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第十八話……私はおせっかい!
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「たすく様、母を助けていただき、ありがとうございます……!」
両腕、両脚を骨折した化物達を『力』で無理矢理一ヶ所に集めたたすくの元に、セレナが駆け寄ってきたが、彼女も少し戸惑っている様子だ。
「気にしなくていいよ。ところで、村長と話がしたいんだが、周囲にいるか?」
「は、はい。呼んできます!」
そして、セレナが村長と思われる化物を連れて来た。どうやら、化物度合いは支部の化物より低いみたいだ。
「どうも、たすくと申します。このならず者達をセントラルから許可が出るまで牢屋に入れておいてほしいのですが、まず牢屋はありますか?」
「は、はい。ございますが……あ、あの……あなたは勇者ですよね……? なぜ名前を……。昨日までは、普通にブレイやラプスと呼び合っていたのに……。
それに、なぜセレナと……。泉には結局、行かなかったということですか?」
「ああ、名前については気にしないでください。他のことは、あとで説明します。とりあえず、牢屋まで案内してもらえますか?」
「しょ、承知しました……。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます。じゃあ、行くか」
「ぐああああああ!」
「や、やめてくれえええええ!」
「ちょっと、たすく! ソイツら、骨折してるんだから、そのまま引き摺ったら……」
「いいだろ、このぐらい別に。誰が運んでも、どうやって運んでも、痛みは伴うし。
それに、『教育』を受けた勇者候補達は、もっと恐怖と痛みに苦しんだんだから」
「そ、それにしても……ほら、耳障りだから……」
「じゃあ、口を開けられないようにするか。……。これで少しは静かになっただろ」
「……。余計なこと言っちゃったか……。これなら、殺された方がマシだったかもね……。
ねぇ、セレナ。骨折って魔法で治るの?」
「完治するかは程度によりますね。今回の場合は、医者が協力すれば、二週間程度で完治。非協力の場合は、死ぬことはないですが、四肢はマトモに使えなくなるでしょう。
しかも、この状態では、自分で魔法は使えないので、誰かに付きっきりで治療してもらうことになります。誰が一体そんなことをするのかという大きな課題がありますね……」
「それは問題ない。コイツらは死刑になるから。テキトーでいいよ」
「いや、まだ法案さえできてないでしょ!」
「他人の体と人生を弄ぶ奴が、死刑にならないわけがない」
「たとえそうだとしても、加害者が重体でも、刑の執行までは、病院で医者が懸命に治療するでしょ?」
「それは医学の進歩と、執刀医や技師の技術力向上、それと研修医の勉強の目的もあるからな。
もちろん、医師の素晴らしい良心の下で行われる治療ではあるが、この場合はどうなんだろうな。良心以外はないだろうし、いつまで続くか分からない治療を少人数で、ましてやこの世界ではできないんじゃないか?
でも、一応確認はしておくか。ありがとう、みか」
「う、うん……」
私は、死んだ方が良い人間は死ぬべきだと思っていたが、いざそれを目の前にすると、なぜか及び腰になっていた。
『今のたすく』の妙な冷徹さも、それに拍車をかけている。
明らかに、たすくらしくない……。いつものたすくなら……。いや、そう自信を持って言えるだけの時間も、私達は一緒に過ごしていない。
しかし、この化物達を生かすことが、誰かの助けになるとも思えない。
そういう意味では、化物達の命のことを考えているのではなく、たすくのことしか考えていない非情な人間がここにいることは間違いない。
たすくは、私のことを優しいと言っていたが、決してそんなことはない。
でも……少なくとも私は、おせっかいだったはずだ!
「あのさぁ……。私は今のたすくが、私を助けてくれた時のたすくとは、全然思えないんだけど、人間の闇を目の当たりにして変わったってこと?」
「……。そうだな、変わったのかもな……。俺自身、どうしてこんな感情なのか分からないんだ……。その感情を説明もできない。だから、解決もできない……」
「たすくって、意外と論理的だよね。じゃあ聞くけど、なんでこの化物達をわざわざ法律に当てはめてるの? 『死刑になるからそのままでいい』って、さっきセレナに殺してもらうのを拒否した人の発言とは思えないんだよね。
結局さぁ、法律に当てはめたとしても、自分が殺してるようなものだよね? 自分が法案考えるなら尚更。
医者に確認するのもいいんだけど、答えが分かってるから、アリバイ作りでしかないんだよね。
私が思うに、たすくはこれまで『人』を助けようとしてきた。ラピスは人の範疇だった。
でも、人じゃない『何か』に出会ってしまった。『それ』を人として扱うべきなのかが分からなくなった。
だから、感情もそうだけど、対応も中途半端になっている。
どんなに取り繕っても、丸分かりだよ。仮に、『それ』を処分したら、どうなるか分からない。自分自身も他人からの評価も。それが不安要素。
つまり、自分の手を汚したくないのが本音なんでしょ? だったら、もっとよく考えなきゃダメだよ。『俺が考えた最強の法整備』でも何でもいいからさ。このままだったら、どう足掻いても汚れるよ?
汚れるのが怖いんでしょ? 困るんでしょ?
だったら、自分を助けなさいよ!
それが無理なら、汚れる覚悟を決めなさいよ! それだって十分な助けになるでしょ!
どうせ、言行不一致の偽善者なんでしょ⁉️
変わってないんだよ、たすくは! 私の『目』から見ても!
迷ってるだけなんだよ!
