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第二十九話……驚きの出来事
なんだ……? 体が重い……。これは……俺の上に誰か乗って……。
そこで俺は目が覚めた。
間違いない。誰か乗っている。しかし、首を前に傾けても黒髪しか見えない。リープちゃんとリークちゃんは両隣で俺の手を握っているので、リリムちゃんかリムちゃんになるが、このショートボブの髪型は……見覚えがない。
「みゃう~……」
おかしな寝言を聞いても、その声には聞き覚えがなかった。しかも、俺に乗っている感触から、俺達と同じく全裸のようだ。そして、女の子。それによって、とんでもないことが起きていると俺は確信した。
今は六時四十分か……。とりあえず、みんなを静かに起こそう。
「み、みんなー、朝だぞー」
『ん……』
それぞれがモゾモゾしながら目を覚まし始めたようだ。
「ふぅ……おはようございます、あなた」
「ん……」
「……」
「んー……! はぁぁぁ……」
「っ……!」
全員起き方が違うようだが、それどころではない。俺の上に乗っていた女の子は、バッと勢い良く体を起こして俺を見つめた。
「え? え……? こ、これ……って……」
「え、誰……?」
俺に跨りながら、自分の両手を交互に見て戸惑っている様子の女の子。リークちゃんも当然、それが誰だか分かっていない。
しかし、その様子を見た俺は、彼女が誰なのか予想がついた。
「メア……なのか……?」
「ナ、ナイト様……を見下ろしている私……。こ、これは夢……?」
「えぇ⁉️ メアちゃんが人間になったということですか⁉️」
「最初から変身できたというよりは、このタイミングで変身できるようになった感じですね。何かキッカケがあったとか?」
リムちゃんが驚いている一方、リリムちゃんが冷静に彼女の現状を分析した。
「メ、メアちゃん、何歳なの⁉️ お姉ちゃんと同じぐらいに見えるんだけど!」
「しかも、めちゃくちゃかわいいよね。髪が盛り上がってるように見えるけど、人間の耳とは別に猫耳があるのかな?」
リープちゃんとリークちゃんの質問に、メアらしき女の子は両手で頭を抑えながら、自分の身体を見回した。
「な、ないです……! 猫耳はありません! クセが強いだけみたいです」
「メアで間違いないな。その丁寧な口調は、イオちゃんを真似たかな。俺のイメージは、もっと馴れ馴れしい感じだったんだけど」
「ナイト様がそう言うなら変えます! か、変える! でも、『ナイト様』とは呼びたい!」
「ありがとう、メア。無理なくでかまわないから」
「うん! 嬉しい! ナイト様!」
「お、おい! 跨りながらあんまり動くんじゃない! って、あ……!」
メアは嬉しさのあまり、腰を使って自身の体を上下に動かし、そして起こしていた上半身を俺に抱き付くように倒し、さらに俺の頬に自分の頬を擦り付けてきた。
メアのかわいらしい仕草に、俺は戸惑いつつも嬉しくなり、彼女の頭を何度も撫でた。
「よしよし。ちなみに、変身できるようになった理由は分かるか?」
「ううん、分からない。でも、寝る前にナイト様とようやく一緒に住めるようになったから、『ナイト様の子どもが欲しいなぁ。どうすればいいんだろう』とは思ってたかな」
メアの回答に、女性陣は感心していた。
「想いの強さ、愛が成し得た奇跡ですか。やっぱり、神様は存在するんですよ。いずれにしても、後天的に人間に変身できるようになったのは驚きですね」
「超高レベルモンスターなら人間に変身できるんじゃないかとは言われていたけど、実際に確認できた人はこの世にいないからね。ということは、メアちゃんは超高レベルモンスターですね」
「パパのために補足すると、ウチの魔導書には遠い過去の事実として書かれているけど、他の魔導書には書かれていないから一つの説にしかなっていなくて、でも結局は、私達を含めて誰も確認できてなかったってことね」
「猫の姿には戻れるのかな? 自由に変身できるようになったってことでいいの?」
「それは……」
リークちゃんの疑問に、メアは俯いてしまった。
