ドラゴン=八角=アーム~無限修羅~

AKISIRO

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第1部 ロイ編

第10話 勇者一行様

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==ワールドダンジョン==
「勇者一行なんて呼ばれてたけどさ俺達は、俺、戦士、僧侶、賢者、それがパーティメンバーだったよ、魔王なんて奴をぶっ倒したけどさ、本当は倒しちゃーいなかったんさ」

「どういう事だ? 勇者魔王伝説は聞いた事があるが、何千年も昔の話だったはずだ」

 ロイが思案深げに尋ねると、勇者セイリュウはくっくっくと笑い声をあげていた。

「それは、当時の王様が作った作り話さ、魔王なんてものはいなかった。そこにあったのは修羅だよ、沢山の異世界と異世界がぶつかって、魔王なんていう話じゃない、世界の終わりそのものだった」

「なら、なぜ、この世界は終わっていない?」

「いや、終わったのさ、そして、始まった」

「どういう」

「地球が始まりだった。俺は普通の高校生だったよ」

「コウコウセイとはなんだ?」

「そういうのはまだ知らなくていいさ、俺は、この世界に召喚されて、地獄と化した世界を救う事も出来ず、滅ぼさせた。そして世界は惑星食いによって修復されたよ」

「意味が分からないのだが」

「勇者とはただの飾り物であって、ただの世界を作り直す行程にしかすぎない。俺達が魔王を倒したんじゃなく、優しい魔王を殺してしまったんだよ」

「意味が」

「人だ。人そのものが魔王だった」

 勇者セイリュウは歪な笑顔を浮かべた。

「守るべき人間達こそが魔王だったんだよ、欲望、もっともっと贅沢を、もっともっと富を、もっともっと領地が欲しい、繁栄したい。魔王はただ守ろうとしていただけなんだ。俺達はそれを殺した。そして、世界が破壊されてしまい、異世界が複合的にぶつかり、結果的に世界は終わって惑星食いによって修復された。以上! 後は自分で見つける事をお勧めするよ、さてと、俺を倒せたらの話だけどな」

 勇者セイリュウは龍の剣を鞘から引き抜くと。
 一瞬にして蒸発してしまった。
 蒼い光の粉のようなものが空を漂う。

「あれは、テレポートというスキルじゃな」

「その通り!」

 ドラゴン娘のデルの助言を聞いた次の瞬間には、ロイの背中から血しぶきが舞い上がった。

「はや!」

 なんてものじゃない、もはや縮地を通り越して、ただ後ろに瞬間移動したようなものだった。

 圧倒的な斬撃、容赦のない殺意。
 もはやそこには勇者としての優しさと言うよりかは。
 殺戮者としての狂人そのものがいた。

「どうした。君の力はそんなものかい?」

「決まり切ったセリフを呟くな」
 
 背中の筋肉が張り裂けそうだ。
 皮膚が燃えるようにじくじくと痛む。
 少しずつだが、再生が追い付いているようだ。
 ドラゴンアームを手に入れてからと言うもの、体の再生力が日に日に上がっている。

「へぇ、自己再生能力か、なら一思いに殺してあげようか」

「ロイよ、今更だが、母上の剣を使う時が」

「いや、剣はダメだ」

「なぜじゃ」

 デルが囁くようにさらに呟く。

「ここで死なれたら、私が困るというものじゃ」

「死ぬつもりはない、剣は握らない、なぜなら、それは捨ててきたからだ」

「そうか」

「剣を握るときは、心に迷いがない時にしている」

 デルは大きな口を開けようとしていたが、それを閉じていた。
 どうやら、食堂で見せてくれたエメラルド色の剣を取り出そうとしていたようだ。

「その剣、大事なもんなんだろ」

「ああ、その通りじゃ、この剣は母上そのものの剣じゃて」

「なら取っておけよっと」

「何を話しているのだ。ここでは命のやり取りをしているというものだぞ」

 勇者セイリュウがまたもやテレポート移動してくる。
 その度に、蒼い光の粉のようなものが浮遊している。
 その蒼い光のようなものが、軌跡を描いて、自分にまとわりついている。
 そのまとわりついている方角に、大抵、勇者セイリュウが現れる。

 右肩をざっくりと青龍の剣で抉られる。

「どうした!」

「いや、お前、この蒼い光が見えるか?」

「いや、そんなものはない!」

 勇者セイリュウがまたもやテレポートを発動させる。
 2秒という間の最中で思考を始める。
 この蒼い光という現象が見えているのはどうやらロイだけのようだと悟る。
  
 子供の頃から文字や数字が光って見える現象のせいで、ろくに読み書きすらできなかった。
 だが、今分かる事がある。
 この光はテレポート先を示している。

 蒼い光のような粉が、収束していくところ目掛けて、ドラゴンアームの両腕で拳を繰り出していた。
 テレポートが解除されて、出現した勇者セイリュウの顔面に両腕の拳がワンツーでヒットしていた。
 顔面が抉れて、建物のようなオブジェクトの方角に吹き飛ぶ。

 建物が破壊されて、土埃が舞い上がる最中で。
 また蒼い光が現れる。
 そこ目掛けて、右拳を炸裂されると。
 またもや現れた勇者セイリュウの顔面にヒットして、吹き飛び、地面を転がって動かなくなる。
 彼はこちらを見ている。

「はっはっは、まじかよ」

 ロイはその場にゆったりと歩いていき、右手を差し出していた。

「負けたよ、敗者は消えるとするかね」

「いや待て」

 ロイはただそう話していた。

「俺には100人以上の死なないような仲間が必用だ」

「それは何となく分かるが」

「お前も必要かもしれないな」

「だが、俺はこのダンジョンから出られるのだろうか、数千年もの間、ワールドダンジョンに引きこもっていた男だぞ?」

「デル問題があるか?」

「いやないぞ、ただ、世界の変り用に、驚くかもしれないがな」

 デルがふひひと嫌らしい笑い声をあげていたが。
 ロイは頭をぽりぽりと掻きながら。

「勇者セイリュウ、その力、貸してくれ」

【ワールドダンジョンがクリアされました。ワールドダンジョン世界の終わりが再構築されて、浮遊王国ローゴスに吸収されていきます。エネルギーとなるでしょう】

「これはお前なのか?」

「いや違う、これはこのワールドダンジョンそのものだ」

「浮遊王国ローゴスとは?」

「そうだな、そこから話していなかったな」

 勇者セイリュウは自分自身に回復の魔法を発動させていた。
 ロイの傷は自己再生で回復していたのでなんとかなっていたのだが。
 
 勇者セイリュウの傷はとてもひどくて、美形の顔の形そのものが歪んでしまっていた。
 それが回復していく様は不思議な光景その物だった。

 地鳴りが響いた。
 それは突如であった。

 周りの世界が崩れていく。
 そして、現れたのは。

 蒼い光そのものだった。
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