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チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【7】『思わぬ再会』
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【問題】
ある日、道を歩いていたJ菜さんは、赤ちゃんを抱っこした同級生のK子さんとすれ違いました。
思わぬ再会に懐かしくなったJ菜さんは、K子さんに笑顔で話しかけたのですが、K子さんの様子はよそよそしいものでした。
J菜さんに碌に挨拶も返さなかったばかりか、腕の中の赤ちゃんをJ菜さんに見られまい、触られまい、とかばい、そそくさと逃げるように去っていきました。
一年後、J菜さんはK子さんの赤ちゃんのお墓参りに向かっていました。
荒れ果てた墓の前で手を合わせたJ菜さんは、ただただK子さんのことを思い、涙を流し続けました。
さて、その涙の理由は何でしょうか?
【質問と解答】
チエコ先生 : 今回のクイズは、陰鬱で救いのない内容ね。
キクちゃん : えーと、チエコ先生。これは……K子さんが自分の赤ちゃんを虐待の末に殺害してしまったとしか……町でK子さんに再会した時、「腕の中の赤ちゃんをJ菜さんに見られまい、触られまい、とかばい、そそくさと逃げるように去っていきました。」とありますから、赤ちゃんの痣や傷痕をJ菜さんに見られまいとしていたとしか思えないです……赤ちゃんは虐待によって亡くなったのですか?
チエコ先生 : YES。
キクちゃん : ……やっぱりそうだったんですね。赤ちゃんを殺害したのは、母親であるK子さんですか?
チエコ先生 : NO。
キクちゃん : !!! ……となりますと、まさか赤ちゃんを殺害したのは、J菜さんですか?
チエコ先生 : YES。J菜さんが赤ちゃんを誘拐して、殺害したの。
キクちゃん : 赤ちゃんを殺害した犯人は判明しました。となると、涙の理由は作中に「荒れ果てた墓石の前で手を合わせたJ菜さんは、ただただK子さんのことを思い、涙を流し続けました。」とありますから、自分がK子さんの大切な赤ちゃんの命を奪ってしまった……と、心から自分の罪を悔いている贖罪の涙でしょうか?
チエコ先生 : NO。……あのね、キクちゃん、世の中には罪の意識を感じることのできない人間が一定数いるのよ。そもそも、贖罪の涙を流せる心を持っている人間なら、最初から人様の赤ちゃんを誘拐したうえ、虐待死させたりなんかしないわ。
キクちゃん : ……そうですね。となると、涙の理由は何なんだろう? うーん、うーん……
チエコ先生 : キクちゃん、問題文の冒頭部をもう一度、読み直してみて。
キクちゃん : 冒頭部では、J菜さんとK子さんが同級生であるということと、J菜さんは”思わぬ再会”に懐かしくなって笑顔で話しかけたのにK子さんはよそよそしい態度のままだったということですよね。…………あ! もしかして……J菜さんはK子さんのことを同級生であり友人だと思っていた。けれども、K子さんはJ菜さんのことを全く覚えていなかった……よって、K子さんサイドから見たなら、”思わぬ再会”などではなく、知らない人に馴れ馴れしく話しかけられた挙句、赤ちゃんを触られそうにもなったということですか?
チエコ先生 : YES。だんだん解答へと近づいてきたわ。その調子よ。
キクちゃん : J菜さんはK子さんが自分のことを全く覚えていなかったことが悲しくなり、K子さんの赤ちゃんを誘拐・虐待・殺害した。問題文中の「ただただK子さんのことを思い~」のくだりは、K子さんが自分のことを覚えていてくれていたなら、私はこんなことはしなかったのに……という”自分自身を哀れむ涙”だったんですか?
チエコ先生 : YES。正解よ。さらに詳しく解説しておくと、J菜さんは殺人を犯したのに逮捕されて身柄を拘束されているわけでもなく、赤ちゃんのお墓参りに自由に行くことができている状況でしょ。そして、その墓も「荒れ果てた墓」とあるから、J菜さんに荒れ果てた場所に赤ちゃんの遺体を遺棄して、自分の中で”そこ”を墓と呼んでいるだけなのよ。
キクちゃん : ……赤ちゃんは行方不明のままになっているということですか?
