愛されたいと…願って生きていた人間が愛されるまで

りぃ

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第1章

小話 魔王と姫の話 3

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わたしは、オリバーと一緒に魔界にいった。
「心配?」
そう尋ねてくる。会った時よりも格段に柔らかい表情で…ほとんど無表情なことには変わりないが、目の暖かみが違う。
「えぇ、…少しだけ…」
わたしは、今になって急に不安になった。

ついて出迎えてくれたのは、執務層のルドルフという男だった。黒髪をオールバックにした紫の目をしてメガネをかけている。貼り付けたような笑顔で笑っているが、目は笑っていない。少し怖い男だ。
わたしはすぐに魔王様が眠っている部屋に案内された。
魔王様の目を覚まさせるために。

その部屋はそんなに広くもなく、ベッドだけが真ん中に置いてあるだけの部屋で、少し薄暗かった。
ベッドはキングサイズぐらいあるのではないかというほど大きかった。
オリバーとルドルフは部屋の外の扉の前で待機してる。
この寝室に入れるのは王妃となるものだけなんだそう。

胸がドキドキする。
緊張で足が震えるなかゆっくりとベッドに近づいた。
ベッドを覗き込む、そこには長い黒い髪にまるで芸術品のように整った顔立ち、ゾッとするほど妖艶で美しい男の顔がそこにあった。
人間達は魔族ほど顔の整った一族はいないと口々に話していたが、わたしはこれ程にも美しい顔の人に出会ったことがない。
目が離せない。まるでその人は死んでいるかのようだった。
顔を見つめていると、なんの前触れもなく目がゆっくりと開いた。

「誰だ、お前は、我の眠りを妨げおって……」

そういうと目をこれでもかと言うほど見開いて起き上がりわたしの手をとった。

「待っていたぞ。ローズ」

そう言って微笑んだ。

わたしはその一挙一動をただ見つめることしかできなかった。
彼の真っ赤な瞳を見た時、何かがわたしの中で弾けた。
そして涙が止まらなくなった。
わたしはずっとこの人を探していたんだわ…

「はい、ただいま戻りました。アル…」

わたしは眠っていた記憶を起こした。
わたしはかつてこの魔界で生きていた。
この御方のおそばで、わたしは生きていた。ロジェッタ、それがわたしのかつての名前…深紅のバラのように赤い瞳に赤い髪、何もつけていないのに常に赤い唇、真っ白な肌…それが私だった。
そんなわたしを彼はローズと呼んでいた。







わたしが記憶を取り戻したあとでも、わたしは人間を憎むことなどしなかった。なぜなら私自身が人間であるからだ。わたしはこれからもミルフレイユとして生きていく、ローズとして生きたことも記憶したまま…それをアルは少し寂しそうにしていたが、笑って許してくれた。

そしてしばらくして…わたしは子供を産んだ。レイン…わたしの可愛い娘。愛しい子。あなたを愛しているわ。
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