ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範

文字の大きさ
5 / 111

第5話 仕事のパートナー

しおりを挟む
すぐに新卒の社員が二名部下についた。
一人は付いて来れずに辞めてしまったが、もう一人は不満も言わずに付いて来た。

その部下は、一つ下の女性だった。近野こんのかほ
ショートカットで張り切る姿は見ていて気持ち良かった。

二人して様々な案件をこなしていった。

そんな生活を三年。
三年も経つと部下も多くなり、一つの課を任せられることになった。
部下の彼女は係長となっていた。

「課長昇進のお祝いをしなくちゃいけませんね」
「まぁ、みんな忙しそうだしなぁ」

「じゃあ二人で! やりません?」
「おいおい。さすがに女性と二人ではできないなぁ」

「あ。信用してませんね? 奥さん一筋なのは分かってますよーだ」
「まぁ、そうゆうことだ。遠慮してくれ」

「はーい」

信頼できる仕事のパートナーである彼女とのやりとりはそんなものだった。

鷹也にとって久しぶりの帰宅。前回は出張の準備で寄っていた。
今回は約一月半ぶりだった。
事前に彩にラインを入れて

「帰る」
「待ってる~」

のやり取りに微笑む。
玄関のドアを開けると、リビングから彩の「おかえり~」との声。

リビングに入るとキチンと整頓されている。
いつも通りだ。

久しぶりに生で見る1歳半の娘の鈴は怯えている。
いつも通りだ。

二人が座るソファに腰を下ろして鈴に手を伸ばすがイヤイヤされる。
それも可愛らしくて仕方が無い。

「パパは会社でエライ人なんでちゅよ~」

という彩の言葉に男の優越感を感じていた。
彩の暖かい手料理に舌鼓を打ち、風呂に入ってすぐに寝た。

明日からはまた戦場だ。
戦士のひと時の休息だった。

それが半年前。
半年前の出来事だった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

処理中です...