「メアの気持ちは分かる。戻れたとしても、また人間になれるか不安に思うよな。でも、俺の予想では、問題なくどちらにもなれると思う。その理由は、この現象が後天的にメアが得た『変身スキル』によるものだと思うから。この世界の不思議な現象は、スキルで大体説明できる。ただ、どんなものにも変身できるかは分からない。でも、猫と人間だけで十分だと思う」
「ナイト様……。じゃ、じゃあ、やってみる!」
メアがかわいく気合いを入れて目を瞑ると、一瞬で猫の姿に変身した。彼女は俺の下腹部の上に乗った状態だ。
「……。あー、俺に跨った状態で戻るとそうなるよな……。よし、すぐに人間に変身してみてくれ」
俺の言葉の直後、メアは人間の姿に変身することに成功。俺に抱き付いた上で、頬をスリスリしてきた。
「えへへ、できたー!」
「よしよし。よくやったぞ」
『やったね、メアちゃん!』
俺がメアの頭を撫でていると、リープちゃんとリークちゃんも上からメアに抱き付いて俺に体重を乗せてきた。
その直後、リープちゃんが何かに気付いたように、ガバッと上半身を起こした。
「あ、リーク! 朝食の準備しないと!」
「そうだ!」
今日の食事当番である二人は、急いで寝室を出て行った。
「人間のメアは食事を必要とするのかな。もし、子どもを産みたい一心で人間に変身できるようになったのなら、その身体機能が人間準拠になるんじゃないか? それとも、あくまでスキルの範疇だから関係ないとか」
「普段は猫の状態の方が良いってこと?」
「我が家の魔導書によれば、人間の姿でも空腹にはならず、栄養不足にもならないらしいです。本当は睡眠も必要ないんですが、メアちゃんは眠っていますよね。生殖機能は人間なので、子どもを産めるそうです」
「なぜそんなことが分かるかと言うと、つまりこの世界には人間とモンスターの子孫がいる、またはかつていた、ということですね。誰にも言えないですけど」
リムちゃんとリリムちゃんから、中々の衝撃的な事実を知らされて、俺は驚いていた。
「そうだったのか……。メアにはいくつか質問したいけど、リープちゃんとリークちゃんにも聞いてほしいから、これ以上は朝食後にしようか」
「うん、分かった! ナイト様には常にくっついていたいから、猫になるね!」
メアはそう言うと、猫に変身した。
「いや、この状態で変身されると……。まぁ、いいか……」
俺の下腹部に堂々と乗っているメアを抱き上げて、俺はベッドから下りた。
「あ、そう言えば、朝食中に着る服がない!」
「今の内に洗濯しちゃいましょうか。流石に今回だけは魔法を使わないと時間がかかっちゃいますね。よかったら見ますか?」
「結局、裸で外に行くことになりますけどね」
そこで俺は、リリムちゃんの提案に乗っかり、彼女達の洗濯を見学することにした。
しかし、リムちゃんが風の有無を確認しに裏口のドアを開けた瞬間、急に立ち止まり、声を上げた。
「な、なんですか、これは⁉️」
急いで俺とリリムちゃんが外に出ると、その光景に驚くしかなかった。
裏口を出て左側のトイレから真っ直ぐ川の方向に、石畳の数メートル先から二十メートルほど先まで、細長く深い溝が掘られていたのだ。さらに、裏口右側にも同様の溝が掘られている。
「昨夜は、こんなのなかったのに……」
「あ! あれを見てください! 何か横に積まれてますよ!」
「筒……ですかね……?」
リムちゃんとリリムちゃんの言う通り、長い筒状の物が溝の横に数十本ほど積まれている。
俺は、深さ一メートルほどの溝に落ちないように恐る恐る近づき、その筒を触ってみた。
「これは……銅だ! 銅管だ! 大小綺麗に加工されてる!」
「どういうことですか? なぜこんな所に……」
「ねぇ、もしかしてナイト様が夢遊スキルでやったんじゃないの?」
『っ……!』
俺にしがみ付きながら人間に変身したメアの推察を聞き、俺達はその可能性を考え始めた。
「確かにそれならあり得るか……。音も一切しなかったはずだからな。でも、俺はずっとベッドに寝ていた。それは俺の上に乗っていたメアが一番分かっているはずだ。メアに気付かれないようにこれらを準備したと仮定すると、俺は分身していたことになるけど、そんなことあるのだろうか。念力やイメージだけでこれができるとも思えないし。ただ一つ言えるのは、これらは全て上下水道設置のために用意されたものだ。なぜなら、俺が構想していた方法の一つだから」
「昨日みたいに、メモは残されてないんでしょうか」
「うーん……とりあえず、この辺りにはなさそうですね」
「銅管の間に挟んでいても、風で飛ばされる可能性もあるからね。うーん、やっぱりないね」
リムちゃんとメアに続いて、俺達が銅管の周囲を見回しても、特に何も見つからなかった。
「他の場所に俺が置くとしたら……リビングのテーブルかな……。鉄屑の下に挟むとか。リープちゃんとリークちゃんがまだ気が付いていないことからも」
「なるほど。じゃあ、まずは洗濯を終わらせますか」
リムちゃんはそう言うと、家の中に戻り、洗濯籠に入っている衣服を石畳の上に直に置いた。
次に、リリムちゃんの水魔法で衣服と石鹸を軽く濡らし、手で擦り合わせて泡立てる。
そして、リムちゃんの風魔法で洗濯物の周囲をガード、リリムちゃんの水魔法で竜巻を起こすように洗濯物を回し始めた。風魔法は水が飛び散らないようにするためだったらしい。水流で汚れを落とすために、竜巻は逆回しや高速回転も上手に行っているようだ。
三分ほど経って、風魔法で水の竜巻から洗濯物を上昇させて分離し、熱風の竜巻に交代。
同じく三分ほどで、竜巻の威力を弱めていき、風を操って、洗濯物をリリムちゃんが差し出した両腕の上にふわりと落とされていった。
まさに、息ぴったりの共同作業だ。
「これで終わりです。汚れが落ち切っていない時は、これをもう一度繰り返します」
「パパ、何か改善点などありましたか?」
「石鹸を最初から粉末状にできれば、泡立ちも水の竜巻で同時にできそうな気はしたかな」
俺の改善案に、リリムちゃんもリムちゃんも頷いていた。
「ありがとうございます。そう言えば、石鹸の泡立ちがいつもよりずっと良くて、洗濯中によく見ると別の石鹸だったんですが、これもあなたが昨夜の内にしたことかもしれませんね」
「そうだったのか……。色々やってんなぁ、俺」
「他人事みたいに言わないでください」
「でも、全く覚えてないなら、そう言うしかないかぁ」
俺達は笑いながら、家の中に戻った。
そこで俺は目が覚めた。
間違いない。誰か乗っている。しかし、首を前に傾けても黒髪しか見えない。リープちゃんとリークちゃんは両隣で俺の手を握っているので、リリムちゃんかリムちゃんになるが、このショートボブの髪型は……見覚えがない。
「みゃう~……」
おかしな寝言を聞いても、その声には聞き覚えがなかった。しかも、俺に乗っている感触から、俺達と同じく全裸のようだ。そして、女の子。それによって、とんでもないことが起きていると俺は確信した。
今は六時四十分か……。とりあえず、みんなを静かに起こそう。
「み、みんなー、朝だぞー」
『ん……』
それぞれがモゾモゾしながら目を覚まし始めたようだ。
「ふぅ……おはようございます、あなた」
「ん……」
「……」
「んー……! はぁぁぁ……」
「っ……!」
全員起き方が違うようだが、それどころではない。俺の上に乗っていた女の子は、バッと勢い良く体を起こして俺を見つめた。
「え? え……? こ、これ……って……」
「え、誰……?」
俺に跨りながら、自分の両手を交互に見て戸惑っている様子の女の子。リークちゃんも当然、それが誰だか分かっていない。
しかし、その様子を見た俺は、彼女が誰なのか予想がついた。
「メア……なのか……?」
「ナ、ナイト様……を見下ろしている私……。こ、これは夢……?」
「えぇ⁉️ メアちゃんが人間になったということですか⁉️」
「最初から変身できたというよりは、このタイミングで変身できるようになった感じですね。何かキッカケがあったとか?」
リムちゃんが驚いている一方、リリムちゃんが冷静に彼女の現状を分析した。
「メ、メアちゃん、何歳なの⁉️ お姉ちゃんと同じぐらいに見えるんだけど!」
「しかも、めちゃくちゃかわいいよね。髪が盛り上がってるように見えるけど、人間の耳とは別に猫耳があるのかな?」
リープちゃんとリークちゃんの質問に、メアらしき女の子は両手で頭を抑えながら、自分の身体を見回した。
