ドラゴン=八角=アーム~無限修羅~

AKISIRO

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第1部 ロイ編

第16話 墜落

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==鉄王国上空==
 風と言う名の暴力。四方より繰り出される雲の間のウネリ。
 下方より風が吹き荒れると、上空から静けさの風が吹き下ろす。

 まるで海だと認識する事が出来る。
 幼いドラゴンの翼だけでは、それに対抗する方法もなく。
 少しずつ、少しずつ落下を始める。
 
「そろそろ無理だ」

「落ち着いて着陸しろ、デル」

「どうやらそのようにはさせてくれんようだね」

 デルに続き、ロイが叫ぶと、勇者セイリュウが目前の光景を見ている。

 大砲、巨大な大砲がこちらを向いている。
 それも無数だ。
 巨大な城と言って良いだろう。

「た、たしか、鉄王国は滅びたはずでは!」

「蘇ったのだろうさ」

 デルが説明する。

 鉄王国のゴーレム要塞は城となり、雲を超えている。

 まさか、雲の中を飛翔している中で、ゴーレム要塞とぶち当たるとは思わず。

 次の瞬間、稲光のようなものが青白く輝くと。

 無骨で鉛のような巨大な玉が射出される。

 それがドラゴンの姿のデルの翼を穿ち。
 デルは声にならない悲鳴を上げる。

 穿った大砲はそれだけでは終わらず。
 爆発した。

 赤黒い炎の塊が、真横から飛来し。
 爆風により出るの体が吹き飛ばされる。
 ロイと勇者セイリュウはなんとかデルの体にしがみ付いていたが。
 体はそのまま、山奥へと落下していき。
 
 運が良かったのか、デルの体は山の森の木々がクッションとして支えてくれた。

 デルは幼女の姿に戻ると。
 ロイと勇者セイリュウは体を休ませるように山奥の森の中で休憩を取る事にした。

 森が雨を防いでくれている。

 勇者セイリュウが炎の魔法のようなものを発動させると。
 焚火を作ってくれていた。

 デルは体を震わせながら、まだ眠り続けている。
 彼女の右手が少しただれているのが心配ではあった。
 だが、ドラゴンの治癒力のおかげもあり、じんわりと回復しているようだ。

「この魔法は賢者サナディストから教わったものでな」

「魔法か、俺は剣士として生きてきて、魔法と触れ合う事も無かったな」

「魔法は人の意識にある願いを具現化させるらしいとサナディストは言っていた。イメージ力、その力が強い人が、魔法使いや賢者となるらしいとも言っていたな」

「魔法がなぜ、この世界に存在するのか、そこから不思議には思っていたがな」

「現実とは意外と、儚いものかもしれんな」

「なぜ?」

「願いが、現実になるなら、もっと平和になれと願えば良いだろう?」

「勇者セイリュウよお前は意外と物事の確信をつくんだな」

「そりゃーダンジョンで何千年も籠っていたからな」

 それは果てしない時間。
 ダンジョンの中でひたすら籠る。
 それが勇者セイリュウの生きざまなのだとしたら。

 今ある冒険は終わりの冒険を意味しているのではないだろうか。
 ロイはそのようになんとなく考えていた。

「問題は鉄王国だな、あいつらドラゴンを危険だと認識したようだ」

「いや、ただの化け物だと思ったのだろうな」

「なぜだ、セイリュウ」

「よく考えてみろ、ドラゴンは滅んだとされているんだ。それが突如現れて見ろ、異世界の来訪者だと思われても可笑しくないだろうが」

「そうだな」

「鉄王国を抜けるなら、あのゴーレム要塞を通る必要がある」

「老齢の守衛、魔賢者のキリクを探すのも良いだろう。一応ジョド村長から手紙は預かってきた」

「いつもらったんだよ」

「気づいたらカバンの中に入っていたよ」

「だから神速のルーム・クラフなのかもしれんな、神速だけにか」

「かもしれん、さてと、今は寝ておこうか」

 暗闇と静けさが辺りを支配する。
 モンスターの気配も、異形の怪物の気配も何もない。
 本当の意味での静けさ。
 デルの苦しそうな寝言を聞きながら。
 ロイと勇者セイリュウは眠りに着いた。


==鉄王国==
 ゴムザ・バーレットとは鉄の玉座にて、その巨漢を座らせていた。
 
「ドラゴンモドキですかな、来訪者の可能性があるので、墜落させました」

 鉄神の鎧に選ばれたナ・カロームは膝を屈して忠誠を誓ったゴムザに報告していた。

「背中には人が乗っていたように見えたが?」

「はい、青年が2人でした。一応真っすぐにゴーレム要塞に向かっていたのと。わざわざ雲の中を隠れて進んでいたところが怪しく、先手を打ちました」

「そうか」

「恐らく生きているでしょうが」

「気にするな、あまり無益な殺生はしたくないが、こちらが殺されるのもごめんだ。こちらは民を守る立場だからな」

「御意にて、では」

 ナ・カロームは子供の頃からゴムザ・バーレットと遊んで生きていた。
 最初はただの巨漢な少年としか認識していなかった。
 だが彼が王族である事が分かったときと、家族を盗賊からその体を犠牲にして助けてくれた事から忠誠を誓った。

 ゴムザの体には無数の傷がある。
 何度倒れようと何度死にかけようと立ち上がった勇者そのものだった。

「老齢の守衛よ、ここの守りを頼む、どうにもあのドラゴンモドキが気になる」

「ほうですか? それなら、配下の者たちを連れて行ってくだされ」

「いえ、結構、これでも鉄の神に選ばれた男だ。1人で十分すぎる」

「ほうですか、慢心と自信は危険ですからのう」

「ふ、慢心ではござらぬ」

 ナ・カロームは外に出るなり、鉄神の鎧に語り掛ける。

 声は反響し、戻ってくる。
 そうして、剣の兜の形をした鎧は、変形を辿り。
 背中に剣の翼が現れる。

 鉄神の鎧。
 それは空を鉄の鎧で支配する鎧であった。

 鉄の剣の翼の柄の部分から火が噴射される。
 それは金槌で武器を作る時に燃やされる炎のようなものであった。

 一瞬で大地を穿つ。
 体が上空に飛び上がると。
 その勢いで、山奥の森の方角へと飛翔する。
 
「あそこか」

 焚火を見つけたナ・カロームは、そのままの勢いで、地面に落下し。

 剣そのものが空より落下してくる勢いで、頭が地面に突き刺さる。
 土煙。大地が粉砕される。
 宙がえりし、着地する頃には。
 
 2人の青年に攻撃を仕掛けられる寸前であった。

 斬撃音。
 鉄の籠手より、鉄の剣を生やす。
 2本の鉄の剣が、1人の青年の剣を防ぐことが出来た。
 もう1人の青年は打撃であり、あり得ぬことが起きる。
 鉄の剣そのものが粉砕され、ガラス細工のように崩壊した。

「やるな!」

 その声と共に、鉄神の鎧ナ・カロームとドラゴンアームのロイと勇者セイリュウの死闘が始まった。

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