イベントへ行こう!

呑兵衛和尚

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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~

カメラの前で踊ってみよう!! いえモニターテストですが

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 旭川のボーリング場の改装作業三日目。

 午前中は残りのパネルの配線作業からの通電テスト。
 これは古田君一人で間に合うということになり、私と綾辻さん、高尾さんは3人一組でモニターのチェック作業に切り替わりました。

「それではモニターのチェックについて説明します。まず最初にゃって欲しいことは、カメラの位置の確認と調節ですね」

 担当の方がそう説明しつつ、三つ並んでいるモニターの一つ、一番レーンに近いところを外します。
 するとその中にはカメラが設置されており、それと連動するかのようにモニターに映像が映し出されていました。

「このボックス席からの映像はこちらのカメラが、そして正面からの映像はこのレーンとレーンの間の通路を通った先、あの部分に設置されています」

 その説明と同時に、もう一人の担当の人がレーン奥に配置されているカメラの部分を指さしています。
 ふむ、これは二人がかりでの作業になるのですか。

「まず、一人はこのレーンのここの位置でポーズを取ったり立ち止まったりしてください。ってりをぅそして一人はカメラの位置の調節を、もう一人はモニターの前でカメラを調節している人に指示を出してください。具体的には……、そちらの女性、ちょっとレーンの真ん中に移動してもらえますか?」
「は、はいっ!!」

 突然の指名、そのまま言われたとおりにレーンの真ん中、アプローチと呼ばれている投擲する場所とレーンの境のファウルライン手前に立ちます。

「そこで両手を広げてみてください」
「こうですか?」

 指示通りに左右に手を広げると、後ろの方、モニターのあたりで高尾さんと綾辻さんが『おお!』とか『なるほど』と納得しています。
 ちなみに私は正面を見ているので何も見えませんです、はい。

「ボックスのカメラはアプローチゾーンぎりぎりに設置されています。このカメラでは、左右のレーンを同時に写し出す必要があるので、手前のカメラを設定するときは左右のモニターを同時に見る人要があります。そのため、一人はモニターを確認しつつカメラの調整を行ってください」
「ふむふむ……」

 後ろから聞こえてくる声。
 私には調節とかモニターの位置確認についての具体的なやり方は見えていません。
 つまり、私はこの場所で案山子担当のようです。

「次に奥のカメラの位置調節ですが、一人はついてきてください」
「それじゃあ綾辻さんいってきてください」
「はい!!」

 指示されたので、綾辻さんがレーンとレーンの間の渡り廊下のような場所を伝って奥へ。
 あの下は、ボウリングのボールが通ってくるトンネルのようになっているらしく、、気を付けて進む必要があるとか。
 そしてレーンの奥に入っていくと、後ろの高尾さんのスマホが鳴っています。

「はい、高尾です……と、なるほど、その場所からは声が届かないてのか。では指示についてはスマホで……いや、ラインの通話の方が料金がかからないので、そっちでお願いします」

 無線があれば楽なのかもしれませんが、スマホってWi-Fiさえとぉって居れば無料通話が使えて便利なのですね。

「それじゃあ、まずは奥のカメラから調節しますか。まずは……御子柴さん、また両手を広げてください」
「はい、こうですか?」

 早速本番。
 両手を広げて立っていますと、親辻さんと高尾さんが連絡を取り合って調節を開始しています。

「そうですね、ちょっと右……って、そっちは左なので、ああ、そうか……綾辻さんから見て右に調節してください。まずは5ミリほど」

 ミリ単位での調節。
 まあ、一般的なボウリングのレーンの長さは確か18メートルちょい、幅は1メートルぐらいだったはず。それだけ離れている状態での5ミリのずれって、角度的にはどれぐらいなのだろうと考えてしまいます。
 
「うん、2ミリ戻してください……あと1ミリ……はい、そこで左右のネジを固定してください……次は上下の調節で、ええっと、綾辻さんから見てカメラを3ミリ下げてください」

 次は上下の位置決め。
 これもスムーズに調節できたようで、これで一つ目のレーンの奥の分は調節完了。
 
「一つとなりに移動します。御子柴さんも隣のレーンに移動してください」
「はい、こっちですね」

 私も指示通りに隣に移動。
 そして先ほどと同じように両手を左右に広げて……って、この姿勢、地味にきつくありませんか?
 両手を左右に伸ばしたまま立ち止まっているというのは、なかなかにきついですよね。

「それじゃあ、まず左右の調節を……一センチ右へ」
「うわ、いきなり凄い角度の修正ですね」
「あはは。モニターの御子柴さんが見切れているからね。はい、そこから2ミリ戻してください……あと1ミリ……戻し過ぎ、1ミリいかないぐらい……」

 うわ、聞いていて微妙すぎる調節が始まっています。
 これは私には無理ですね、こんなに繊細な調節なんて私には自信がありません。

「……はい、オッケーです。次は上下……はいらないか。これで奥のこの二つ分は終わりです……と、先に奥を全て終わらせた方がいいですか?」

 高尾さんが担当の人に確認しています。
 
「そうですね。先に奥を全て終わらせてから、正面に戻ってきて同時にチェックした方が早いですね。特に手前のカメラは一つで左右のアプローチを同時に写し出すことになるので」
「了解です。それじゃあ御子柴さん、さらにとなりのアプローチに移動してください。綾辻さん、一つとなりの調節に入ります」

 奥のレーン、LEDパネルの下から綾辻さんの姿が見えています。
 あの下にカメラがセットされているのですか、それはこちらからは見えない筈ですよ。
 ということで、私も隣に移動、引き続き左右に手を広げて案山子状態です。

「えぇっと、御子柴さんだったかな? その姿勢で立ち止まっていても辛いでしょうから、別のポーズをとっても構いませんよ。スタンディングスパットの4番に立ってもらって、真ん中が判れば大丈夫ですから」
「了解しました!!」

 とは言ったものの、スタンディングスパットの4番ってどこでしょうか?
 ボウリングには何度も通っていましたし、そもそもここだって胡桃や澪と何度も来たことがあるのですが。残念ながら私たちはエンジョイ勢、マイボールやマイシューズを持っているガチ勢ではないので専門用語はちんぷんかんぷんです。
 
「あ、スパットの4番はその真ん中の丸いマークがそうだから。その先には矢印もあるでしょう? 矢印がスパット、丸はマークって呼ばれているので覚えておいてね」
「はい、ありがとうこざいます」

 そのまま指定された場所へ移動。
 なるほど、丸や矢印の数は全部で7つあって、その真ん中だから4番って呼ばれているのですね。
 そのまま指示通りに4番のマークの手前に立ち、まずは軽く腕を頭上に挙げて深呼吸。

「ラジオ体操かい!!」
「うわ、ダメでしたか」
「いや、疲れないんだったらされでも構わないけどね。それじゃあ始めます」

 そのまま調整がスタート。
 午前中はこの作業がずっと続きましたが、古田君も配線を終えたので午後からはこちらに合流するようです。
 でも、4名になるとどういう感じに振り分けられるのでしょうか。

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