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第2章 スランプ、そして、輝き放つ。(2019年)
第8話 悪夢の始まり
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前戦から、妙に歯車が狂い始めてるというのを自覚出来ていなかったが、遂に現実になってしまった。今回は、とにかく歯切れがあまりにも悪過ぎるレースだった。主に決勝にフォーカスしてみようかと思う。まずはスタートこそ上手くいった。そこまではいいんだよ。そこまでは。だけど今回は、普段滅多に怒らない俺でさえ、怒りが隠しきれなかった。マジで相手の所にカチコミかけに行こうかと思ったくらいだ。それくらい最悪なレースだった。問題は、バックストレートで起きた。ちょうど俺は、フェルッチと2位争いをしてる時だった。俺は、周りに配慮しつつ走っていたが、フェルッチの野郎は、どうも周りを気にもしてなかった様子だった。その時に俺は、アウト側にいた。そしてフェルッチとサイドバイサイドに。さぁストレートエンドに来た。問題はそこで起きた。あいつは、かなり強引に入って来て、俺を突き飛ばした。俺は、そのまま、減速出来てない速度でスピンして、タイヤバリアに突き刺さった。マジでここがコンクリート壁だったら、どうしてくれたことやらね。そこで俺のレースは終わった。でも、俺の怒りは収まらなかった。あんなので2位を取れるならば、俺だってとっくにやってるし、普段から使ってるよ。そしてレース後に俺は、フェルッチを呼び出して、こう言った。「いいか!フェルッチ!2回も言わないから良く聞け!!俺らは殺し合いする為に、ここに来てる訳じゃねぇんだよ!!モータースポーツという、れっきとしたスポーツをする為にここに来てるんだよ!!そこんとこ良く考えろよ!!いや、肝に銘じて走れよ!!」と一喝して事態を収めた。というより、あんなのが「レースアクシデント」として処理されてしまうのは、流石に如何なものかと俺は思う。こんなのがいつまでも続いてたら、例えマシンの安全性やらが向上しても、デカいクラッシュとか起き放題だ。下手したら、マジでまた死人が出るよ。このまま行くと。確かに熱くなってしまうのは分かるけどさ、限度というものがあると、俺は思うんだよね。今回のやつだって、フェルッチは完全に限度を超えてるよ。てか俺思うんだけどさ、一度ドライバー達には「レースエチケット」をレクチャーしてもらわんと、ガチで危な過ぎるし、あんな走りしてノーペナルティなのは、いくらなんでも可笑しすぎる。でも、怪我なく終われたのは、不幸中の幸いだ。今度あいつと同じ状況になったら、同じ事してやろうかと思ったくらいだ。そうすれば単に「レースアクシデント」として処理されて、なんのお咎めも食らわないのだから。そして、あいつが怒鳴り込んで来たらこう言ってやろうかと思う。「前回のお返しだよ。レースアクシデントとして処理されてるし。なんのお咎めも無かったよ。残念だったね。フェルッチ。分かったでしょ。自分がやらかした事はこうして自分に跳ね返ってくるっていうのが。悪い事は言わねぇ。今のうちから改心しておいた方が自分の身の為だぞ。」と。そうでもしないと今のドライバーは、なかなか「危険性」というのを理解してくれない。かと言って普段からやってると、「スポーツマンシップ」に反してしまう。俺はレース後、美海にも同じ事を聞いた。すると美海からは、かなり意外な答えが返ってきた。「私だったら、まずはその場の空気に呑まれないように受け流すね。あとは、根に持たない事かな。根に持っても何のメリットや得もないし。むしろデメリットとかの方が大きいかな。それが邪魔して、自分の走りに集中出来なくなっちゃうし。それと、今日起きた事は今日起きた事って区切り付けて、いつまでもズルズルと引き摺らない事かな。いつまでもズルズルと引き摺っていても意味無いし。それで状況が一変したり改善する訳でも無いからね。私だって、自ら進んでヒール(悪役)にはなりたくないし。でも、ひー君先輩の気持ちも分かるよ。確かに、ああいう風になるのも分かるよ。」と、かなり淑女的な答えが返ってきて俺は、少し恥ずかしかった。けど、美海の言ってる事にも一理ある。確かにそうだ。言われてみればだけど。それとこんな走りが増加したのは、モータースポーツ界隈における、一番の問題である「ドライバーの低年齢化」である。良い事なんだよ。若いうちから経験積めるから。でも、俺ら「ティーンエイジャードライバー」と呼ばれる10代ドライバーは、「危険」という「レッテル」を貼られがちで、本当に「迷惑な限り」だ。確かに、若気の至りや血気盛んなのは良いとして、それを走りで表現するのは、何かちょっと違う様な気がする。あとは、「ティーンエイジャードライバーの暴走」を「止める」ベテラン勢があまり「居なくなった」という事だ。俺だってRLLRに加入した昨シーズンの後半戦、グレアムには凄く世話になったし、可愛がってもらった。そんなグレアムだって、19からインディ出ていて、今じゃベテラン勢の1人だ。毎回俺が相手に撃墜されかけて、キレ倒しに行こうかと思った所に、必ず彼は居てくれて、腕を横に突き出しては、首を横に振り、「おいおい、そんな事してちゃ、せっかくのインディカーを楽しめなくなっちまうだろ?こういう時程、一度落ち着くべきだよ。」と優しく諭してくれた。今ではこうした「指導役」のドライバーも減って来ている。特にインディ500の時とかは、俺は同年代のドライバーにガチで殺されかけて、これがトラウマになりかけて、しばらくの間、車のミラー見るのが怖かったくらいだ。それと、「リミッター」というのを知ってるのか知らないのかよく分からんけど、レース中とかもそう。「自制心」というのをついつい忘れかけてる時もある。それが一番恐怖でしかならない。俺も今回ばかりは「自制心」云々では無くて、本当に危険な走りをされた事に、ただただ憤慨してるだけの話である。
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