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魔王様の元へ
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「うぅ…うう~」
「姉様、もっとしっかり歩いて下さい。小夜さんなんて堂々と歩いてますよ」
「頑張れアイム」
三人は長い廊下を歩いていた。
アイムの仕事が終わり、二人が迎えに来たので魔王の元へ向かっている。
もちろん、小夜の事で。
「私怒られちゃうかしら…」
「注意はされるでしょうね。最悪な結果にならなければいいのですが…」
魔王城追放とか四天王名誉剥奪とかされるのだろうか。
追放されたとしてもアイムは自分を連れて行くだろうと謎の自信があった。
だが、追放されてほしくない。
もしその話になったらアルロンは庇えない。
庇ったらアルロンも罰せられる可能性がある。
そんな事を考えてると目の前に扉があった。
魔王がいる扉の前に来るとゆっくり開いていく。
赤いレッドカーペットの奥に人影が見えた。
あれが───
「お待たせいたしました、魔王様」
魔王と呼ばれた彼は椅子に座っていた。
「来たか」
魔王は立ち上がり近づくと、二人はすぐに片膝をついて頭を下げている。
立っているのは小夜と魔王だけ。
「君がアルロンの報告にあった小夜という人間だな?」
頷くと「そうか」と呟く。
魔王と呼ばれるだけあってオーラが二人と全く違う。
見た目こそ若いが圧倒的な力を持っているだろう。
「どうやって魔界に来た?」
「死のうと思って建物から飛び降りたら気付いたら魔界にいた」
「ふむ…」
ずっと目が紅く光っている。
アルロンの目は見てもなんとも思わないが魔王の紅い目は見透かされているような感覚がする。
でも嘘は吐いていないので何も見透かすようなことはない。
「アイム、なぜ隠していた」
「申し訳ございません。魔界は今天界人間界とは敵対してますので人間を拾ったなんて知られると下手すれば裏切り者になると思い…」
彼女の声が震えている。
どうしてもそんな彼女を守りたくなった。
「アイムは良い悪魔だよ。私を助けてくれた。私を魔王城に連れてきちゃったけど悪い悪魔じゃない」
咄嗟にアイムを庇うと魔王は驚いた表情をして一瞬優しい顔つきになった。
だが、すぐに険しい表情に戻る。
「小夜、アイムはやってはいけない事をした。だから罰を受けるのは妥当だと思うが?」
やはりそうなるか、だったら…
「私が本当に人間かどうかも分からない。普通の人間が魔界に落ちてくるなんて事はよくあるの?」
「いや、ないな」
「なら私が何者かも分からないから人間って断言できない。魔法が使えるわけでもないのに魔界に何故来たのか実際私もよく分からないから」
そこまで言うと魔王が考え込んだ。
どうやら効果はあったらしい。
「君は優しいな」
小夜の頭を撫でる魔王の瞳は紅ではなく翠眼になっている。
恐らくこちらが本来の色なのだろう。
「アイムよ」
「はい」
「罰は無しだ。これからも四天王として魔界を守ってくれ」
すると二人は驚いて顔を上げた。
まさか許されるとは思わなかったのだろう。
「あ、ありがとうございます!」
「礼は小夜に言うといい。言ってたことも一理あったしな」
魔王はマントを翻して椅子に座る。
アイムは小夜に抱きつき、アルロンもお礼を言ってきた。
「小夜ちゃん大好き!ありがとう!」
「私からも礼をさせて下さい。本当にありがとうございます」
「いいよ。私もアイムが処分されるの嫌だし」
そんな光景を魔王は椅子に座って眺めると、小夜に問いかけた。
「小夜、君は魔界が恐ろしいとか人間界に戻りたいとは思わないのか?」
「え、全然」
「即答か。敵意も無いしこのまま魔界に住むか?」
「ま、魔王様いいんですか!?敵意が無いとしても人間ですよ!我々が良くても他の魔物達が混乱してしまいます!」
「我が言えば皆納得するだろ。それに四天王か我が一緒にいれば大丈夫」
アルロンは何も言えず賛同した。
この魔王は行動力がある。
「しかし、まだ小夜が何者か分からないから簡単に外へ出せないな。魔王城内での外出ならいいが」
「分かった。外に出てもいい時は言って」
「ああ」
アイムの処分を逃れ、魔界にいていい事になったので安心する。
今更人間界に戻る気はないし、むしろ魔界に協力して滅ぼしたいという気持ちがある。
「さて、今後のことだが───」
『やはり魔物は許しがたいですわ』
この声を聞き全員が窓を見る。
するとそこには小夜が一番信じていなかった存在がいた。
「ごきげんよう、魔物の皆さん。星の大天使ラリエルです」
白い羽根を生やした少女が浮かんでいた。
「姉様、もっとしっかり歩いて下さい。小夜さんなんて堂々と歩いてますよ」
「頑張れアイム」
三人は長い廊下を歩いていた。
アイムの仕事が終わり、二人が迎えに来たので魔王の元へ向かっている。
もちろん、小夜の事で。
「私怒られちゃうかしら…」
「注意はされるでしょうね。最悪な結果にならなければいいのですが…」
魔王城追放とか四天王名誉剥奪とかされるのだろうか。
追放されたとしてもアイムは自分を連れて行くだろうと謎の自信があった。
だが、追放されてほしくない。
もしその話になったらアルロンは庇えない。
庇ったらアルロンも罰せられる可能性がある。
そんな事を考えてると目の前に扉があった。
魔王がいる扉の前に来るとゆっくり開いていく。
赤いレッドカーペットの奥に人影が見えた。
あれが───
「お待たせいたしました、魔王様」
魔王と呼ばれた彼は椅子に座っていた。
「来たか」
魔王は立ち上がり近づくと、二人はすぐに片膝をついて頭を下げている。
立っているのは小夜と魔王だけ。
「君がアルロンの報告にあった小夜という人間だな?」
頷くと「そうか」と呟く。
魔王と呼ばれるだけあってオーラが二人と全く違う。
見た目こそ若いが圧倒的な力を持っているだろう。
「どうやって魔界に来た?」
「死のうと思って建物から飛び降りたら気付いたら魔界にいた」
「ふむ…」
ずっと目が紅く光っている。
アルロンの目は見てもなんとも思わないが魔王の紅い目は見透かされているような感覚がする。
でも嘘は吐いていないので何も見透かすようなことはない。
「アイム、なぜ隠していた」
「申し訳ございません。魔界は今天界人間界とは敵対してますので人間を拾ったなんて知られると下手すれば裏切り者になると思い…」
彼女の声が震えている。
どうしてもそんな彼女を守りたくなった。
「アイムは良い悪魔だよ。私を助けてくれた。私を魔王城に連れてきちゃったけど悪い悪魔じゃない」
咄嗟にアイムを庇うと魔王は驚いた表情をして一瞬優しい顔つきになった。
だが、すぐに険しい表情に戻る。
「小夜、アイムはやってはいけない事をした。だから罰を受けるのは妥当だと思うが?」
やはりそうなるか、だったら…
「私が本当に人間かどうかも分からない。普通の人間が魔界に落ちてくるなんて事はよくあるの?」
「いや、ないな」
「なら私が何者かも分からないから人間って断言できない。魔法が使えるわけでもないのに魔界に何故来たのか実際私もよく分からないから」
そこまで言うと魔王が考え込んだ。
どうやら効果はあったらしい。
「君は優しいな」
小夜の頭を撫でる魔王の瞳は紅ではなく翠眼になっている。
恐らくこちらが本来の色なのだろう。
「アイムよ」
「はい」
「罰は無しだ。これからも四天王として魔界を守ってくれ」
すると二人は驚いて顔を上げた。
まさか許されるとは思わなかったのだろう。
「あ、ありがとうございます!」
「礼は小夜に言うといい。言ってたことも一理あったしな」
魔王はマントを翻して椅子に座る。
アイムは小夜に抱きつき、アルロンもお礼を言ってきた。
「小夜ちゃん大好き!ありがとう!」
「私からも礼をさせて下さい。本当にありがとうございます」
「いいよ。私もアイムが処分されるの嫌だし」
そんな光景を魔王は椅子に座って眺めると、小夜に問いかけた。
「小夜、君は魔界が恐ろしいとか人間界に戻りたいとは思わないのか?」
「え、全然」
「即答か。敵意も無いしこのまま魔界に住むか?」
「ま、魔王様いいんですか!?敵意が無いとしても人間ですよ!我々が良くても他の魔物達が混乱してしまいます!」
「我が言えば皆納得するだろ。それに四天王か我が一緒にいれば大丈夫」
アルロンは何も言えず賛同した。
この魔王は行動力がある。
「しかし、まだ小夜が何者か分からないから簡単に外へ出せないな。魔王城内での外出ならいいが」
「分かった。外に出てもいい時は言って」
「ああ」
アイムの処分を逃れ、魔界にいていい事になったので安心する。
今更人間界に戻る気はないし、むしろ魔界に協力して滅ぼしたいという気持ちがある。
「さて、今後のことだが───」
『やはり魔物は許しがたいですわ』
この声を聞き全員が窓を見る。
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白い羽根を生やした少女が浮かんでいた。
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