俺のオヤジはビジュアル系です。

ひよく

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蓮介

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仕事が終わって、自分の部屋に帰る。

将太が俺の帰りを待っている。
先にメシを食って寝ていろと言ってはいるが、玄関の隙間から灯りが漏れているのを確認すると、ホッとする自分がいる。

「お帰りなさい。」
玄関のドアを開けると、将太がそう声をかけてきた。

赤くなった目を擦っている。
コイツ、また泣いていやがったな。
ひとりにしておくと、いつもそうだ。

「ただいま。」
俺は気付かないふりをしながら、そう応えた。

本当は、何か言葉をかけてやるべきなのかもしれない。
それとも、黙って抱きしめるべきなのだろうか?

頼介だったら、どうするのだろう?
‘父親’として、新米な俺は、どうして良いのかわからずにいた。

メシの支度は、将太がしてくれている。
一緒に暮らしてみてわかったが、将太はかなり家事ができる。
頼介の躾の賜物だ。

将太は勉強道具を片付け、ちゃぶ台にメシの用意をした。
俺は何気なくTVをつける。

『本日、入ってきたニュースです。』

アナウンサーの声が流れてくる。

その時、耳を疑うニュースが飛び込んできた。

『R-GUNのRAISUKEさんが、今日、番組収録のために訪れていたTV局で倒れ、救急車で搬送されました。』

‘R-GUNのRAISUKE’って、頼介の事だよな?
そんな当たり前の事が、頭の中で一瞬、繋がらなかった。

将太の顔を見ると、TV画面に釘付けになっている。

『RAISUKEさんは、最近、2度の急病で療養しており、健康問題が心配されています。今回の件で、長期療養に入るのは必至と見られており、事務所側は、全国ツアーのチケットの払い戻しなどの対応に追われています。』

アナウンサーはそう続けた。

俺はケイタイを取り出し、銀司に電話した。
だが、繋がらない。
続けて、社長にも電話したが、やはり繋がらない。

「頼介は、頼介は大丈夫ですよね!?」
将太が俺に縋りついてきたが、安心させてやるような事は、何一つ言えなかった。

TVのニュースからは、それ以上の情報は得られなかった。
俺達は、銀司か社長が折り返し連絡してくるのを待った。

2度の大怪我を乗り越えたというのに、アイツの身に何が起こったのだろう?
なんでアイツばかり…。
俺は我知らず、拳を握りしめていた。

程なくして、銀司が電話してきた。

「銀司!頼介はどうしたんだ!?」
『ニュースを見たのか?』
「そうだ。無事なのか!?」
『無事とは言えないが…ともかく、命に別状はない。』
「病院はどこだ!?」
『それは…今は、刺激しない方がいい。』
「何?刺激しない方がいいって、どういう意味だ?俺に来るなって事なのか?」
『そうだ。今回の件は、精神的な事からきているんだ。怪我もしちゃいるが、それよりも心の問題の方が重い。将太くんが出て行ったのも大きいが、もっと根本的なところで、問題を抱えていそうだ。だが、詳しい事は、まだわからないんだ。何かわかったら、またお前にも連絡する。』
「ともかく命に別状はないんだな?」
『あぁ。』
「わかった。将太にもそう伝える。」

そこまで話して、俺は電話を切った。

「頼介はどうなんです!?」
将太が訊いてくる。

「どうもはっきりしないんだが、精神的な事が原因らしい。俺が行くと刺激になるから、今は来るなと言われた。だが、ともかく、命に別状はないそうだ。」

精神的な原因と言われ、将太は茫然とした様子だった。
いつもの頼介からは、その手の病気は連想できない。

将太が出て行ったのがキッカケとなったのだろうが、銀司はそれだけではなさそうな事を言っていた。

ともかく、事態を見守るしかない。
俺達は、アイツの傍に居られないもどかしさを感じていた。
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