Inventory Kingdom ~僕の収納は国家規模!~

AKISIRO

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第8話 崩壊の山と蘇る遺産

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 ガストン教授はハイビカス山でひたすら古代機械都市なる者の研究を進めていた。
 ハイビカス山の地下には古代機械都市と呼ばれるダンジョンが眠っている。
 ダンジョンそのものが都市であり、異世界の技術である機械を用いられている事から古代機械都市と呼ばれていた。

「こ、これは、物凄い発見だぞ」

 1本の抜けない剣。
 その剣は機械で包まれており、普通のロングソードより2倍くらい大きい。
 大剣と呼んでも良いのだが、どこからどう見てもロングソードにしか見えない。
 柄が細くて片手で持つことに特化しているようだ。

「ぐぬぬぬぬ、抜けぬ」

 このダンジョンにはゴーレムと呼ばれるモンスターが無数にいる。
 遥か昔からおり、侵入者を駆除する事が目的なのだが。
 ガストン教授のスキル:解析。
 1ヵ月前に1体の人型ゴーレムを破壊する事に成功した。
 それは斧を使っての激しいバトルで。
 もちろん相手の行動パターンをスキル:解析で理解したからという事もある。

 スキル:解析にはまだ使い用途がある。
 それが、構造を理解するという事。
 1体の人型ゴーレムの構造を理解したガストン教授はその電波なるものを利用して、同じ人型ゴーレムから敵対と認識されないように操作する事に成功した。

 だが、獣型ゴーレムには襲われるので、人型ゴーレムを迂回しつつ、隠れつつ、なんなく最下層近くにまで達した。
 
 巨大な機械の門の向こうに広がるのはどんな世界なのか?
 だがそこには巨人型のゴーレムがいたので近づけない。
 その遥か手前には機械のロングソードが台座に埋め込まれていて。

「これを引きぬけるものがいれば、もしかしたら、あの巨人型ゴーレムを倒せるかもしれぬ」

 その時だった。
 遥か天上が真っ二つに裂かれた。
 次に、大きな爆発をともなって、ガストン教授は吹き飛ばされていった。

「な、何事だ。トラップでも発動してしまったのだろうか? ぎゃあああああ」

 ガストン教授の悲鳴が辺りを支配していく中で、彼はごろごろと古代機械都市のダンジョンをボールのように転がりまわった。
 ドワーフの小さな体。
 無骨で逞しい肉体が、死ぬことを許さず。
 そのまま機械の彼方へと消えていく。

「ああああ、本当に死ぬぞ、どこの誰だ。山を斬った大バカ者はあああああああ」

 ガストン教授の怒りが爆発した時。
 1人の男と1人の女がこの山に向かって歩き出していたのであった。


★ ハイビカス村

「この村には昔着た事があるんだよ」

 ハイビカス山の麓にはジャヴァ王国の支配下のハイビカス村なる小さい集落があった。
 
「ここでは、鉱物を食べる事が出来るんだ。ハイビカス山から採掘された鉱物はね、この村から取れる特殊な水メロムに浸からせると柔らかくなり、まるで果物のように食べられるんだよ」

「それは~とても奇妙な体験ですね、そうだ。サンドイッチ食べなかったから、ここで鉱物のサンドイッチでも食べたいですね~」

「それなら、確かこの宿屋にあったはず。1度休憩しよう」

 2人がハイビカス村の宿屋に入ると。
 そこでは多くの冒険者と村人達があわあわと緊急会議なる者を開く寸前だった。

「村長、山がお怒りになるのも時間の問題です。何者かが山を斬りましたが、どこのどいつなんでしょうか、7人の魔王が現れて、彼等がどこぞに消えていったのに、ソード王国は一体何を生み出しまくってるのでしょうか!? 滅んだくせに可笑しすぎますよ」

 若者。名前をミシェルが叫んでいた。

「ミシェルどうしたんだい」

 ミシェルとは昔からの知り合いだった。
 彼はハイビカス村の専属B級冒険者であり、昔、荷物持ちだったリードを雇ってくれた事がある。
 その時はまだ青の林檎隊に所属していなかった。

「おお、リードじゃないか、お前ソード王国出身だったよな、あそこから斬撃が飛んできて、山を破壊したんだよ、誰がやったか知らねーが山が怒ると大変な事になるんだよ、速くこの村から逃げたほうが良い、俺達は村人を引き連れて逃げるつもりだが、村長がそれはいけないと聞かないんだよ」

「そうじゃ、ミシェルよ、この村はメロムとメロカ様の神様が居座っておる。彼等を奉る事を忘れれば、わし等の生きている意味がないのじゃ、わしだけでもこの村に残ろう」

「だから、メロムとかメロカとかの神様はなそんなものはいないんだっての、ただの迷信だから」

「それは違うぞ、遥か昔、ソード王国に勇者が君臨した時、2人はパーティメンバーとして共に魔王を打ち滅ぼした。わしはそれを信じておる」

「だとしても、それは昔の話だぜ? 村長、神様になったとしても、拝んだとしてもそいつらはとっくに死んでる」

「じゃが、わしは残ろう」

「あー分りました。僕が山に行ってきます。モンスターが来たら全部倒しますので」

「り、リードおめー頭がおかしくなっちまったのか」

 金髪の髪の毛、青い瞳。背丈はリードと同じくらい。中肉中背。
 そんなミシェルはこちらを見ながら笑う。

「いや、僕が原因なんだよ、僕があの山を間違って斬ったんだよ、この剣で」

 ブレイカーソードをアイテムボックスから取り出して見せる。

「うそだろ、それ、鑑定したら、伝説級じゃねーか、そんな国を買える武器を持ってんのかよ」
「いやーそれがね、1つだけじゃないんだよ」

 ミシェルの口が大きく開かれた。

「だからね、これは僕の責任でもある。この村には冒険者が4名いたよね」

「あ、ああ、昔から専属は変わらねー、魔王が7人同時に現れて、日雇いの冒険者は遠くに逃げちまったよ」

「それなら、その4名に伝説の武器の劣化版を上げるよ、もちろんミシェルにも」

「おいおい、後でお金をぼったくりするんじゃねーだろうな」

「いやーそんな事はしないよ、僕の力で複製して劣化しただけだから、一応、破壊現象を弱めてあるから、一瞬でモンスターを全部破壊とかは出来ないんだけどね」

「それだけでもありがてー」

 リードはアイテムボックスから【劣化版ブレイカーソード】を5本取り出す。
 ミシェルと他の4名の冒険者に渡すと、彼等は感激のあまり気を失いそうになっている。

「村長、お久しぶりです。あなたは武器を大事にしそうだから、劣化版じゃないほうをあげます」

 小声でささやきながら、リードは本物と同じ力を持つブレイカーソードの複製を渡す。

「ほう、これは感謝しかないのう」

 村長がブレイカーソードの柄を握りしめながら。

「た、大変だーハイビカス山からモンスターのゴーレムが暴走してこちらに真っ直ぐに来る。無限に古代機械都市のダンジョンから溢れてるようだ!」

 村人の1人が口から泡でも吐き出すかのように叫んでやってきたのはその時だった。

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