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呑兵衛和尚

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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~

体のメンテナンスと視力低下と

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 月曜日。

 朝から筋肉痛が酷かった為、講義の合間を縫って近所の整骨院へ。
 うちの大学の運動部関係の生徒たちが通っているらしく、腕もそこそこ良いということで紹介してもらいましたが。

「う~ん。ちょっと待ってね。筋肉痛でうちに来たのは嬉しいんだけれど、ひょっとしたら保険適用外になるかもしれないからさ」

 まず問診を行い、治療方法を決めるそうなのですが。
 昨日の仕事で歩きまくりカラーコーン積みまくりの結果、両手両足がパンパン状態なのですよ。
 歩くのも一苦労、自宅でレポート作成のためにパソコン作業をしていても、筋肉痛が酷くてキーボードを叩くのも限界なのに。

「ええっと、アルバイトで身体を動かした結果、こんな感じなのですが」
「まず、整骨院の仕組みについて説明したほうがいいかな。それじゃあ一から説明するとだね」

 まず、最初に教えて貰ったのが、整骨院は医療機関ではないということ。
 でも保険が使えるので誰でも手軽に通う人が多いそうですが、外傷による捻挫とか打撲ならば保険が適用されるのですけれど、その際には先に整形外科などに掛かる必要があるそうです。
 ちなみにスポーツや仕事による筋肉痛レベルだと、保険適用外となるそうで割高になるそうで。

「なるほど。それで、私の場合はどんな感じなのでしょうか」
「アルバイトによる筋肉疲労。捻挫とかは特に見当たらないから、実費での緩和になるかなぁ。そこの大学の子だよね? あそこの運動部の連中も通ってくれるけれど、大体の子はスポーツ障害でここに来るからなぁ。それで、実費で良ければ見るけどどうする?」
「実費だと、どれぐらい掛かりますか?」

 貧乏大学生には大切なこと。
 
「そうだなぁ。整骨院の場合、何部位の治療か、どの程度の施術になるかによって異なるけど。この程度なら左右の腕と両足……うん、スポーツ整体の看板を出している場所の方が安く済むことがあるよ、効かないと思うけど」
「え、効かないことがあるのですか?」

 いきなりのスポーツ整体をディスるような説明。
 でも、あの手の整骨院ってプロの選手とかも活用していますよね?
 それでも効かないのですか?

「そりゃあそうさ。整体師の場合、資格なしでも施術している人が多いからね。よくある通信講座で二ヶ月で資格が取れるとかあるけれど、あれば国家資格じゃないから。ちゃんとした施術を受けるのなら、国家資格を有している【柔道整復師】か【あん摩マッサージ指圧師】、あとはそうさなぁ……」

 先生はいくつかの資格について説明してくれました。
 それはもう懇切丁寧に。  

「うちの場合、俺が柔道整復師の資格を所持していますし、あとは定期的にあん摩マッサージ指圧師もうちで治療してくれるので。それで、どうしますか?」
「うん、ここでお願いします。実費は少し痛いけれど、それで身体が治るのならお願いします」
「それじゃあ、さっそく始めますか」

 清水の舞台から飛び降りる覚悟で、私は先生に全てを委ねます。
 そしてベッドに横たわり低周波治療器で身体の筋肉を剥がしたのち、強張った筋肉のコリや緊張がほぐされていきました。
 うん、体が溶けそうです。
 特に肩とか首の辺りの凝りが酷かったようで。

「って、痛いいたたたりたたた!! 先生!目が、目の前が白いですられひゃ」

 首の付け根を押された時。
 なんというか、眼球が飛び出すかってくらい痛くて目の前が真っ白になりましたが。

「うん、白なら大丈夫だな。しっかし目の疲れが尋常じゃないね。眼鏡はつけているの?」
「裸眼ですが、最近はどうも視界がぼやけていまして」
「視力の低下で目が疲れているんだなぁ。ちょっと気になるところではあるが……あと、全身の筋肉は大丈夫、若いから回復は早いし。あとでセルフメンテナンスの方法を教えてあげるから」
「はい、お願いします」

 首も引っ張ってもらい、あとは顔を左右にゆっくりと動かして。

──ゴキボキボキッ
「折れたぁぁぁぁ」
「違う違う。スジが鳴った音だね。首の骨がズレるって事はなかなかないんだけど、こう筋が張り詰めたりしてズレる事はあるんだよ。ほら、楽になったでしょう?」

 そう言われてみれば。
 身体を起こして頭を左右に動かしましたが、妙にスッキリしています。
 それに身体も軽くなったようで、痛みがかなり緩和されていますよ。

「うん、本当なら定期的に見てあげたいところだけれど、まずはこの辺りで終わりかな。またアルバイトで身体がおかしくなったら来るといいよ。それじゃあ、自分でできる筋肉痛対策を教えてあげるか」
「はい、それがあるのとないのとでは段違いです。よろしくお願いします」

 という事で、簡単なアイシングとストレッチについて教えてもらってました。
 これで次の週末の現場まで、身体を万全な状態に仕上げることにしましょう。
 そして支払いを終えて帰る時。
 
「……ちょっと気になってんだけれど。近いうちに、眼科を受けてみた方がいいかもしれないね」
「え? 整形外科ではなく眼科ですか?」
「うん。まあ、気になっただけなんだけれど。もしも、ものを見ているときにゴミのようなものが浮かんで見えたりしたら要注意だから。飛蚊症なら良いんだけれど」
「はい、ありがとうございます」

 さて、眼科ですか。
 その前にメガネを使った方がいいような気もしてきましたので、明日はメガネ屋さんに行くことにしましょう……って、今月は出費がキツすぎます!!
 少し現場を多く入れてもらわなくては。
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