肉が付いてきたようです。
すいません、できるならばお腹の辺りのモニッとした脂肪を燃焼してくれませんか。
「へへ。少しだけ体力がついたかな」
この調子で……そういえばMCやPAの仕事はまだなのでしょうか。
イベント期間が土、日曜日の二日間だったため、日曜日の夕方6時から撤去作業が始まりました。
基本的に、撤去作業は設営時間の2/3程度、今回の場合も設営はイベントの運営スタッフが来る15分前に完了しました。
ただ、システムなどの解体についてはさすがはベテランさん、一気に解体を終わらせて備品回収の私がむしろ遅かったという。
「……よし、梱包は終わったのでこれからエレベータまで移動します。いつも通りの注意点を守って、安全にお願いします」
ウィルプラスの高尾さんの説明と同時に、全員で搬出作業を開始。
ただ、日曜日の夕方5時というシビアな時間は、搬出作業には不向きな気がします。
──ガヤガヤガヤガヤ
大勢の人が行き来する地下歩行空間。
その中を、システム機材をはじめ多くの荷物が積まれている台車を押していかなくてはなりません。
決して壁などの設備にぶつかることなく、尚且つ通行の妨げにならないように。
ここで問題なのは、私たちが問題を起こした場合、そのクレームは最初にイベント運営会社に届くということ。
そこから下請け会社に降りて、そして私たちの会社へ。
それ故に、兎にも角にも注意しなくてはなりません。
通路及びエレベータの優先権は道ゆく人々、私たちはそこを通してもらっている。
この心構えが甘いと、ちょっとした油断で事故に繋がるそうです。
しかも、どんなに軽い台車も二人で押さなくてはなりません。
それが札幌市交通局のルール。
「……しっかし。一般用エレベータじゃな暗く搬出用のやつを使わせてもらえたら、楽なんだけどなぁ」
「そうそう。その辺り何というか、頭が硬いというか……」
まだ名前を覚えていないベテランさんがぼやいています。
そういえば、確かに作業用のエレベーターってある筈ですよね?
よく地下歩行空間で大きな催しがありますけれど、どう考えても一般用エレベータでは荷物を下ろすことは不可能なものもありましたから。
「搬出用のエレベータってあるのですか?」
「あるよ。でも、うちらみたいなイベントだと使わせてくれないんだよなぁ。ほら、あそこのイベントなんて、これから搬出みたいだよ?」
ベテランさんの指差した先。
そこでは、別のイベントの人が階段から荷物を運び出しています。
しかも、あれは展示用大型冷蔵庫。
よくコンビニとかにあるアイスクリームの入ったストッカーがありますよね? あれを少し薄くしたようなやつを、大勢の大人たちが一斉に持ち上げて、階段を上がっていきます。
その姿、まさに力仕事。
「え? あ、あれはエレベータを使わないのですか?」
「あれ、入らないんだよ。参考までにつたえるけど、うちらもあれ、良くやるから」
「そうそう。夏場のアイスクリームのイベントの時とかでさ、北海道中から地元オリジナルアイスとかがら集まってくるイベントがあってね。その時は早朝からあれだよ? まあ御子柴さんとか女性はエレベータで備品搬入だけど」
「うわ……」
他人事のように話していたベテランさん。
すると、目の前で冷蔵庫を運んでいたスタッフの一人が、私たちに近寄ってきました。
「お、今日はそっちなの? 次のうちのイベントの時はよろしくね」
「はい。ちなみに次はなんですか?」
「ロイトンであるから。まあ、近々募集かけるから……って、そっちの子は新人?」
すごくガタイのいいお兄さんが、ベテランさんと話をしています。
そして私を見てそう問いかけましたので。
「はい。先月からお世話になっています御子柴です」
「関山さん、ミコシーちゃんって呼んでも大丈夫だから」
「え、私ミコシーなのですか?」
「そっか。俺は東尾RAの関山。まあ、そのうち現場で会うことがあるからよろしく。それじゃあね」
「はい!!」
そのまま作業続行。
関山さんは冷蔵庫の搬出を手伝いに向かいます。
私たちはこのままエレベータでの搬出作業。
「先ほどの方は、やっぱりイベント会社なのですか?」
「まあ、備品レンタルだね。名桜レンタリースと同じ。北海道にはまだいくつもそういう会社があって、うちらはその都度、色々なイベントに呼び出されるんだよ。御子柴さんも、そのうち関山さんと仕事するかもしれないから頑張ってね」
「あとはまあ……そのうち洗礼を受けると思うけど……」
「洗礼?」
はて、それは一体なんでしょうか?
ベテランさんの話し方から察しますに、あまりいい印象はないのですけど。
「まあ……あるイベント会社の人なんだけど。仕事熱心なところは認めるけど、なんというか」
「細かい!! とにかく仕事が細かくて、気に入らなかったらクレームどころかやり直しまでさせられる人がいるんだよ。まあ、うちのメンバーでもその人の現場は出入り禁止っていわれているぐらいだから」
「その人、怖いのですけど……」
仕事の鬼か、それとも自分の事をよく見せたいだけの人なのか。
その辺りがよくわかりませんが。
その現場には、あたりませんように。
………
……
…
仕事が終わり、自宅へ戻る。
明日は月曜日、アルバイトもないため、ゆっくりできそうです。
「はぁ、少しずつだけど力がついてきたような……」
シャワーを浴びてから、バスタオル一枚の姿で姿見に向かってポージング。
はい、とっても貧相な体ですいません。
たかだか一ヶ月程度の、それも週末だけの仕事でそうそう体ができるはずもありませんよね。
──モニッ
でも、ふと見ると上腕に少しだけ力こぶ。
気のせいか足も細く……いえ、筋肉が付いてきたようです。
すいません、できるならばお腹の辺りのモニッとした脂肪を燃焼してくれませんか。
「へへ。少しだけ体力がついたかな」
この調子で……そういえばMCやPAの仕事はまだなのでしょうか。
0
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
乙女ゲームは見守るだけで良かったのに
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した私。
ゲームにはほとんど出ないモブ。
でもモブだから、純粋に楽しめる。
リアルに推しを拝める喜びを噛みしめながら、目の前で繰り広げられている悪役令嬢の断罪劇を観客として見守っていたのに。
———どうして『彼』はこちらへ向かってくるの?!
全三話。
「小説家になろう」にも投稿しています。
帰ってきた兄の結婚、そして私、の話
鳴哉
恋愛
侯爵家の養女である妹 と
侯爵家の跡継ぎの兄 の話
短いのでサクッと読んでいただけると思います。
読みやすいように、5話に分けました。
毎日2回、予約投稿します。
2025.12.24
誤字修正いたしました。
ご指摘いただき、ありがとうございました。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる