異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~

立沢るうど

文字の大きさ
114 / 123

第百十四話……経済政策の一端!

しおりを挟む
「さて、実は私達の英雄の中にもモンスターとそれに準ずる存在がいることを皆は知らないと思う。敬称略で改めて紹介しよう」

 サーズさんのアイコンタクトにたすくが応え、三人を浮かせた。

「皆もどこかで聞いたことがあるかもしれない。伝説の青い虎のことを。ラピス!
 そして、前政府では箝口令が敷かれていたが、冒険者以外でも知っている者がいるかもしれない。シルバードラゴン改めプラチナドラゴン、プレア!
 この二人は、人間との友好を深めようと日々努力をしてきた。特に、プレアは今日の友好宣言の真の立役者だ。
 最後に、例の本能だけで動いていた毒のドラゴン。私達はバッドヴェノムドラゴンと名付けたが、その存在から全く別の存在として生み出され、優しい癒やしの魔壁の輝きを持つリズ!
 この三人に対しては問答無用。私は彼女達に出会った直後から話を聞いていたので、英雄であることに一切変わりはない!
 私達の先駆者である英雄を改めて讃えようではないか!」

 サーズさんの呼びかけに、周囲は再度盛り上がった。
 今度はビルさんが拍手を制すると、あっという間に次第の終了だ。

「では、これにて友好関係締結イベントを終了とする。モンスター諸君は洞窟管理棟建設のための資材搬入作業に移ってくれ。首都民においては、一番外側から順番にゆっくり解散すること。珍しさのあまり戻ってきて、モンスター達の搬入作業の邪魔をしないように。
 なお、今回は同胞となったモンスター数が少ないので、各個人の自己紹介シートを似顔絵付きで公表する予定である。もちろん、民間に全て委託するので、似顔絵に自信がある画家は、サンプルを一枚のみでかまわないので、一週間以内に役所に提出すること。
 初回であることから、失礼ながら画家の個性は出さなくて結構なので、いかに似ているかが採用基準となる。タッチには個性を出してもかまわない。できるだけ多くの画家および画家志望に参加してもらいたいので、モンスター一人に対して画家一人が担当する形式を考えている。
 当然、画家名も公表するので、この機会に是非宣伝に使ってほしい。今回不採用となっても、入場無料の展示会を開催するので、そこでも名を売るチャンスとなるだろう。
 あえて不採用を狙って、そこで画家の個性を出してもかまわないが、その場合は採用狙いのものも含めて二枚提出してもらう。あくまで、似顔絵画家の採用を目的としたものであり、今後の政府からの要望にしっかり応えられるかどうかも見たいからだ。
 二枚提出したからといって有利になることもない。
 それでは、順次解散!」
「おおー、そんなところまで決めてたんだ。前に画家救済の話は出たけど、すぐに機会を見て実行できるのは、やっぱりすごいね」
「民間企業との癒着だったり特定企業や個人の宣伝だったりなんて、上がしっかりしていればどうでもいいんだよな。みんなにとって、ありがたい機会だよ」

 そして、サーズさんが城に戻り、公開処刑終了時と同じように、ビルさんがこちらに近づいてきた。

「私は少しだけ搬入作業を見ていくので、先に帰っていてくれ」
「モンスターのみんなは、いきなり初仕事だけど大丈夫なの? 仕事のやり方とか教えてないよ?」

「問題ない。新人育成に力を入れている商会と建築業者が取りまとめを行っていて、こちらの事情も説明済みだ。パワハラの概念も伝えてある。私はそれを少し確認するだけ」
「ならいいけど」
「仕事のやり方を変に覚えてしまったら、組織が腐るのも早いから注意だな。時間がある時に、『仕事のやり方そのもの』をレビューした方が良い。特に最初の一年と慣れる頃の三年が大事だと言われている」

「全くもってその通り。本質的な課題を捉えられなかったり、おかしな対策を採用してしまったり、報連相さえできなかったりする。城内エリートですら、それが起こり得るんだ。新人育成は、組織にとって最も重要なミッションだよ」
「そう言えば、サウズの人事部、って言うか人事院か、そこって問題ないの? 私達がここに来る時、人事が機能してないんじゃないかって話してたんだけど」

「いや、問題はあったし、それは当たっている。一部のエリート良心派がいなければ、コーディーも採用されていなかっただろうな。つまり、人事院はクズの集まりと化していた。もちろん、今回は一掃した」
「へー、人事ってエリートの集まりのイメージだけどね」
「組織によるらしい。仕事ができる人が人事に異動する組織もあるし、仕事ができない人が異動する組織もある。まぁ、サウズの場合は、王子達が直接採用したか、人事に人を送り込んでいたんだろう」

「そういうのがごちゃ混ぜになっていたのが、私達の人事院だったんだ。
 おっと、それでは私は商会と話をしてくる」
「ビルさん、ありがとう。またあとでね」

 私達がビルさんに手を振って別れると、今度はTくんがこちらに近づいてきた。

「たすく、みか、みんな、ありがとう。おかげで、無事にイベントを終えることができた」
「Tくん、流石だったよ。みんなが安心できたと思う」
「ああ。本当に素晴らしい演説だった」
「私も安心できた!」
「わしもじゃ!」
「……私も……人間でもモンスターでもないけど……」
「サーズさんがリズさんも含めてくれたから安心ですね。これも後世に残る伝説のイベントでした」

「ありがとう。本当に嬉しくて、楽しくもなってきたぞ!」
「でも、油断したらダメだよ」

「調子に乗ってはいけないし、理想と現実のギャップで落ち込まないようにしないといけない」
「分かってるなら、よし!」

 私達はモンスター達と笑顔で別れ、妨害者の連行を手伝いながら城に戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

処理中です...