「な、ないです……! 猫耳はありません! クセが強いだけみたいです」
「メアで間違いないな。その丁寧な口調は、イオちゃんを真似たかな。俺のイメージは、もっと馴れ馴れしい感じだったんだけど」
「ナイト様がそう言うなら変えます! か、変える! でも、『ナイト様』とは呼びたい!」
「ありがとう、メア。無理なくでかまわないから」
「うん! 嬉しい! ナイト様!」
「お、おい! 跨りながらあんまり動くんじゃない! って、あ……!」
メアは嬉しさのあまり、腰を使って自身の体を上下に動かし、そして起こしていた上半身を俺に抱き付くように倒し、さらに俺の頬に自分の頬を擦り付けてきた。
メアのかわいらしい仕草に、俺は戸惑いつつも嬉しくなり、彼女の頭を何度も撫でた。
「よしよし。ちなみに、変身できるようになった理由は分かるか?」
「ううん、分からない。でも、寝る前にナイト様とようやく一緒に住めるようになったから、『ナイト様の子どもが欲しいなぁ。どうすればいいんだろう』とは思ってたかな」
メアの回答に、女性陣は感心していた。
「想いの強さ、愛が成し得た奇跡ですか。やっぱり、神様は存在するんですよ。いずれにしても、後天的に人間に変身できるようになったのは驚きですね」
「超高レベルモンスターなら人間に変身できるんじゃないかとは言われていたけど、実際に確認できた人はこの世にいないからね。ということは、メアちゃんは超高レベルモンスターですね」
「パパのために補足すると、ウチの魔導書には遠い過去の事実として書かれているけど、他の魔導書には書かれていないから一つの説にしかなっていなくて、でも結局は、私達を含めて誰も確認できてなかったってことね」
「猫の姿には戻れるのかな? 自由に変身できるようになったってことでいいの?」
「それは……」
リークちゃんの疑問に、メアは俯いてしまった。
「メアの気持ちは分かる。戻れたとしても、また人間になれるか不安に思うよな。でも、俺の予想では、問題なくどちらにもなれると思う。その理由は、この現象が後天的にメアが得た『変身スキル』によるものだと思うから。この世界の不思議な現象は、スキルで大体説明できる。ただ、どんなものにも変身できるかは分からない。でも、猫と人間だけで十分だと思う」
「ナイト様……。じゃ、じゃあ、やってみる!」
メアがかわいく気合いを入れて目を瞑ると、一瞬で猫の姿に変身した。彼女は俺の下腹部の上に乗った状態だ。
「……。あー、俺に跨った状態で戻るとそうなるよな……。よし、すぐに人間に変身してみてくれ」
俺の言葉の直後、メアは人間の姿に変身することに成功。俺に抱き付いた上で、頬をスリスリしてきた。
「えへへ、できたー!」
「よしよし。よくやったぞ」
『やったね、メアちゃん!』
俺がメアの頭を撫でていると、リープちゃんとリークちゃんも上からメアに抱き付いて俺に体重を乗せてきた。
その直後、リープちゃんが何かに気付いたように、ガバッと上半身を起こした。
「あ、リーク! 朝食の準備しないと!」
「そうだ!」
今日の食事当番である二人は、急いで寝室を出て行った。
「人間のメアは食事を必要とするのかな。もし、子どもを産みたい一心で人間に変身できるようになったのなら、その身体機能が人間準拠になるんじゃないか? それとも、あくまでスキルの範疇だから関係ないとか」
「普段は猫の状態の方が良いってこと?」
「我が家の魔導書によれば、人間の姿でも空腹にはならず、栄養不足にもならないらしいです。本当は睡眠も必要ないんですが、メアちゃんは眠っていますよね。生殖機能は人間なので、子どもを産めるそうです」
「なぜそんなことが分かるかと言うと、つまりこの世界には人間とモンスターの子孫がいる、またはかつていた、ということですね。誰にも言えないですけど」
リムちゃんとリリムちゃんから、中々の衝撃的な事実を知らされて、俺は驚いていた。
「そうだったのか……。メアにはいくつか質問したいけど、リープちゃんとリークちゃんにも聞いてほしいから、これ以上は朝食後にしようか」
「うん、分かった! ナイト様には常にくっついていたいから、猫になるね!」
メアはそう言うと、猫に変身した。
