新・三国志 

明日ハレル

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第1章 雌伏編

 第1章 第2節 雌伏編 その9

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新・三国志 第1章 雌伏編 その9

曹操は夜半過ぎには戻って来れた。

敵の軍は1万程と聞いたが全体の規模は分からない。

青洲城を落としたからにはそれなりの軍なのだろう。

ここは夜襲と云う事であり、良い実戦経験を積む機会だ。

曹洪は曹休と曹安民を配下に歩兵5千で正面の焼落ちた城門から攻めよ。

于禁も1万の歩兵で曹昂、曹純らと曹洪に続け。

補給隊に5千の護衛を付ける、曹仁、張獏、劉岱はここで本陣を守り、護衛隊を指揮せよ。

我は楽進、李典を率いて1万の兵で裏門に回って敵の退路を断つ。

夏侯淵、夏侯淳は夏侯徳、尚、覇、恩らと騎馬隊を率いてこの場にあって夏侯淳の采配で適宜に動いてくれ。と言って自ら出ようとする。

曹操殿!指揮官が自ら奇襲に行くなど聞いた事がありません!指揮官は此処にあって夏侯淳らを指揮してくだされ!軍師の程昱が必死に諫める。

そうだぞ、阿萬(曹操の幼名)指揮官はドッシリ構えて動かぬものだ!自らの手で決着を付けたい気持ち分からんでもないが、今回は自重してくれ、夏侯淳も同じことを言う。

曹操殿わしは弟の敵を討ちたい、その軍は劉岱と曹仁殿とで我が行こう。張獏が懇願したので、曹操も愚かな事を云ったとすぐ反省し、うむ張獏では頼むぞと励ました。

張獏は最近雇い入れた卞喜と彭越の腕試しだ。曹仁殿、劉岱殿行こうか!

本陣の守護は李典、楽進に任せる。護衛隊の指揮も頼む。更に曹昂、曹純も彼らに従えと曹操は命じた。

張獏が後ろに回り込んで火矢を放つ!それを合図に曹洪、于禁は攻めかかれ!

今回夏侯淳等には出番は無いかもな。曹操は豪快に笑い飛ばした。

もう既に日付では明日になっていた、曹操軍はゆっくり音を出さずに城に近づいていく。

城を乗っ取った賊軍は皆宴会で酔いつぶれ間者の報告通り寝ているみたいだ。

曹洪と于禁の部隊は曹洪を先鋒にその後方に于禁勢が于禁・厳網と梁武・菊義が2手に分かれて待機していた。

張獏が後方に回り込み合図の火矢が打ち上げられる。

曹洪らは声を上げて突撃を開始し、焼けて半壊している城門を抜けると、酔いつぶれ倒れていた族兵が居ない!?

城の中には機で組み上げられた祭りに使うような神輿の大きな物があり、そこには数千の弓兵が待機し、一斉に曹洪の部隊目掛けて乱れ打ちのように弓を打ってきた。

忽ち曹洪の部隊は奇襲を行うつもりが逆に奇襲を受け数百の兵が1撃で倒れた。

更に3千の歩兵が槍を並べて突き掛かって来た。混乱した曹洪の兵は次々に槍の攻撃で倒れて行く。更に2千の弓兵が手を緩めずに弓を乱射する。

30分程で曹洪のは兵の半数を失い後退する。曹安民が乱戦の中戦死した。

後方にいた于禁は曹洪の部隊が門に入ったので、狭いとこらへ一度に大勢の兵が入ると混乱するので、入ったのを確認し前へ進んだ。

すると左右から火矢が飛んでくる、伏兵を予め潜ませていたのか!

如何曹洪殿が危うい!菊義2千の兵で直ぐ援護に行け、おそらく曹洪殿も奇襲を受けているだろう。兎も角城門へ出るまで援護しろ!

梁部ここが頑張り時だ!4千づつで敵の伏兵を抑える。下手をするとここにいる兵が全滅するぞ!何とか切り抜けろ!

于禁も必死で敵に立ち向かう。暗闇の中死闘が続く。

于禁は直ぐ曹操の元へ伝令を飛ばし、救援を求め、油断なきようとも知らせた。

于禁が曹操への使者騎馬10騎に手紙を託し、仮の陣から出て見送り、帰ろうとしたその時!

背後より5騎の騎馬が騎乗している于禁目指して突進してきた!

近くにいた騎馬の警備の者が于禁殿敵襲ですぞと言って、数名が立ちはだかる。

ただ一瞬で警備の者達は切り捨てられた。

更に速度を上げ于禁に迫ってくる!

初撃を何とか躱したが、バランスを崩して落馬し左腕をねん挫してしまった。

見ていた周りの者が、于禁殿が斬られた!?

丁度近くにいた副将の厳網がオノレ!敵か!と言って切りかかる。

それは凄い剣戟の嵐となり、撃ち合う事数十撃何方が勝つか分からない!

周りの者は于禁を助けて本陣の奥に運んでいく。

曹洪を助けて戻って来た麹義や右翼にいた梁武が駆けつけて来た。

敵将は囲まれてはと奥義の1撃を厳網に浴びせて逃げていった。

我は秦明!先程の将は于禁だな!次は必ず首を貰う!

と捨て台詞を言って見えなくなった。
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