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第 七 話
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それから、オレたちは階段を降りて車に向かった。
翠里はオレの横に並び腕にしがみついていた。
既に供養もし終えたし、この翠里の腕組みが嬉しくてつい緊張もほぐれかけていたが、翠里は耳元で囁いてきた。
「ダメよ。ダメ。シカガネ様が付いてくる」
「……え?」
後ろを振り返るのが怖い。怖すぎる。
すぐ後ろには西森さんと中瀬さんが並んで歩いている。
その後ろに東先輩。
最後尾に南条先輩だ。後ろを守るのは部長の責務だと言って。
後ろの四人が懐中電灯で足元を照らしてくれていたので明るかったが、そこにシカガネ様がいる?
背筋が凍り付く。早く車に乗り込みたい。
だが後ろからは先輩たちのバカ話がヘラヘラと聞こえていた。
「す、少し車へ急ぎませんか? もう宿に戻りたいっす」
「なんだ。北藤は怖がりだな」
それさえもヘラヘラと笑う。
翠里のしがみつく腕の強さが、恐怖をますますあおった。
そのうちに車のヘッドライトが見えてホッとした。
その周りには当然人影などない。
オレは翠里を支えながら自然と早足となっていた。
車のエンジン音が少しばかり安心させる。
そのまま後部座席のドアに手をかけた時だった。
一番最後尾の南条先輩の声だ。
「おおい。なんでお前ら灯りを消すんだよー」
え?
だ
っ
た。
誰も灯りなど消してはいないし、ヘッドライトだって煌煌と点いたままだ。
オレたちは車のヘッドライトの前に立ち、一斉に南条先輩に向かってライトを照らした。
そして固まる。女子たちは悲鳴。
山々に響き渡る恐怖の声。
南条先輩の両目は完全に抜けて、そこは空洞になっていたのだ。
「おーい、どこに行ったよ。さすがに怖ーわ。なんのドッキリだよぉ。えひゃひゃひゃひゃーーー」
驚いて懐中電灯のライトがぶれる。
それぞれが違う場所を照らす。
なぜそうなった?
フクロウにでも目を抜かれたか?
いや、それにしては痛そうじゃない。
むしろ楽しそうだ。笑っている。
「んはーーー! なんか滅茶苦茶楽しーーー。こんなぎぼぢばばじめでだぁぁぁぁああああーーー!」
「うわ! うわぁーーー!」
南条先輩は目が抜けて見えないはずなのにむやみやたらに、暗闇の中を駆け回った。
エヘラエヘラと言う笑い声でどこにいるか分かる感じだ。
恐ろしくて恐ろしくてたまらない。
これは翠里の言う『シカガネ様』なのか?
それの祟りなのか?
オレたちは一番明るい車のヘッドライトの前に五人で固まって震えた。
「な、何の冗談?」
「あ、あれが冗談?」
南条先輩は、集落の建物の影に隠れながらもなおも走り回っている。
「ススム!」
東先輩が叫ぶも、南条先輩から返答はない。
ただエヘラエヘラと言う声が静かな山々に響いていた。
そして、車のヘッドライトから少し離れた場所で先輩の倒れた音が聞こえた。
だが軽い。先輩の身長から言って軽い音だったのだ。
まるで足がなくなってしまったように。
翠里はオレの横に並び腕にしがみついていた。
既に供養もし終えたし、この翠里の腕組みが嬉しくてつい緊張もほぐれかけていたが、翠里は耳元で囁いてきた。
「ダメよ。ダメ。シカガネ様が付いてくる」
「……え?」
後ろを振り返るのが怖い。怖すぎる。
すぐ後ろには西森さんと中瀬さんが並んで歩いている。
その後ろに東先輩。
最後尾に南条先輩だ。後ろを守るのは部長の責務だと言って。
後ろの四人が懐中電灯で足元を照らしてくれていたので明るかったが、そこにシカガネ様がいる?
背筋が凍り付く。早く車に乗り込みたい。
だが後ろからは先輩たちのバカ話がヘラヘラと聞こえていた。
「す、少し車へ急ぎませんか? もう宿に戻りたいっす」
「なんだ。北藤は怖がりだな」
それさえもヘラヘラと笑う。
翠里のしがみつく腕の強さが、恐怖をますますあおった。
そのうちに車のヘッドライトが見えてホッとした。
その周りには当然人影などない。
オレは翠里を支えながら自然と早足となっていた。
車のエンジン音が少しばかり安心させる。
そのまま後部座席のドアに手をかけた時だった。
一番最後尾の南条先輩の声だ。
「おおい。なんでお前ら灯りを消すんだよー」
え?
だ
っ
た。
誰も灯りなど消してはいないし、ヘッドライトだって煌煌と点いたままだ。
オレたちは車のヘッドライトの前に立ち、一斉に南条先輩に向かってライトを照らした。
そして固まる。女子たちは悲鳴。
山々に響き渡る恐怖の声。
南条先輩の両目は完全に抜けて、そこは空洞になっていたのだ。
「おーい、どこに行ったよ。さすがに怖ーわ。なんのドッキリだよぉ。えひゃひゃひゃひゃーーー」
驚いて懐中電灯のライトがぶれる。
それぞれが違う場所を照らす。
なぜそうなった?
フクロウにでも目を抜かれたか?
いや、それにしては痛そうじゃない。
むしろ楽しそうだ。笑っている。
「んはーーー! なんか滅茶苦茶楽しーーー。こんなぎぼぢばばじめでだぁぁぁぁああああーーー!」
「うわ! うわぁーーー!」
南条先輩は目が抜けて見えないはずなのにむやみやたらに、暗闇の中を駆け回った。
エヘラエヘラと言う笑い声でどこにいるか分かる感じだ。
恐ろしくて恐ろしくてたまらない。
これは翠里の言う『シカガネ様』なのか?
それの祟りなのか?
オレたちは一番明るい車のヘッドライトの前に五人で固まって震えた。
「な、何の冗談?」
「あ、あれが冗談?」
南条先輩は、集落の建物の影に隠れながらもなおも走り回っている。
「ススム!」
東先輩が叫ぶも、南条先輩から返答はない。
ただエヘラエヘラと言う声が静かな山々に響いていた。
そして、車のヘッドライトから少し離れた場所で先輩の倒れた音が聞こえた。
だが軽い。先輩の身長から言って軽い音だったのだ。
まるで足がなくなってしまったように。
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