「いや、この状態で変身されると……。まぁ、いいか……」
俺の下腹部に堂々と乗っているメアを抱き上げて、俺はベッドから下りた。
「あ、そう言えば、朝食中に着る服がない!」
「今の内に洗濯しちゃいましょうか。流石に今回だけは魔法を使わないと時間がかかっちゃいますね。よかったら見ますか?」
「結局、裸で外に行くことになりますけどね」
そこで俺は、リリムちゃんの提案に乗っかり、彼女達の洗濯を見学することにした。
しかし、リムちゃんが風の有無を確認しに裏口のドアを開けた瞬間、急に立ち止まり、声を上げた。
「な、なんですか、これは⁉️」
急いで俺とリリムちゃんが外に出ると、その光景に驚くしかなかった。
裏口を出て左側のトイレから真っ直ぐ川の方向に、石畳の数メートル先から二十メートルほど先まで、細長く深い溝が掘られていたのだ。さらに、裏口右側にも同様の溝が掘られている。
「昨夜は、こんなのなかったのに……」
「あ! あれを見てください! 何か横に積まれてますよ!」
「筒……ですかね……?」
リムちゃんとリリムちゃんの言う通り、長い筒状の物が溝の横に数十本ほど積まれている。
俺は、深さ一メートルほどの溝に落ちないように恐る恐る近づき、その筒を触ってみた。
「これは……銅だ! 銅管だ! 大小綺麗に加工されてる!」
「どういうことですか? なぜこんな所に……」
「ねぇ、もしかしてナイト様が夢遊スキルでやったんじゃないの?」
『っ……!』
俺にしがみ付きながら人間に変身したメアの推察を聞き、俺達はその可能性を考え始めた。
「確かにそれならあり得るか……。音も一切しなかったはずだからな。でも、俺はずっとベッドに寝ていた。それは俺の上に乗っていたメアが一番分かっているはずだ。メアに気付かれないようにこれらを準備したと仮定すると、俺は分身していたことになるけど、そんなことあるのだろうか。念力やイメージだけでこれができるとも思えないし。ただ一つ言えるのは、これらは全て上下水道設置のために用意されたものだ。なぜなら、俺が構想していた方法の一つだから」
「昨日みたいに、メモは残されてないんでしょうか」
「うーん……とりあえず、この辺りにはなさそうですね」
「銅管の間に挟んでいても、風で飛ばされる可能性もあるからね。うーん、やっぱりないね」
リムちゃんとメアに続いて、俺達が銅管の周囲を見回しても、特に何も見つからなかった。
「他の場所に俺が置くとしたら……リビングのテーブルかな……。鉄屑の下に挟むとか。リープちゃんとリークちゃんがまだ気が付いていないことからも」
「なるほど。じゃあ、まずは洗濯を終わらせますか」
リムちゃんはそう言うと、家の中に戻り、洗濯籠に入っている衣服を石畳の上に直に置いた。
次に、リリムちゃんの水魔法で衣服と石鹸を軽く濡らし、手で擦り合わせて泡立てる。
そして、リムちゃんの風魔法で洗濯物の周囲をガード、リリムちゃんの水魔法で竜巻を起こすように洗濯物を回し始めた。風魔法は水が飛び散らないようにするためだったらしい。水流で汚れを落とすために、竜巻は逆回しや高速回転も上手に行っているようだ。
三分ほど経って、風魔法で水の竜巻から洗濯物を上昇させて分離し、熱風の竜巻に交代。
同じく三分ほどで、竜巻の威力を弱めていき、風を操って、洗濯物をリリムちゃんが差し出した両腕の上にふわりと落とされていった。
まさに、息ぴったりの共同作業だ。
「これで終わりです。汚れが落ち切っていない時は、これをもう一度繰り返します」
「パパ、何か改善点などありましたか?」
「石鹸を最初から粉末状にできれば、泡立ちも水の竜巻で同時にできそうな気はしたかな」
俺の改善案に、リリムちゃんもリムちゃんも頷いていた。
「ありがとうございます。そう言えば、石鹸の泡立ちがいつもよりずっと良くて、洗濯中によく見ると別の石鹸だったんですが、これもあなたが昨夜の内にしたことかもしれませんね」
「そうだったのか……。色々やってんなぁ、俺」
「他人事みたいに言わないでください」
「でも、全く覚えてないなら、そう言うしかないかぁ」
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