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第十五話……セントラル最強の剣士!
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「すごいね、セレナ! どんだけ強いの!」
「一応、剣術だけなら、セントラル内でも最強と自負しています。ただ、聞いたところによると、セントラルの北東にある『ノウズ』地方には、スキル所持の上、とんでもない強さの冒険者がいるらしいので、大陸全体では、私は有数の腕前といったところですかね。真相は不明ですが」
「そうなのか……。それでもすごいな。一番強い勇者より強いってことだもんなぁ」
「ラピスはセレナより強いって言ってたけど、それについてはどうなの?」
「それはその通りだと思います。ラピスちゃんは、私でさえ剣を合わせる前に力を読み切れませんでした。戦う意志がほとんどなかったからでしょうね。
そのあとは、お互い本気を出したら、私の方が負けるだろうなと悟りました。ハッキリ言って、その辺の人間よりも、ずっと賢い戦い方ができる子ですから。
あの時、実は私の特訓もしてもらってたんですよ。最後の最後に、どれだけ自分の力を伸ばせるかと」
セレナのストイックさに、私は尊敬の念を抱いた。普通、いざ死ぬとなったら、あとのことはどうでもよくなるはずなのに……。
死ぬ前に化粧をするようなものだろうか。せめて、美しく死にたいと。でも、どんな人でも死に顔は醜くなるんだよなぁ。そこに目を瞑るのもおかしな話だけど。
そんなことを考えていると、たすくが前に出て、化物達に話しをするようだ。
「さて、ようやく落ち着いて話しができる状態になったな。今の俺達の話は聞こえていたと思うが、この圧倒的な強さが勇者管理組合の人間である証になると思う。
そもそも、俺達が悪人なら、お前達を問答無用で殺しているはずだろ? そういう意味では、むしろお前達の方が悪人だ。反省してくれ」
「うぅ……」
「ねぇ、たすく。この化も……人達、攻撃された所が痛くて、話を聞く余裕もないんじゃないの?」
「言われてみれば、確かに……。そうなのか?」
「うぅ……」
「ほら!」
「うーん……。じゃあ回復するまで待つか。魔法は使えるな?」
「……」
化物は無言で頷いたが、私から見れば、まだ聞く耳がなく、いつでも戦いを再開できそうな様子なので油断ならない。
「セレナ、今はたすくのスキルが切れてると思うから、何かあったら守ってあげて。場合によっては、その人達を殺してもいいから」
「承知しました」
「いいよね? 殺しても」
私は念のため、たすくに確認を取った。
「まぁ、仕方がないか。セレナが俺を守って傷付くのは絶対に避けたいし」
「お、殺さずを貫く偽善者ではないんだ? 死刑反対論者で動物愛護者で完全菜食主義者で博愛主義者かと思ってた」
「いや、俺は偽善者だよ。間違いなく。頭がお花畑と言われもするだろうな。
助けられる人なら助けたい。どうしても助けられない人は諦めるしかない。この時点で偽善者だろ? ただ、偽善者としてよく挙げられる寄付は一回もしたことがない。目の前の人を助けることや喜ばせることを優先したいから。
でも、国内の災害で他国から義捐金が集まったのはすごく嬉しかったし、その時は流石に迷ったけどな。俺もした方が良いのかなって。結局、しなかったけど。
そもそも、真の善良者なんてこの世にいない。いたら、この世界に一つたりともゴミは落ちていない。その人が時間と命と財産を、文字通り全て費やして、全て拾っているはずだからな。一つでも小さいゴミを無視した時点で、自分を優先している偽善者だ。
そこはすでに通ってきた道だよ。要は、開き直りさ。その点で言えば、ダブルスタンダード上等ってね。
ちなみに、死刑反対論者でも動物愛護者でも完全菜食主義者でも博愛主義者でもない」
「偽善者って、見かけ上、善人ぶる人のことでしょ? なんか話がズレてない? たすくは、いつだって本気なんでしょ?」
「……。確かに齟齬があったな。偽善には、善を掲げて、それを実行しない、言行不一致の意味もあって、俺はそっちの方で言ったからだな。ごめん」
「謝る必要はないよ。たすくの考えが聞けて良かった。ありがとう」
「ありがとう、か……。『そんな話はしてないんだよ!』って怒られるのが普通なのに……。みかは優しいな。ありがとう」
「そういうことは言わなくていいの! こっちが恥ずかしくなるんだから!」
「たすく様も相当苦労されてきたご様子。私も似たような経験があります。そして、複数の意味に捉えられたり、よく分からなかったら、相手に確認するようにはしていますが、『いや、だからさぁ!』と怒らせてしまうことがありました」
「俺が言うのもなんだけど、そういう場合は、怒る必要って本来ないはずなんだよな。嫌がらせしているわけじゃないと分かればさ。
もちろん、怒らない人もいて、そういうのは、普段の性格の良し悪し、頭の良し悪しは関係なかったな。傾向はあるかもしれないが、流石にサンプルが少なすぎたな。
おせっかいスキルを得た今なら分かるけど、結局は相手の気持ちが分からない人か、分かっていても怒ればそれで済むと思ってる人が怒るんだよ。
だから、そんな人を前にして、自分の無能さを悔やんで、その人に迷惑をかけてしまったかなと落ち込むだけ損だぞ、と昔の俺に言いたいね」
「おせっかいもそうだけどさ、相手のことや影響を、あんまり気にしすぎるのも良くないんだよね。全然気にしないと、たすくみたいに憎まれるけど……って、話しすぎたけど、時間的にはもういいんじゃないの?」
「そうですね。常に気を張ってはいましたが、今のところ、これ以上反抗する意志はない様子……」
