65 / 76
性癖
しおりを挟む
性癖……とは厄介なものだ。三大欲求である性欲。それを満たすためのもの。
エスだエムだというのは可愛いほう。男なのに女装しなくてはならないもの、人に見てもらわないとダメなもの、自身のパートナーを誰かに襲われなくてはならないもの。
そう言うものが生まれつき備わっていては不幸だ。共感を得ることは難しいし、一生隠しながら平凡な睦み合いで我慢するしかない。
ある時爆発しなければ──。
私はそんな我慢が出来ない男だ。自分の性癖は他人に迷惑をかける。だから一生を独身で過ごすつもりだ。
普段は平静を装い、信頼が大事な銀行員をしている。しかしずっと我慢することは体によくない。明日の仕事のために発散させる必要がある。
その我慢は一年。半年。二ヶ月、一週間とバラつきがある。今回は持ったほうだ。前回より10ヶ月と21日。
しかし衝動が押さえられず、車に乗って隣の県へ移動した。
時間は22時が23時に近くなったところ。道に立っている娼婦を見つけた。周りには誰もいない。私は彼女の横に車を止めた。
「ここは寒いわ。隣に乗せて」
「いいとも。さあ乗った。ホテルでいいかな?」
話は早々にまとまって自分の行き着けのホテルと言いながら山道を目指す。
女はこの辺にホテルはないと早々に言ってきたが、実は車の中でしたくなったと言うと、シャワーが浴びれないと文句を言ったが構わない。
やがて誰もいないシーズンオフの別荘地に入って行動を開始した。彼女に襲いかかり、その身を縛り上げる。
「ちょっとちょっと! 縛るのは別料金!」
「うるさい! 大人しくしろ!」
彼女の首に光るナイフを押し当てると、彼女は全てを悟ったのか真っ青な顔をしていた。
そう。私の性癖は行為中に相手に刃物を刺すことだ。簡単に殺してしまっては面白くない。
その絶叫を何度も何度も聞きたい。
早く素晴らしい声で泣いて欲しい。
命乞いをして欲しい。
今までの女がそうしたように……。
「ああああああああーー!!」
◇
私は月夜に青白く写る、元人だったものを眺めていた。
性癖とは厄介なものだ。
全てが終わるとなんと虚しいことだろう。
しかし、あの絶叫は面白かった。これならまた数ヶ月我慢できそうだ。
私が縄を引きちぎったの時の絶望の顔ったらない。
ナイフを持って茫然自失の顔ったらなかった。
鼻に噛みついてやった。
唇を引きちぎってやった。
耳を。指を。性器を──。
マジで最高。満足だ。
車と死体はいつものように処分しておこう。
明日からしっかり地味なOLさんができる。さっさと帰って思い出しながら寝よう。
エスだエムだというのは可愛いほう。男なのに女装しなくてはならないもの、人に見てもらわないとダメなもの、自身のパートナーを誰かに襲われなくてはならないもの。
そう言うものが生まれつき備わっていては不幸だ。共感を得ることは難しいし、一生隠しながら平凡な睦み合いで我慢するしかない。
ある時爆発しなければ──。
私はそんな我慢が出来ない男だ。自分の性癖は他人に迷惑をかける。だから一生を独身で過ごすつもりだ。
普段は平静を装い、信頼が大事な銀行員をしている。しかしずっと我慢することは体によくない。明日の仕事のために発散させる必要がある。
その我慢は一年。半年。二ヶ月、一週間とバラつきがある。今回は持ったほうだ。前回より10ヶ月と21日。
しかし衝動が押さえられず、車に乗って隣の県へ移動した。
時間は22時が23時に近くなったところ。道に立っている娼婦を見つけた。周りには誰もいない。私は彼女の横に車を止めた。
「ここは寒いわ。隣に乗せて」
「いいとも。さあ乗った。ホテルでいいかな?」
話は早々にまとまって自分の行き着けのホテルと言いながら山道を目指す。
女はこの辺にホテルはないと早々に言ってきたが、実は車の中でしたくなったと言うと、シャワーが浴びれないと文句を言ったが構わない。
やがて誰もいないシーズンオフの別荘地に入って行動を開始した。彼女に襲いかかり、その身を縛り上げる。
「ちょっとちょっと! 縛るのは別料金!」
「うるさい! 大人しくしろ!」
彼女の首に光るナイフを押し当てると、彼女は全てを悟ったのか真っ青な顔をしていた。
そう。私の性癖は行為中に相手に刃物を刺すことだ。簡単に殺してしまっては面白くない。
その絶叫を何度も何度も聞きたい。
早く素晴らしい声で泣いて欲しい。
命乞いをして欲しい。
今までの女がそうしたように……。
「ああああああああーー!!」
◇
私は月夜に青白く写る、元人だったものを眺めていた。
性癖とは厄介なものだ。
全てが終わるとなんと虚しいことだろう。
しかし、あの絶叫は面白かった。これならまた数ヶ月我慢できそうだ。
私が縄を引きちぎったの時の絶望の顔ったらない。
ナイフを持って茫然自失の顔ったらなかった。
鼻に噛みついてやった。
唇を引きちぎってやった。
耳を。指を。性器を──。
マジで最高。満足だ。
車と死体はいつものように処分しておこう。
明日からしっかり地味なOLさんができる。さっさと帰って思い出しながら寝よう。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる