ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範

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第11話 邪魔者

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鷹也は仕方なしに、パジャマのままでキッチンに向かった。
鷹也の席にはエプロンや子供のスリッパ。トレイが置かれており座れる状態ではなかった。
鷹也はそれを選別して脱衣所やそれぞれの置き場所に置いた。

「オレも食べようかな?」
「あれ? 食べるの? 急だったからないんだけど。会社に行く途中で食べてくれない?」

そう言って彩はスプーンで子供の口に食事を運び相手にしようとしない。

「いや、今日から休みなんだ。しばらく家にいるよ。朝食はしょうがない。コンビニに行って買って来るか」
「ダメだよ。スズが見たら食べたいっていうでしょ? 外で食べて来てよ」

「だってこの時間じゃ駅まで行かないと食べるところなんて開いてないぞ?」
「ごめん。じゃそうして」

「……そうして……?」

カチャカチャと音を立てて、子供に無言で食事を食べさせている。
まるで鷹也がいないもののように。

鷹也はいら立ちが最頂点に達した。
無言で席を立ち、洗面所に向かい髪をセットすると駅に向かって歩き出した。

自分は一家を支えている。
それを邪魔者みたいに。邪魔者には食事もないのか!

憤慨してはいたものの、駅で食事を搔き込み腹が膨れてくると幾分いら立ちは治まって来た。

自分は子供が産まれてから家にずっといたワケじゃない。
勝手がわからないだけだ。そもそも朝は忙しいもの。
自分が休みだからといってそれに合わせるべきだというのは自分勝手だ。
しかも、普段は家にいないくせに朝食がないことを怒るのは理不尽。
いないものの食事などただの無駄。なくて当然なのだ。

自分勝手さと傲慢さを反省した。

彩に謝ろう。そう思い鷹也は店から出ると自分の家まで歩いて帰った。

しかし……。
家が静かだ。人の気配がない。
買い物用に買った軽自動車もない。
携帯で妻に連絡しても出ない。

すぐに帰るだろうとベッドに横になって待っていたが全く音沙汰がない。
ようやく返信があったのは夕方になってからだった。

「もしもし。タカちゃん?」
「遅いよ。朝からドコに行ってたんだよ。こっちは久々の休みで何もすること無く家で待ってるって言うのに」

「ああ! ゴメン。そうだよね。今日は最初から約束があったの。スズを保育園に預けて友だちとランチ会してたんだ」
「それにしたって携帯くらい見ろよ」

「だからゴメンって。スズ連れて今から帰るから。怒らないでよ! もう……」

ブツリ。

電話が切られた。明らかに感じが悪かった。彩の態度にイライラが募る……。
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