今から誰を、どんなふうに助けられるか、時間を使って考えれば分かるでしょ⁉️ どうなの⁉️」
私は、思ったことを全て吐き出した。これが私だから。
両腕、両脚を骨折した化物達を『力』で無理矢理一ヶ所に集めたたすくの元に、セレナが駆け寄ってきたが、彼女も少し戸惑っている様子だ。
「気にしなくていいよ。ところで、村長と話がしたいんだが、周囲にいるか?」
「は、はい。呼んできます!」
そして、セレナが村長と思われる化物を連れて来た。どうやら、化物度合いは支部の化物より低いみたいだ。
「どうも、たすくと申します。このならず者達をセントラルから許可が出るまで牢屋に入れておいてほしいのですが、まず牢屋はありますか?」
「は、はい。ございますが……あ、あの……あなたは勇者ですよね……? なぜ名前を……。昨日までは、普通にブレイやラプスと呼び合っていたのに……。
それに、なぜセレナと……。泉には結局、行かなかったということですか?」
「ああ、名前については気にしないでください。他のことは、あとで説明します。とりあえず、牢屋まで案内してもらえますか?」
「しょ、承知しました……。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます。じゃあ、行くか」
「ぐああああああ!」
「や、やめてくれえええええ!」
「ちょっと、たすく! ソイツら、骨折してるんだから、そのまま引き摺ったら……」
「いいだろ、このぐらい別に。誰が運んでも、どうやって運んでも、痛みは伴うし。
それに、『教育』を受けた勇者候補達は、もっと恐怖と痛みに苦しんだんだから」
「そ、それにしても……ほら、耳障りだから……」
「じゃあ、口を開けられないようにするか。……。これで少しは静かになっただろ」
「……。余計なこと言っちゃったか……。これなら、殺された方がマシだったかもね……。
ねぇ、セレナ。骨折って魔法で治るの?」
「完治するかは程度によりますね。今回の場合は、医者が協力すれば、二週間程度で完治。非協力の場合は、死ぬことはないですが、四肢はマトモに使えなくなるでしょう。
しかも、この状態では、自分で魔法は使えないので、誰かに付きっきりで治療してもらうことになります。誰が一体そんなことをするのかという大きな課題がありますね……」
「それは問題ない。コイツらは死刑になるから。テキトーでいいよ」
「いや、まだ法案さえできてないでしょ!」
「他人の体と人生を弄ぶ奴が、死刑にならないわけがない」
「たとえそうだとしても、加害者が重体でも、刑の執行までは、病院で医者が懸命に治療するでしょ?」
「それは医学の進歩と、執刀医や技師の技術力向上、それと研修医の勉強の目的もあるからな。
もちろん、医師の素晴らしい良心の下で行われる治療ではあるが、この場合はどうなんだろうな。良心以外はないだろうし、いつまで続くか分からない治療を少人数で、ましてやこの世界ではできないんじゃないか?
でも、一応確認はしておくか。ありがとう、みか」
「う、うん……」
私は、死んだ方が良い人間は死ぬべきだと思っていたが、いざそれを目の前にすると、なぜか及び腰になっていた。
『今のたすく』の妙な冷徹さも、それに拍車をかけている。
明らかに、たすくらしくない……。いつものたすくなら……。いや、そう自信を持って言えるだけの時間も、私達は一緒に過ごしていない。
しかし、この化物達を生かすことが、誰かの助けになるとも思えない。
そういう意味では、化物達の命のことを考えているのではなく、たすくのことしか考えていない非情な人間がここにいることは間違いない。
たすくは、私のことを優しいと言っていたが、決してそんなことはない。
でも……少なくとも私は、おせっかいだったはずだ!
「あのさぁ……。私は今のたすくが、私を助けてくれた時のたすくとは、全然思えないんだけど、人間の闇を目の当たりにして変わったってこと?」
「……。そうだな、変わったのかもな……。俺自身、どうしてこんな感情なのか分からないんだ……。その感情を説明もできない。だから、解決もできない……」
「たすくって、意外と論理的だよね。じゃあ聞くけど、なんでこの化物達をわざわざ法律に当てはめてるの? 『死刑になるからそのままでいい』って、さっきセレナに殺してもらうのを拒否した人の発言とは思えないんだよね。
結局さぁ、法律に当てはめたとしても、自分が殺してるようなものだよね? 自分が法案考えるなら尚更。
医者に確認するのもいいんだけど、答えが分かってるから、アリバイ作りでしかないんだよね。
私が思うに、たすくはこれまで『人』を助けようとしてきた。ラピスは人の範疇だった。
でも、人じゃない『何か』に出会ってしまった。『それ』を人として扱うべきなのかが分からなくなった。
だから、感情もそうだけど、対応も中途半端になっている。
どんなに取り繕っても、丸分かりだよ。仮に、『それ』を処分したら、どうなるか分からない。自分自身も他人からの評価も。それが不安要素。
つまり、自分の手を汚したくないのが本音なんでしょ? だったら、もっとよく考えなきゃダメだよ。『俺が考えた最強の法整備』でも何でもいいからさ。このままだったら、どう足掻いても汚れるよ?
汚れるのが怖いんでしょ? 困るんでしょ?
だったら、自分を助けなさいよ!
それが無理なら、汚れる覚悟を決めなさいよ! それだって十分な助けになるでしょ!
どうせ、言行不一致の偽善者なんでしょ⁉️
変わってないんだよ、たすくは! 私の『目』から見ても!
迷ってるだけなんだよ!
今から誰を、どんなふうに助けられるか、時間を使って考えれば分かるでしょ⁉️ どうなの⁉️」
私は、思ったことを全て吐き出した。これが私だから。
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