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蓮介
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「この店か。」
銀司に部屋を追い出され、言われるがままに、指定された店に来た。
頼介を迎えに。
それにしても、高そうな店だな。
俺には縁がなさそうだ。
入りづらかったが、ここまで来たなら、仕方ない。
「すみません。」
そう言って、俺はその店に入っていった。
「いらっしゃいませ。あ、お待ちしておりました。頼介さんのお迎えですね。」
「え?」
俺が名乗る前に、すぐに店員はわかったようだ。
不思議に思っていると…。
「だって、お顔がそっくりなんですもの。お身内の方ですね。」
と、笑顔で言われてしまった。
店員に案内されて部屋に行くと、すっかり寝入っている頼介と、若い女性が一緒にいた。
「あ、こんばんは。」
女性は戸惑ったような様子で、挨拶してきた。
そう言えば、銀司は頼介が誰と一緒にいるかは、言っていなかったな。
この女性…確か病院にも来ていた。
頼介の恋人か?
そう思いつつ、
「弟がご迷惑をおかけして、すみませんでした。」
と、彼女に挨拶した。
「いえ、私が飲ませすぎてしまったんです。申し訳ありませんでした。」
そう言って、頭を下げた彼女を見て、病院以外でもこの顔は見た事があると、気が付いた。
実際に会ったわけじゃない。
TVだ。
名前までは出てこないが、きっと彼女は芸能人なんだろう。
美人だしな。
芸能人の恋人がいるのか…。
やっぱり遠い世界の人間になったな、頼介は。
彼女から頼介を引き取って、タクシーを拾った。
タクシー代も、俺にとっては痛い出費なんだが、コイツらにはわからないだろうな。
タクシーの中で、頼介のスマホがやたらに鳴っていた。
気になったが、俺が出るわけにもいかないので、放っておいた。
アパートに辿り着いても、頼介はまるで起きる気配はない。
仕方ないので、銀司の布団に寝かせ、俺は隣でタバコに火をつけた。
歌っていた頃には、銀司に隠れて吸っていた。
喉がやられるからタバコはやめろと、銀司にはいつも言われていた。
だから、未だに銀司の前では、吸えずにいる。
今更そんな事、言われないのはわかっているんだが…。
頼介は多分、吸わないんだろうな。
その時、頼介が何か言ったような気がした。
「どうした?」
気分が悪くなってきたのかと思って声をかけたが、目が覚めたわけではないようだ。
煙が嫌だったのかと思い、吸いかけのタバコの火を消した。
すると、
「GINJI…。」
と、今度は聞き取れるような声で、確かにそう言った。
銀司でなくて、悪かったな。
心の中でそう思ったが、寝言に答えてはいけないらしいので、声には出さなかった。
俺はケイタイを取り出し、電話した。
かけた相手は、すぐに出た。
「俺だ。」
と言うと、
『なんだ?』
と、不機嫌そうな声が返ってくる。
「お前、今、どこにいる?」
『どこって、自分の家だ。お前が部屋を出て、すぐに帰った。それより、頼介はちゃんと迎えに行ってやったんだろうな?』
「じゃあ、今すぐ戻ってこい。頼介がお呼びだ。」
『は?』
「俺は、今夜は外で時間を潰して、そのまま仕事に行く。お前はここで、頼介の面倒をみてやれ。」
そう言って、通話を終了した。
すぐにかけ直してこられたが、無視してケイタイの電源を切る。
俺はそのまま自分の部屋を出た。
銀司に部屋を追い出され、言われるがままに、指定された店に来た。
頼介を迎えに。
それにしても、高そうな店だな。
俺には縁がなさそうだ。
入りづらかったが、ここまで来たなら、仕方ない。
「すみません。」
そう言って、俺はその店に入っていった。
「いらっしゃいませ。あ、お待ちしておりました。頼介さんのお迎えですね。」
「え?」
俺が名乗る前に、すぐに店員はわかったようだ。
不思議に思っていると…。
「だって、お顔がそっくりなんですもの。お身内の方ですね。」
と、笑顔で言われてしまった。
店員に案内されて部屋に行くと、すっかり寝入っている頼介と、若い女性が一緒にいた。
「あ、こんばんは。」
女性は戸惑ったような様子で、挨拶してきた。
そう言えば、銀司は頼介が誰と一緒にいるかは、言っていなかったな。
この女性…確か病院にも来ていた。
頼介の恋人か?
そう思いつつ、
「弟がご迷惑をおかけして、すみませんでした。」
と、彼女に挨拶した。
「いえ、私が飲ませすぎてしまったんです。申し訳ありませんでした。」
そう言って、頭を下げた彼女を見て、病院以外でもこの顔は見た事があると、気が付いた。
実際に会ったわけじゃない。
TVだ。
名前までは出てこないが、きっと彼女は芸能人なんだろう。
美人だしな。
芸能人の恋人がいるのか…。
やっぱり遠い世界の人間になったな、頼介は。
彼女から頼介を引き取って、タクシーを拾った。
タクシー代も、俺にとっては痛い出費なんだが、コイツらにはわからないだろうな。
タクシーの中で、頼介のスマホがやたらに鳴っていた。
気になったが、俺が出るわけにもいかないので、放っておいた。
アパートに辿り着いても、頼介はまるで起きる気配はない。
仕方ないので、銀司の布団に寝かせ、俺は隣でタバコに火をつけた。
歌っていた頃には、銀司に隠れて吸っていた。
喉がやられるからタバコはやめろと、銀司にはいつも言われていた。
だから、未だに銀司の前では、吸えずにいる。
今更そんな事、言われないのはわかっているんだが…。
頼介は多分、吸わないんだろうな。
その時、頼介が何か言ったような気がした。
「どうした?」
気分が悪くなってきたのかと思って声をかけたが、目が覚めたわけではないようだ。
煙が嫌だったのかと思い、吸いかけのタバコの火を消した。
すると、
「GINJI…。」
と、今度は聞き取れるような声で、確かにそう言った。
銀司でなくて、悪かったな。
心の中でそう思ったが、寝言に答えてはいけないらしいので、声には出さなかった。
俺はケイタイを取り出し、電話した。
かけた相手は、すぐに出た。
「俺だ。」
と言うと、
『なんだ?』
と、不機嫌そうな声が返ってくる。
「お前、今、どこにいる?」
『どこって、自分の家だ。お前が部屋を出て、すぐに帰った。それより、頼介はちゃんと迎えに行ってやったんだろうな?』
「じゃあ、今すぐ戻ってこい。頼介がお呼びだ。」
『は?』
「俺は、今夜は外で時間を潰して、そのまま仕事に行く。お前はここで、頼介の面倒をみてやれ。」
そう言って、通話を終了した。
すぐにかけ直してこられたが、無視してケイタイの電源を切る。
俺はそのまま自分の部屋を出た。
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