62 / 123
第六十二話……処刑台への道
しおりを挟む
全裸開脚で全てを露出したフォーリエが、正門から大きい台車に載せられて出発したその後ろを、私達は付いて行くように歩いていた。ビルさんや前国王達、回復役、攻撃兼防御役の魔導兵も一緒だ。
これも儀式としての一環で、たすくを始めとした私達を立会人として、国王とその護衛を除く関係者全員が処刑台まで歩いて行くことになっているらしい。
仮にそうでなくても、その責任感から、たすくはそうしていたと言っていた。
処刑台までの道の両側には、すでに多くの観覧者が集まっており、先に見える処刑台の周りも溢れんばかりの人が集まっていた。
流石のフォーリエも、最初は観覧者に向かって、『見るな、ゴミども!』と怒鳴っていたが、今は俯き、『嘘よ……これは夢……。そう、夢なんだわ! あははは……!』と現実逃避している。
処刑台は思っていたよりも広く、短期間の施工にもかかわらず、がっしりとした作りになっており、職人達の腕が伺い知れる。
その処刑台の上は、水筒も含めて準備万端で、いつでも処刑を執行できそうだ。
そして、全員処刑台に着くと、私達は正面の特等席に移動し、用意された椅子に座った。ビルさん達は、全員処刑台上だ。
フォーリエが台車から降ろされ、傾斜が緩めの階段をズルズルと仰向けに、鉄柱越しに引きずられて上がっていく様子は、私達から死角になっているので見えなかったが、処刑台に上げられた瞬間は、私達も周囲の観覧者も、ついにこの時がやってきたかと実感し、少しざわついた。
特等席は私達の所だけでなく、処刑台周囲の最前列全てに配置され、高額料金を支払うことで、その権利を購入することができるが、それらは全て完売、すでに全員が着席していた。
ただ、冷やかしや愉悦のために、それを購入することは禁止されているので、腹の中はどうか分からないが、みんな真面目な顔つきをしているとセレナに教えてもらった。私から見れば、その人達は『情状酌量』ランクに限りなく近い、『対話』ランクの化物だから。
ちなみに、処刑台上の座席は、国王用の一つしかない。前国王達でさえ、立ったままそれを見届けなければならない。もちろん、体調不良になった時は、その場にしゃがみ込んだり、座ったり、寝転んだりしてもいいとのことだ。
サーズさんが到着するまでの待機時間も大変だろうが、みんな直立不動で流石だと思った。
それから十五分ほど経過して、サーズさんが到着したが、まずはビルさんの注意事項の伝達からだ。
「さて、聞こえるかな?」
ビルさんの確認に、観覧者は全員大きくどよめいた。
なぜなら、ビルさんが普通に喋った言葉が、観覧者全員に等しく行き渡ると同時に、処刑台上のギロチンから、さらに約五メートルほど上に、処刑台の映像が大きく、鮮明に、どの角度からでも見えるように、複数映し出されたからだ。
これは、城での待機時間中に、たすくからサーズさん達に提案したもので、ご親切にも正面と背面の二画面分、つまりフォーリエの表情を逃さず観ることができるようになっていた。
特等席のメリットが一つ失われたとも言えるが、それを気にする購入者達ではないだろう。
「この『映像』というものと、この音声は、そちらの最高特等席にいらっしゃる立会人、セントラル内第一セントラル領国第二王女、マリッサ・センティネリ殿下の類稀なるスキルと頭脳、および物理学知識によるものだ。
今回は特別に、この状態で一部始終を執り行うこととする。
さて、陛下のご到着に際し、宰相を仰せつかった私ビル・クライツが、本公開処刑に当たり、最優先の注意事項を述べる。心して聞くように。
万が一、本公開処刑を妨害する者が現れた場合、観覧者は速やかに『妨害者だ!』と前方に叫び、それを聞いた前二列分の観覧者がさらに前方に伝え、その声をここまで届けてほしい。
同時に、妨害者に危害を加えられないよう、また妨害者がスムーズにこちらに来られるよう、道を開けてほしい。マリッサ殿下のご協力の下、こちらで取り押さえるが、妨害行為は国家反逆罪で死刑になることを、妨害者並びに皆も肝に銘じるように。
また、緊急時はこちらの指示があるまで、その場を動かないこと。下手に動くと、ドミノ倒しになり、多数の圧死者を出すことに繋がりかねないからだ。
もし、混乱を招いたり、焦って勝手な行動を取ったりした場合は、死刑に処す可能性もあるので注意すること。
残りの注意事項は、後の説明で述べることとする。以上!