すると、セレナが喋っている途中で、化物達がゆっくりと立ち上がった。
「一応、剣術だけなら、セントラル内でも最強と自負しています。ただ、聞いたところによると、セントラルの北東にある『ノウズ』地方には、スキル所持の上、とんでもない強さの冒険者がいるらしいので、大陸全体では、私は有数の腕前といったところですかね。真相は不明ですが」
「そうなのか……。それでもすごいな。一番強い勇者より強いってことだもんなぁ」
「ラピスはセレナより強いって言ってたけど、それについてはどうなの?」
「それはその通りだと思います。ラピスちゃんは、私でさえ剣を合わせる前に力を読み切れませんでした。戦う意志がほとんどなかったからでしょうね。
そのあとは、お互い本気を出したら、私の方が負けるだろうなと悟りました。ハッキリ言って、その辺の人間よりも、ずっと賢い戦い方ができる子ですから。
あの時、実は私の特訓もしてもらってたんですよ。最後の最後に、どれだけ自分の力を伸ばせるかと」
セレナのストイックさに、私は尊敬の念を抱いた。普通、いざ死ぬとなったら、あとのことはどうでもよくなるはずなのに……。
死ぬ前に化粧をするようなものだろうか。せめて、美しく死にたいと。でも、どんな人でも死に顔は醜くなるんだよなぁ。そこに目を瞑るのもおかしな話だけど。
そんなことを考えていると、たすくが前に出て、化物達に話しをするようだ。
「さて、ようやく落ち着いて話しができる状態になったな。今の俺達の話は聞こえていたと思うが、この圧倒的な強さが勇者管理組合の人間である証になると思う。
そもそも、俺達が悪人なら、お前達を問答無用で殺しているはずだろ? そういう意味では、むしろお前達の方が悪人だ。反省してくれ」
「うぅ……」
「ねぇ、たすく。この化も……人達、攻撃された所が痛くて、話を聞く余裕もないんじゃないの?」
「言われてみれば、確かに……。そうなのか?」
「うぅ……」
「ほら!」
「うーん……。じゃあ回復するまで待つか。魔法は使えるな?」
「……」
化物は無言で頷いたが、私から見れば、まだ聞く耳がなく、いつでも戦いを再開できそうな様子なので油断ならない。
「セレナ、今はたすくのスキルが切れてると思うから、何かあったら守ってあげて。場合によっては、その人達を殺してもいいから」
「承知しました」
「いいよね? 殺しても」
私は念のため、たすくに確認を取った。
「まぁ、仕方がないか。セレナが俺を守って傷付くのは絶対に避けたいし」
「お、殺さずを貫く偽善者ではないんだ? 死刑反対論者で動物愛護者で完全菜食主義者で博愛主義者かと思ってた」
「いや、俺は偽善者だよ。間違いなく。頭がお花畑と言われもするだろうな。
助けられる人なら助けたい。どうしても助けられない人は諦めるしかない。この時点で偽善者だろ? ただ、偽善者としてよく挙げられる寄付は一回もしたことがない。目の前の人を助けることや喜ばせることを優先したいから。
でも、国内の災害で他国から義捐金が集まったのはすごく嬉しかったし、その時は流石に迷ったけどな。俺もした方が良いのかなって。結局、しなかったけど。
そもそも、真の善良者なんてこの世にいない。いたら、この世界に一つたりともゴミは落ちていない。その人が時間と命と財産を、文字通り全て費やして、全て拾っているはずだからな。一つでも小さいゴミを無視した時点で、自分を優先している偽善者だ。
そこはすでに通ってきた道だよ。要は、開き直りさ。その点で言えば、ダブルスタンダード上等ってね。
ちなみに、死刑反対論者でも動物愛護者でも完全菜食主義者でも博愛主義者でもない」
「偽善者って、見かけ上、善人ぶる人のことでしょ? なんか話がズレてない? たすくは、いつだって本気なんでしょ?」
「……。確かに齟齬があったな。偽善には、善を掲げて、それを実行しない、言行不一致の意味もあって、俺はそっちの方で言ったからだな。ごめん」
「謝る必要はないよ。たすくの考えが聞けて良かった。ありがとう」
「ありがとう、か……。『そんな話はしてないんだよ!』って怒られるのが普通なのに……。みかは優しいな。ありがとう」
「そういうことは言わなくていいの! こっちが恥ずかしくなるんだから!」
「たすく様も相当苦労されてきたご様子。私も似たような経験があります。そして、複数の意味に捉えられたり、よく分からなかったら、相手に確認するようにはしていますが、『いや、だからさぁ!』と怒らせてしまうことがありました」
「俺が言うのもなんだけど、そういう場合は、怒る必要って本来ないはずなんだよな。嫌がらせしているわけじゃないと分かればさ。
もちろん、怒らない人もいて、そういうのは、普段の性格の良し悪し、頭の良し悪しは関係なかったな。傾向はあるかもしれないが、流石にサンプルが少なすぎたな。
おせっかいスキルを得た今なら分かるけど、結局は相手の気持ちが分からない人か、分かっていても怒ればそれで済むと思ってる人が怒るんだよ。
だから、そんな人を前にして、自分の無能さを悔やんで、その人に迷惑をかけてしまったかなと落ち込むだけ損だぞ、と昔の俺に言いたいね」
「おせっかいもそうだけどさ、相手のことや影響を、あんまり気にしすぎるのも良くないんだよね。全然気にしないと、たすくみたいに憎まれるけど……って、話しすぎたけど、時間的にはもういいんじゃないの?」
「そうですね。常に気を張ってはいましたが、今のところ、これ以上反抗する意志はない様子……」
すると、セレナが喋っている途中で、化物達がゆっくりと立ち上がった。
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