異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~

立沢るうど

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第三十話……輝くシルバードラゴン⁉️

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 たすくは、おせっかいスキルが発動しているようなので、私はセレナへの通訳をして、たまに口を挟みながら、彼に説明を任せることにした。
 また、洞窟内は暗いので、ラピスが火の魔法を使って、辺りを灯してくれた。風はあるみたいだから、酸欠になることもなさそうだ。

「モンスターとは違って、人間社会には組織や上下関係が存在する。上の者には責任が与えられ、それに見合った権力や報酬を得る。
 上からの指示や命令に下の者は従い、問題が起こった時、下の者が対応できない範囲は上の者が対応する。上の者が対応できない場合は、さらに上の者が対応するが、それでも対応できない場合は、辞任という形で責任を取る。対応できる人を後任に当てることで。
 もちろん、下の者にも責任はある。与えられたことを遂行する責任だ。
 今回の場合、洞窟前にいた連中は下の者達だから、指示命令に従っていたが、彼らに訴えても、彼らのやることは変わらないし、その訴えを上の者に伝える義務も責任もない。
 それを伝えたところで、自分の評価になるわけじゃないからな。だから何も変わらない、ということだ」
「な、なるほど……」
「まぁ、責任を取るって言っても、実際は取れないんだけどね。お金ならまだしも、失った時間、ましてや命が返ってくることなんて絶対にない。だから、他人の『責任』を言葉通りに信じちゃいけないよ。自分が損するだけだからね」
「法律についても知っておいた方が良いと思います。法律に抵触しなければ、あるいはバレなければ何をしても許されると思っている連中がいます。
 その行いが人のためになるのであればまだ良いのですが、道理に反することや悪行を平気で行う者も少なくありません」

「それについては、俺達も強くは言えないが、『悪法もまた法なり』の言葉はそのまま受け取るべきではなく、それを改善していかなければいけないという精神の方が大事だと俺は考える。だから、セントラルに向かってるんだ」
「お主達もまた、世の中を変えようとしているんじゃな……。わしは、その女子の言う通り、人間とモンスターは分かり合えると考えて、洞窟内でも訴えてきたのじゃが、『いや、人間が勝手に俺達を殺しに来てるんだろ』『そんなのどうでもよくね?』『そう思ってるなら、お前が行ってこいよ。殺されるだけだから』などと言われ、おめおめと引き下がることもできず、今に至るわけじゃ……」
「まぁ、他のモンスターの言い分も分かるけどね。実際、そうなってるわけだし」
「今更ですが、モンスター同士って普通に会話できるんですね。種族が違うのに……。モンスターという大枠の種族が同じだからでしょうか」
「でもさぁ、ドラゴンのお姉ちゃんの強さなら、他のモンスターを従わせられるんじゃない? そもそも、そんな言葉遣いされないはずなんだけど」

「圧倒的な強さがあれば、他のモンスターは近寄ってすらこないってヤツか。どうやって近寄ったんだ?」
「いや、わしはそこまで強くない。どちらかと言えば強い方じゃとは思うが、平均より少し上ぐらいじゃと思うぞ。じゃから、普通に近寄れる。とは言え、他の者の意見を聞いたのは、随分前のことじゃが……」

「前って、いつぐらいだ?」
「え……うーむ……。かなり悩んでいた時期があるから……一、二年前ぐらいじゃないか?」
「随分幅があるなぁ」
「もっと前でもおかしくありませんか……」
「その間に強くなったんじゃない? 私から見れば、セレナお姉ちゃんにはちょっと及ばないけど、泉のモンスターよりは強いよ。そもそも、私とセレナお姉ちゃんを前にして、怯えてないことが、その証左だよ。えへへ、証左って使っちゃった」
「ラピスはかわいいね、よしよし」
「しかし、わしは何もしとらんぞ。ただ死を恐れて、物思いに耽っていただけとも言える」

「そういう思考が、モンスターが強くなる秘訣なのかもな。賢さが要因の一つとか。
 いずれにしても、君は人間と人間社会を知らなかっただけだよ。あ、そう言えば、君の名前は?」
「名前などないが」
「まぁ、そうだよね。ところで、なんでその口調なの?」
「これは洞窟に入ってきた冒険者を真似たものじゃ。大抵の場合、白い髪の者が威厳を放っておるからな。色が近いわしであれば、そうするのも自然というものじゃろう」
「自然かなぁ?」

「ちょっと気になっていることがあるんだが、いいか? 君は人間から『シルバードラゴン』って呼ばれてるんだけど、みかの容姿の説明と今の話から、実は違うんじゃないかと思ってさ。君の鱗、ちょっと、と言うか結構汚れてないか? 洗って磨いたらどうなるんだ?」
「む? まぁ、水場はあるが、全然行ってないからのぉ。魔法も面倒じゃし。かまわん、磨いてくれてよいぞ」
「ちょっと待った! たすくじゃなく、セレナがやって! 絵面がマズイから!」
「みかが目を瞑るだけでいいと思うんだが……。まぁいいや、セレナ頼む」

 セレナが水魔法で彼女の全身を包み、汚れを落としていき、それでも落ちない表面にうっすら付いた汚れは、手持ちの布を使って、丁寧に拭いていった。

「あっ! 鱗が綺麗に輝いてますね。銀よりも綺麗な気が……」
「白金、プラチナだな。つまり、『シルバードラゴン』ではなく、『プラチナドラゴン』だったというわけだ」

「プラチナ……。聞いたことがあります。ノウズ地方で、『プラチナ鉱石』を洞窟Aの最奥から持ち帰った冒険者がいて、伝説になったとか……。セントラルでは、その話は眉唾物とされ、一切信じられていませんでしたが、真実だったのかもしれませんね……。
 そして、プラチナドラゴンはこれまで確認されていませんから、未確認モンスターの発見ということで、場合によっては表彰されます」
「都市伝説や陰謀論とされているものでも、実は正しかったなんてことは普通にあるからな。やっぱり、思い込みは良くないことが分かる一例だよ」
「まさに、『不都合な真実』ってヤツね。セントラルが、それを認めるわけないんだよね。追い出した人達が作ったノウズの戦力も地位も技術も、遥か先を行ってることになるから」
「ふむ……。そういうのもあるのか……。勉強になるのぉ」
「ということで名前なんだが、『プレア』はどうかな。『プラチナ』と、それが属する貴金属の『レアメタル』の組み合わせだ。
 自己紹介する時は、『プレアです』。つまり、『プレアデス』になる。これは、おうし座のプレアデス星団のことで、日本では『すばる』と呼ばれ、昔からとても美しい星だと言われている。
 元は、ギリシア神話の『プレイアデス七姉妹』が由来だが、この七姉妹は星になったことで不死性を表すともされている。
 その前には、鳩になったとも言われていて、鳩は平和の象徴とされていることから、死せず平和を訴える美しい女性ということで、いずれも彼女にはピッタリなんじゃないかな」
「おお、良いではないか!」
「それは良いんだけど、プレアが自己紹介したら、『プレアジャ』になるでしょ?」
「今はそうだが、名もなき『プレアジャ』から『プレアデス』に変化するということは、人間社会の自然な作法を学習するとともに、自分の考えを世に知らしめ、それが美しいことであると人々に認識させる目標も含んでいるんだよ」
「ホントかなぁ……。ちなみに、プラチナ製品を誰かにプレゼントしたことは?」
「ある……かな?」
「ふーん……」

 この反応……。この話はこれで終わりにした方が良さそうだ。
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