チエコ先生 : ええ、そうよ。K子さんや彼女の家族は、赤ちゃんは絶対に生きている、誰かに誘拐されたんだとしてもきっと大切に育ててくれている、と信じ、今も必死で行方を捜し続けていると思うわ。
(完)
ある日、道を歩いていたJ菜さんは、赤ちゃんを抱っこした同級生のK子さんとすれ違いました。
思わぬ再会に懐かしくなったJ菜さんは、K子さんに笑顔で話しかけたのですが、K子さんの様子はよそよそしいものでした。
J菜さんに碌に挨拶も返さなかったばかりか、腕の中の赤ちゃんをJ菜さんに見られまい、触られまい、とかばい、そそくさと逃げるように去っていきました。
一年後、J菜さんはK子さんの赤ちゃんのお墓参りに向かっていました。
荒れ果てた墓の前で手を合わせたJ菜さんは、ただただK子さんのことを思い、涙を流し続けました。
さて、その涙の理由は何でしょうか?
【質問と解答】
チエコ先生 : 今回のクイズは、陰鬱で救いのない内容ね。
キクちゃん : えーと、チエコ先生。これは……K子さんが自分の赤ちゃんを虐待の末に殺害してしまったとしか……町でK子さんに再会した時、「腕の中の赤ちゃんをJ菜さんに見られまい、触られまい、とかばい、そそくさと逃げるように去っていきました。」とありますから、赤ちゃんの痣や傷痕をJ菜さんに見られまいとしていたとしか思えないです……赤ちゃんは虐待によって亡くなったのですか?
チエコ先生 : YES。
キクちゃん : ……やっぱりそうだったんですね。赤ちゃんを殺害したのは、母親であるK子さんですか?
チエコ先生 : NO。
キクちゃん : !!! ……となりますと、まさか赤ちゃんを殺害したのは、J菜さんですか?
チエコ先生 : YES。J菜さんが赤ちゃんを誘拐して、殺害したの。
キクちゃん : 赤ちゃんを殺害した犯人は判明しました。となると、涙の理由は作中に「荒れ果てた墓石の前で手を合わせたJ菜さんは、ただただK子さんのことを思い、涙を流し続けました。」とありますから、自分がK子さんの大切な赤ちゃんの命を奪ってしまった……と、心から自分の罪を悔いている贖罪の涙でしょうか?
チエコ先生 : NO。……あのね、キクちゃん、世の中には罪の意識を感じることのできない人間が一定数いるのよ。そもそも、贖罪の涙を流せる心を持っている人間なら、最初から人様の赤ちゃんを誘拐したうえ、虐待死させたりなんかしないわ。
キクちゃん : ……そうですね。となると、涙の理由は何なんだろう? うーん、うーん……
チエコ先生 : キクちゃん、問題文の冒頭部をもう一度、読み直してみて。
キクちゃん : 冒頭部では、J菜さんとK子さんが同級生であるということと、J菜さんは”思わぬ再会”に懐かしくなって笑顔で話しかけたのにK子さんはよそよそしい態度のままだったということですよね。…………あ! もしかして……J菜さんはK子さんのことを同級生であり友人だと思っていた。けれども、K子さんはJ菜さんのことを全く覚えていなかった……よって、K子さんサイドから見たなら、”思わぬ再会”などではなく、知らない人に馴れ馴れしく話しかけられた挙句、赤ちゃんを触られそうにもなったということですか?
チエコ先生 : YES。だんだん解答へと近づいてきたわ。その調子よ。
キクちゃん : J菜さんはK子さんが自分のことを全く覚えていなかったことが悲しくなり、K子さんの赤ちゃんを誘拐・虐待・殺害した。問題文中の「ただただK子さんのことを思い~」のくだりは、K子さんが自分のことを覚えていてくれていたなら、私はこんなことはしなかったのに……という”自分自身を哀れむ涙”だったんですか?
チエコ先生 : YES。正解よ。さらに詳しく解説しておくと、J菜さんは殺人を犯したのに逮捕されて身柄を拘束されているわけでもなく、赤ちゃんのお墓参りに自由に行くことができている状況でしょ。そして、その墓も「荒れ果てた墓」とあるから、J菜さんに荒れ果てた場所に赤ちゃんの遺体を遺棄して、自分の中で”そこ”を墓と呼んでいるだけなのよ。
キクちゃん : ……赤ちゃんは行方不明のままになっているということですか?
チエコ先生 : ええ、そうよ。K子さんや彼女の家族は、赤ちゃんは絶対に生きている、誰かに誘拐されたんだとしてもきっと大切に育ててくれている、と信じ、今も必死で行方を捜し続けていると思うわ。
(完)
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