それでは、陛下から公開処刑開始宣言を賜る。静粛に拝聴するように! 宣言直後は歓声を上げてもかまわない!」
そして、サーズさんが処刑台上の席から立ち上がり、ビルさんよりも前に出た。
これも儀式としての一環で、たすくを始めとした私達を立会人として、国王とその護衛を除く関係者全員が処刑台まで歩いて行くことになっているらしい。
仮にそうでなくても、その責任感から、たすくはそうしていたと言っていた。
処刑台までの道の両側には、すでに多くの観覧者が集まっており、先に見える処刑台の周りも溢れんばかりの人が集まっていた。
流石のフォーリエも、最初は観覧者に向かって、『見るな、ゴミども!』と怒鳴っていたが、今は俯き、『嘘よ……これは夢……。そう、夢なんだわ! あははは……!』と現実逃避している。
処刑台は思っていたよりも広く、短期間の施工にもかかわらず、がっしりとした作りになっており、職人達の腕が伺い知れる。
その処刑台の上は、水筒も含めて準備万端で、いつでも処刑を執行できそうだ。
そして、全員処刑台に着くと、私達は正面の特等席に移動し、用意された椅子に座った。ビルさん達は、全員処刑台上だ。
フォーリエが台車から降ろされ、傾斜が緩めの階段をズルズルと仰向けに、鉄柱越しに引きずられて上がっていく様子は、私達から死角になっているので見えなかったが、処刑台に上げられた瞬間は、私達も周囲の観覧者も、ついにこの時がやってきたかと実感し、少しざわついた。
特等席は私達の所だけでなく、処刑台周囲の最前列全てに配置され、高額料金を支払うことで、その権利を購入することができるが、それらは全て完売、すでに全員が着席していた。
ただ、冷やかしや愉悦のために、それを購入することは禁止されているので、腹の中はどうか分からないが、みんな真面目な顔つきをしているとセレナに教えてもらった。私から見れば、その人達は『情状酌量』ランクに限りなく近い、『対話』ランクの化物だから。
ちなみに、処刑台上の座席は、国王用の一つしかない。前国王達でさえ、立ったままそれを見届けなければならない。もちろん、体調不良になった時は、その場にしゃがみ込んだり、座ったり、寝転んだりしてもいいとのことだ。
サーズさんが到着するまでの待機時間も大変だろうが、みんな直立不動で流石だと思った。
それから十五分ほど経過して、サーズさんが到着したが、まずはビルさんの注意事項の伝達からだ。
「さて、聞こえるかな?」
ビルさんの確認に、観覧者は全員大きくどよめいた。
なぜなら、ビルさんが普通に喋った言葉が、観覧者全員に等しく行き渡ると同時に、処刑台上のギロチンから、さらに約五メートルほど上に、処刑台の映像が大きく、鮮明に、どの角度からでも見えるように、複数映し出されたからだ。
これは、城での待機時間中に、たすくからサーズさん達に提案したもので、ご親切にも正面と背面の二画面分、つまりフォーリエの表情を逃さず観ることができるようになっていた。
特等席のメリットが一つ失われたとも言えるが、それを気にする購入者達ではないだろう。
「この『映像』というものと、この音声は、そちらの最高特等席にいらっしゃる立会人、セントラル内第一セントラル領国第二王女、マリッサ・センティネリ殿下の類稀なるスキルと頭脳、および物理学知識によるものだ。
今回は特別に、この状態で一部始終を執り行うこととする。
さて、陛下のご到着に際し、宰相を仰せつかった私ビル・クライツが、本公開処刑に当たり、最優先の注意事項を述べる。心して聞くように。
万が一、本公開処刑を妨害する者が現れた場合、観覧者は速やかに『妨害者だ!』と前方に叫び、それを聞いた前二列分の観覧者がさらに前方に伝え、その声をここまで届けてほしい。
同時に、妨害者に危害を加えられないよう、また妨害者がスムーズにこちらに来られるよう、道を開けてほしい。マリッサ殿下のご協力の下、こちらで取り押さえるが、妨害行為は国家反逆罪で死刑になることを、妨害者並びに皆も肝に銘じるように。
また、緊急時はこちらの指示があるまで、その場を動かないこと。下手に動くと、ドミノ倒しになり、多数の圧死者を出すことに繋がりかねないからだ。
もし、混乱を招いたり、焦って勝手な行動を取ったりした場合は、死刑に処す可能性もあるので注意すること。
残りの注意事項は、後の説明で述べることとする。以上!
それでは、陛下から公開処刑開始宣言を賜る。静粛に拝聴するように! 宣言直後は歓声を上げてもかまわない!」
そして、サーズさんが処刑台上の席から立ち上がり、ビルさんよりも前に出た。
0
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる