1 / 8
転校生
しおりを挟む
突然だが、皆は神様って奴を信じるだろうか。人は、事ある毎に神頼みをするけど、実際に神様の存在を信じる人は極小数じゃないだろうか。でも、僕は信じているよ。例えば、天気を変える事が人間にできるかな?雨とか曇りとか、晴れとか、人間はその事象に名前を付けただけで、それを操っているわけじゃない。じゃあ、なんでその事象が起こっているのか。こう考えた時、僕は神様の仕業だって考えたんだ。ま、他にも理由はあるけど、とにかく僕は神様を信じている。信じていて、信じていない。矛盾してるよね、おかしいかな?でも、そのうち分かるんじゃないかな……
*
僕こと、澄風空はどこにでもいる高校二年生。それなりに学校生活を謳歌しているつもりだ。
(今日は何だか朝から騒がしいな。)
いつものように学校にやってきた僕を出迎えたのは、騒々しいクラスメイトの声だった。一体何があったんだ?と訝しんでいると、いつものようにこちらに向かってくる奴がいた。
「おい、聞いたか?今日転校生が来るんだとよ!しかも女子!めちゃくちゃ可愛いらしいぜ!?」
こいつは西野エイジ。普段からチャラチャラしてる奴で、一日中騒いでるような、簡単に言ってしまうと陽キャだ。高一の頃から同じクラスで、事ある毎に話しかけてくる。正直何故ここまで僕に話しかけてくるのか、いまいち分かっていない。因みにかなりイケメンだが、本人は否定する。
「あ、そう」
「なんだよ~興味ねえのかよ??俺ちょっと声掛けて見ようかな??」
「顔も知らない奴によく声掛けようとか思えるな」
「だってよ!?噂になるくらい何だから可愛いに決まってるじゃん?なら話しかけないと損じゃね?」
「僕はエイジみたいに誰にでも話しかけられる程のコミュ力持ってないんだよ…」
「んな事言ってよ、本当は興味あるんだろ?」
「ねぇよ」
嘘である。表向きはこう言ったが、内心では僕も興味があった。だか、それをこいつに言ったら茶化してくるに決まってる。しかし、コイツはそんな僕の心を見透かしたようにニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべてくる。
(腹立つ。一発ぶん殴ろうか…)
朝からハイテンションに話しかけてくるエイジに対し、殺意を抑えつつ話していると、
ぎぎぎぎぎぎぎんんんんんんん
っとチャイムが鳴る。
(やっぱうるさいな…これ。)
僕が入学した頃からずっと、このチャイムだ。金属同士を擦り付けた様な音で、僕ら生徒にとっては不愉快でしかない。かなり不評なのだが、しかし誰も直そうとしない。
チャイムの音と共に、先程までの騒々しさは嘘のように静まり、それと同時に担任が教室に入ってくる。角刈り頭の、誰に対しても熱く接してくる熱血漢ってイメージが良く似合う先生。その担任の後ろに、トコトコとおぼつかない足取りで、一人の女の子が入ってきた。
(あの子が転校生か。エイジが言った通り、確かに可愛い。ぶっちゃけ、僕が出会った中で一二を争う程可愛い。)
その気持ちは、クラスメイト達も一緒のようで、ホームルーム中にも関わらず特に男子達が大騒ぎする。
(いったい、いつからこの学校は動物園になったんだ?)
そう思いつつ、僕はエイジの姿を確認し……見なかったことにした。
視線を転校生に戻す。彼女は、このクラスの惨事に驚いた様子を見せつつ、黒板に綺麗な字で名前を書き始めた。
(きしのあめ…か。)
珍しい名前だな…と思ったのもつかの間、僕は異変に気づいた。
(あれ、さっきまであんなに騒いでいたのに。どうしたんだ?)
見ると、クラスメイト達は全員静かになっていた。まるで何事も無かったかの様に皆席に着き、各々先生を見つめている。まるで、初めから興味など無かったかのように…
「円環高校から来ました!岸野雨です!よろしくお願いします!」
そんなありきたりなセリフと共に、深く頭を下げる転校生、もとい岸野雨。僕は思考を中断し、再び彼女を見つめる。可愛らしい仕草とその無垢な顔立ちからは性格の良さが伺える。
「じゃあ岸野は…1番後ろの窓側の席に座ってくれ」
僕の隣ですねはい。
(これは、お近づきになるチャンスなのでは?せめて、日常会話が出来るくらいには仲良くなろう!)
