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第一部 第一章 強化魔術しか使えない
Episode001 強化魔術しか使えない!?
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「そ、そんなー!」
俺はだだっ広い自室で頭を抱えながらに叫んだ。
日々最高の魔術師を目指していた俺――ユーキ・イザデア、17歳――は、魔術の習得の為に日夜努力を欠かさないで今まで生きてきた。
それなのに、今になって俺は自分の特性を知って絶望している。
そんな絶望的な特性というのが…。
「強化魔術しか使えないとかあんまりだ…」
そう、俺は強化魔術しか使えないことが判明したのだ。
強化魔術というのは、対象の攻撃力や敏捷性、耐久力に運勢まで、潜在数値に一時的な強化をもたらす魔術の総称であり、攻撃魔術よりも先に生まれたことから『魔術の祖』とも呼ばれている部類の魔術だ。
コレもそれなりに幅があって面白いとは思うのだが、俺が目指している魔術師は攻撃もサポートも完璧にこなすことができる最高の魔術師だってのに…。
最近、俺も幼馴染――男2人だが――と冒険者になろうって話が持ち上がって、その前に少しでも魔術が素早く完成できるようにしようと練習に励んでいた今日この頃。
いくつか魔術の魔力構成が簡単な魔術を使ってみていたのだが、どうしてか攻撃魔術しか発動しなかったのだ。
どういうことか分からず、冒険者時代は魔術師だった母に俺の魔術の組み上げを見てもらったのだが…。
「あなた、攻撃魔術に適正がないみたいよ」
母からの判定がコレである。
あと、90%以上の強化魔術は使いこなせるとか言われたけど、攻撃できない魔術師なんてなあ…。
強化魔術が使えればそれなりに重宝されるとも思うのだが、多くの冒険者が『攻撃のできない魔術師はいらない』とか言うのが冒険者業界のお決まりパターンらしいし。
確かに、攻撃魔術の有無は戦闘に大きく影響を出すのは知っている。
それなりに練度の高い魔術でなら上級者向けの魔物の群れですら一撃で葬り去ることだって可能だというし、そりゃあ攻撃魔術の使えない魔術師がお荷物扱いされるのも分からないワケじゃない。
「…俺、もう冒険者にはなれないよな」
ベッドに身を投げ出し、ただ虚空に向かってそう呟く。
最悪の場合は妹たちがやる予定だった家業を俺が継げばいいと思うし。
まあ、このことはパーティーを組む予定だったアイツらには伝えておくか。
*
「マジかよ…」
「ああ、そういうことなんだ。すまない」
冒険者たちが依頼を受けたり、報酬を貰ったり、酒を飲み交わしたりするこの都市最大の施設、ギルドにて。
俺はパーティーを組む予定だった2人に頭を下げる。
その2人をケリーとカイといい、2人とも俺の幼馴染だ。
それぞれ剣士とアーチャーだから、魔術師―になる予定だった―の俺が入ればいい感じのパーティーになりそうだとつい一週間前までは談笑していたんだが。
「まあしょうがねえよ。そればっかりはどうにもならねえんだから」
「そうだ。俺たちがお前の分まで討伐してきてやるよ」
2人はそう言って許してくれたが、普通なら怒るとか、軽蔑の目を向けてくるとか、そういう対応をされると思っていたが、幼馴染というのは捨てたもんじゃないと思った。
どうであれ、魔術師がいなくなるってのはかなりヤバいと思うが、ケリーとカイならどうにかしてくれるだろ。
そういえば今更だが、このパーティーには女の子がいなかったな。
まあ、幼馴染3人組で組んだんだから当然と言えば当然なのだが。
そんなことを思いながら、俺は2人に別れを告げて家に向かう。
明日からは、家業のことについてもう少し勉強するしかなさそうだな…。
俺はそんな憂鬱な思いを抱えながら歩く。
――俺たちの会話を聞き、そのことを喜ばしく思う者がいるとも知らずに。
「もしかすると、あの人となら…」
その者は、最強の姫騎士。
令嬢騎士…見た目や実力からはそう見えるが、ただの一般人であることはまだギルドの職員くらいしか知らないのであった。
次回 Episode002 最強の美少女剣士
俺はだだっ広い自室で頭を抱えながらに叫んだ。
日々最高の魔術師を目指していた俺――ユーキ・イザデア、17歳――は、魔術の習得の為に日夜努力を欠かさないで今まで生きてきた。
それなのに、今になって俺は自分の特性を知って絶望している。
そんな絶望的な特性というのが…。
「強化魔術しか使えないとかあんまりだ…」
そう、俺は強化魔術しか使えないことが判明したのだ。
強化魔術というのは、対象の攻撃力や敏捷性、耐久力に運勢まで、潜在数値に一時的な強化をもたらす魔術の総称であり、攻撃魔術よりも先に生まれたことから『魔術の祖』とも呼ばれている部類の魔術だ。
コレもそれなりに幅があって面白いとは思うのだが、俺が目指している魔術師は攻撃もサポートも完璧にこなすことができる最高の魔術師だってのに…。
最近、俺も幼馴染――男2人だが――と冒険者になろうって話が持ち上がって、その前に少しでも魔術が素早く完成できるようにしようと練習に励んでいた今日この頃。
いくつか魔術の魔力構成が簡単な魔術を使ってみていたのだが、どうしてか攻撃魔術しか発動しなかったのだ。
どういうことか分からず、冒険者時代は魔術師だった母に俺の魔術の組み上げを見てもらったのだが…。
「あなた、攻撃魔術に適正がないみたいよ」
母からの判定がコレである。
あと、90%以上の強化魔術は使いこなせるとか言われたけど、攻撃できない魔術師なんてなあ…。
強化魔術が使えればそれなりに重宝されるとも思うのだが、多くの冒険者が『攻撃のできない魔術師はいらない』とか言うのが冒険者業界のお決まりパターンらしいし。
確かに、攻撃魔術の有無は戦闘に大きく影響を出すのは知っている。
それなりに練度の高い魔術でなら上級者向けの魔物の群れですら一撃で葬り去ることだって可能だというし、そりゃあ攻撃魔術の使えない魔術師がお荷物扱いされるのも分からないワケじゃない。
「…俺、もう冒険者にはなれないよな」
ベッドに身を投げ出し、ただ虚空に向かってそう呟く。
最悪の場合は妹たちがやる予定だった家業を俺が継げばいいと思うし。
まあ、このことはパーティーを組む予定だったアイツらには伝えておくか。
*
「マジかよ…」
「ああ、そういうことなんだ。すまない」
冒険者たちが依頼を受けたり、報酬を貰ったり、酒を飲み交わしたりするこの都市最大の施設、ギルドにて。
俺はパーティーを組む予定だった2人に頭を下げる。
その2人をケリーとカイといい、2人とも俺の幼馴染だ。
それぞれ剣士とアーチャーだから、魔術師―になる予定だった―の俺が入ればいい感じのパーティーになりそうだとつい一週間前までは談笑していたんだが。
「まあしょうがねえよ。そればっかりはどうにもならねえんだから」
「そうだ。俺たちがお前の分まで討伐してきてやるよ」
2人はそう言って許してくれたが、普通なら怒るとか、軽蔑の目を向けてくるとか、そういう対応をされると思っていたが、幼馴染というのは捨てたもんじゃないと思った。
どうであれ、魔術師がいなくなるってのはかなりヤバいと思うが、ケリーとカイならどうにかしてくれるだろ。
そういえば今更だが、このパーティーには女の子がいなかったな。
まあ、幼馴染3人組で組んだんだから当然と言えば当然なのだが。
そんなことを思いながら、俺は2人に別れを告げて家に向かう。
明日からは、家業のことについてもう少し勉強するしかなさそうだな…。
俺はそんな憂鬱な思いを抱えながら歩く。
――俺たちの会話を聞き、そのことを喜ばしく思う者がいるとも知らずに。
「もしかすると、あの人となら…」
その者は、最強の姫騎士。
令嬢騎士…見た目や実力からはそう見えるが、ただの一般人であることはまだギルドの職員くらいしか知らないのであった。
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