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二章:チートな 創造主 と 雪人たちのゲーム前の予習
「モッゴゴモゴーォ!」
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菖蒲の声があまりに小さかったので、微笑しながら「ん?」と聞き返す藤原総理。菖蒲は、それに対して同じ言葉を繰り返すのを止めた…。
たぶん目の前の人物は『対話』をしたがっている。いくら菖蒲が一方通行で話を切ろうとしても、それを許してはくれない……感じがした。
政治家は、自分の意見を多くの大衆に聞かせるための演説が上手いイメージがあるが、藤原総理は反対にとても『聞き上手』で有名だ。
とある国の横暴で有名な大統領さえ、藤原総理とのたった一回の会談で、友と呼び会うほどの友好関係を築いてしまうほどだ。到底、たかが二十年そこそこしか生きていない青二才が勝てるわけがない。
菖蒲は藤原総理から視線を外したまま口を開いた。
「………凄くは……無いですよ。こんな『オモチャ』、すぐにそれを上回るモノが開発される。」
その菖蒲の視線の先にある屏風で、極彩色の牡丹が風に揺れながら花弁を開き、孔雀が半円の形に羽を開く。天井に描かれていた龍も、一定の時間で照明の周りをグルリと一周している。両方ともホログラムだ。
高級店でなくとも、こういったリスプレイを店内に用いている店は多い。今は『普通』でも、これも少し前までは無かった科学技術。
「……それに…。」
一度言葉を切ると、暖簾のような前髪の隙間からフカヒレの姿煮を頬張る明星をチラッと見る。
「………私は『技術』はあっても、こんな『恐ろしい発想』はできない。………発売までしてなんですが……本当に作ってしまって、よかったのかと…。」
菖蒲は、人肌まで冷めた中国茶の入った白磁器をギュッと握る。
藤原総理はそれを見て、ゆっくりとコクコク頷いた。
「そうかぁ…。たがね、このプロジェクトが上手くいけば『大半の国民は、その脅威を知ることなく』平和に暮らせる。なにもしないで手をこまねいているより、ずっと建設的だと思わないかい?」
「………解ってます。……ですが…『人道的ではない』。」
うつむく菖蒲。二人の間に数秒の間が空いた。
……すると。
…ポンっ。
菖蒲の肩に藤原総理の手が乗せられた。
驚いた菖蒲は顔を上げ、始めて藤原総理とちゃんと目を合わせた。
「うん、うん、もっと悩めばいい。」
「ッ!?」
「そんな君だから、今後もこのプロジェクトのリスクヘッジのサポートも任せられる。でもね、考えすぎて一人で溜め込んではいけないよ。高度な技術的な事柄には役に立てないが、相談ぐらいなら私でも聞いてあげられるから。」
そう言い終わると、乗せた手で肩をポンっポンっと叩く総理。
「……藤原総理。」
強張っていた菖蒲の表情が、春の日差しに温められて溶けていく雪のように緩んでいく。
そんな二人の間に割って入るように…。
「そうそうっ。相談だって藤原総理を誘えば、今日みたいな高級料理が食べ放題だぞっ♪♪♪」
…と言いながら明星が、北京ダックの皮をクレープのように巻いたモノを口の中に放り込む。
よく見ればあんなにあった料理は、三分のニほど明星の胃袋の中に消えていた。
「ッッ~~~~…お前が喋ると全部台無しだッ。できたらその北京ダックで喉を詰まらせて、一生黙っていてくれッ!」
苦虫を噛み潰したような顔で明星を睨む菖蒲。長きの腐れ縁のせいか、明星相手だとはっきり喋る。
その二人を「まあ、まあ。」と宥める藤原総理。
「明星君。デザートでも頼むかね?」
言われたとたん、「頼むーぅっ♪」と明星は元気よく手をあげた。
菖蒲は明星の姿に頭痛をおぼえ、長い前髪の上から額を押さえる。
「……まったくお前は、なんでもかんでも他力本願過ぎるだろ。」
その菖蒲の言葉に、最後の北京ダックを口に放りこんだ明星が…。
「モッゴゴモゴーォ!(心外だなーぁ!)」
…と憤然する。
「…だからッ!口に入れたまま喋るなッ!!」
憤然し返す菖蒲。
明星は口の中のものをゴクンッと飲み込むと、北京ダックのタレが付着したままの人差し指を立て、不適な笑みで言った。
「発起人としての役割は、ちゃんとこなしているよっ。主に『金銭面』でねっ♪」
たぶん目の前の人物は『対話』をしたがっている。いくら菖蒲が一方通行で話を切ろうとしても、それを許してはくれない……感じがした。
政治家は、自分の意見を多くの大衆に聞かせるための演説が上手いイメージがあるが、藤原総理は反対にとても『聞き上手』で有名だ。
とある国の横暴で有名な大統領さえ、藤原総理とのたった一回の会談で、友と呼び会うほどの友好関係を築いてしまうほどだ。到底、たかが二十年そこそこしか生きていない青二才が勝てるわけがない。
菖蒲は藤原総理から視線を外したまま口を開いた。
「………凄くは……無いですよ。こんな『オモチャ』、すぐにそれを上回るモノが開発される。」
その菖蒲の視線の先にある屏風で、極彩色の牡丹が風に揺れながら花弁を開き、孔雀が半円の形に羽を開く。天井に描かれていた龍も、一定の時間で照明の周りをグルリと一周している。両方ともホログラムだ。
高級店でなくとも、こういったリスプレイを店内に用いている店は多い。今は『普通』でも、これも少し前までは無かった科学技術。
「……それに…。」
一度言葉を切ると、暖簾のような前髪の隙間からフカヒレの姿煮を頬張る明星をチラッと見る。
「………私は『技術』はあっても、こんな『恐ろしい発想』はできない。………発売までしてなんですが……本当に作ってしまって、よかったのかと…。」
菖蒲は、人肌まで冷めた中国茶の入った白磁器をギュッと握る。
藤原総理はそれを見て、ゆっくりとコクコク頷いた。
「そうかぁ…。たがね、このプロジェクトが上手くいけば『大半の国民は、その脅威を知ることなく』平和に暮らせる。なにもしないで手をこまねいているより、ずっと建設的だと思わないかい?」
「………解ってます。……ですが…『人道的ではない』。」
うつむく菖蒲。二人の間に数秒の間が空いた。
……すると。
…ポンっ。
菖蒲の肩に藤原総理の手が乗せられた。
驚いた菖蒲は顔を上げ、始めて藤原総理とちゃんと目を合わせた。
「うん、うん、もっと悩めばいい。」
「ッ!?」
「そんな君だから、今後もこのプロジェクトのリスクヘッジのサポートも任せられる。でもね、考えすぎて一人で溜め込んではいけないよ。高度な技術的な事柄には役に立てないが、相談ぐらいなら私でも聞いてあげられるから。」
そう言い終わると、乗せた手で肩をポンっポンっと叩く総理。
「……藤原総理。」
強張っていた菖蒲の表情が、春の日差しに温められて溶けていく雪のように緩んでいく。
そんな二人の間に割って入るように…。
「そうそうっ。相談だって藤原総理を誘えば、今日みたいな高級料理が食べ放題だぞっ♪♪♪」
…と言いながら明星が、北京ダックの皮をクレープのように巻いたモノを口の中に放り込む。
よく見ればあんなにあった料理は、三分のニほど明星の胃袋の中に消えていた。
「ッッ~~~~…お前が喋ると全部台無しだッ。できたらその北京ダックで喉を詰まらせて、一生黙っていてくれッ!」
苦虫を噛み潰したような顔で明星を睨む菖蒲。長きの腐れ縁のせいか、明星相手だとはっきり喋る。
その二人を「まあ、まあ。」と宥める藤原総理。
「明星君。デザートでも頼むかね?」
言われたとたん、「頼むーぅっ♪」と明星は元気よく手をあげた。
菖蒲は明星の姿に頭痛をおぼえ、長い前髪の上から額を押さえる。
「……まったくお前は、なんでもかんでも他力本願過ぎるだろ。」
その菖蒲の言葉に、最後の北京ダックを口に放りこんだ明星が…。
「モッゴゴモゴーォ!(心外だなーぁ!)」
…と憤然する。
「…だからッ!口に入れたまま喋るなッ!!」
憤然し返す菖蒲。
明星は口の中のものをゴクンッと飲み込むと、北京ダックのタレが付着したままの人差し指を立て、不適な笑みで言った。
「発起人としての役割は、ちゃんとこなしているよっ。主に『金銭面』でねっ♪」
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