内心テンションを上げつつそう意気込んで居ると、彼女はこちらに歩いてきた。僕は改めてその顔を見て、何故か違和感を覚えた。あれ、この子…
「ねえねえ、君、名前なんて言うの?」
そんな声に僕の思考が引き戻される。
「あ、えーっと、澄風空。」
しまった。違和感に気を取られすぎてて、何も考えてなかった…
(思わず素っ気ない返しをしてしまった…これじゃあ印象最悪だ…)
そんな風に、僕が絶望していると、
「澄風くんだね!お隣同士、仲良くしようね!よろしく!」
「あ、あぁ、よろしくね」
(これはあれだな、控えめに言って女神だわ。)
これをきっかけに、僕は彼女に一目惚れをした。
(我ながらかなりチョロいな…)
*
僕こと、澄風空はどこにでもいる高校二年生。それなりに学校生活を謳歌しているつもりだ。
(今日は何だか朝から騒がしいな。)
いつものように学校にやってきた僕を出迎えたのは、騒々しいクラスメイトの声だった。一体何があったんだ?と訝しんでいると、いつものようにこちらに向かってくる奴がいた。
「おい、聞いたか?今日転校生が来るんだとよ!しかも女子!めちゃくちゃ可愛いらしいぜ!?」
こいつは西野エイジ。普段からチャラチャラしてる奴で、一日中騒いでるような、簡単に言ってしまうと陽キャだ。高一の頃から同じクラスで、事ある毎に話しかけてくる。正直何故ここまで僕に話しかけてくるのか、いまいち分かっていない。因みにかなりイケメンだが、本人は否定する。
「あ、そう」
「なんだよ~興味ねえのかよ??俺ちょっと声掛けて見ようかな??」
「顔も知らない奴によく声掛けようとか思えるな」
「だってよ!?噂になるくらい何だから可愛いに決まってるじゃん?なら話しかけないと損じゃね?」
「僕はエイジみたいに誰にでも話しかけられる程のコミュ力持ってないんだよ…」
「んな事言ってよ、本当は興味あるんだろ?」
「ねぇよ」
嘘である。表向きはこう言ったが、内心では僕も興味があった。だか、それをこいつに言ったら茶化してくるに決まってる。しかし、コイツはそんな僕の心を見透かしたようにニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべてくる。
(腹立つ。一発ぶん殴ろうか…)
朝からハイテンションに話しかけてくるエイジに対し、殺意を抑えつつ話していると、
ぎぎぎぎぎぎぎんんんんんんん
っとチャイムが鳴る。
(やっぱうるさいな…これ。)
僕が入学した頃からずっと、このチャイムだ。金属同士を擦り付けた様な音で、僕ら生徒にとっては不愉快でしかない。かなり不評なのだが、しかし誰も直そうとしない。
チャイムの音と共に、先程までの騒々しさは嘘のように静まり、それと同時に担任が教室に入ってくる。角刈り頭の、誰に対しても熱く接してくる熱血漢ってイメージが良く似合う先生。その担任の後ろに、トコトコとおぼつかない足取りで、一人の女の子が入ってきた。
(あの子が転校生か。エイジが言った通り、確かに可愛い。ぶっちゃけ、僕が出会った中で一二を争う程可愛い。)
その気持ちは、クラスメイト達も一緒のようで、ホームルーム中にも関わらず特に男子達が大騒ぎする。
(いったい、いつからこの学校は動物園になったんだ?)
そう思いつつ、僕はエイジの姿を確認し……見なかったことにした。
視線を転校生に戻す。彼女は、このクラスの惨事に驚いた様子を見せつつ、黒板に綺麗な字で名前を書き始めた。
(きしのあめ…か。)
珍しい名前だな…と思ったのもつかの間、僕は異変に気づいた。
(あれ、さっきまであんなに騒いでいたのに。どうしたんだ?)
見ると、クラスメイト達は全員静かになっていた。まるで何事も無かったかの様に皆席に着き、各々先生を見つめている。まるで、初めから興味など無かったかのように…
「円環高校から来ました!岸野雨です!よろしくお願いします!」
そんなありきたりなセリフと共に、深く頭を下げる転校生、もとい岸野雨。僕は思考を中断し、再び彼女を見つめる。可愛らしい仕草とその無垢な顔立ちからは性格の良さが伺える。
「じゃあ岸野は…1番後ろの窓側の席に座ってくれ」
僕の隣ですねはい。
(これは、お近づきになるチャンスなのでは?せめて、日常会話が出来るくらいには仲良くなろう!)
内心テンションを上げつつそう意気込んで居ると、彼女はこちらに歩いてきた。僕は改めてその顔を見て、何故か違和感を覚えた。あれ、この子…
「ねえねえ、君、名前なんて言うの?」
そんな声に僕の思考が引き戻される。
「あ、えーっと、澄風空。」
しまった。違和感に気を取られすぎてて、何も考えてなかった…
(思わず素っ気ない返しをしてしまった…これじゃあ印象最悪だ…)
そんな風に、僕が絶望していると、
「澄風くんだね!お隣同士、仲良くしようね!よろしく!」
「あ、あぁ、よろしくね」
(これはあれだな、控えめに言って女神だわ。)
これをきっかけに、僕は彼女に一目惚れをした。
(我ながらかなりチョロいな…)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる