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第7章 ~エマヌエーレ国編~
―102― 謎の糸は次々に解かれていく(5) あの白髪の陰険魔導士の名前が判明!
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ミザリーの口より、魔導士クリスティーナ・クラリッサ・レディントンが保有している記憶が語られゆく。
今年で御年九十二歳になること。
霊媒師のような力の使い方をし、その力を持って若い頃はアドリアナ王国の社交界にも裏社会にも少しばかり足を踏み入れていたこと。
本来の肉体の寿命は尽きていたのかもしれないが、彼女自身が開発した術により他人の肉体ならびに魂と融合し続けることを繰り返し、まさに今日という日までこうして生きてきたということ。
その融合であるも、クリスティーナ自身と融合先とできっちり半々に分かれるわけでも、完全にクリスティーナが乗っ取ってしまうわけでもなく、決まったパターンというものが掴めないこと。
中には、魂はクリスティーナの思うままに動かせても、外見は四十代半ばのすね毛の濃いおっさんのままであったりした場合もあったこと。
ペイン海賊団のパトロンとなっていた目的は、殺戮であったこと。
クリスティーナは殺戮という行為そのものを好んだり、興奮していたわけではなく、その殺戮によってもたらされる結果を求めていたこと。
そんな彼女は少女時代に――十五歳になったばかりの頃に――とある魔導士と出会い、以後、二十年近くその魔導士に師事することとなった。
その師の名は、レイモンド・ザカリー・アッシャー。
レイモンド・ザカリー・アッシャーとクリスティーナ・クラリッサ・レディントンは、本来なら出会うはずのない二人であった。
アドリアナ王国の紋章がしっかりと刻まれた黒衣に身を包んだままの姿で彼女の前に現れた、知的であり整った顔立ちをしているも陰険さが滲み出ている老紳士は、一世紀以上も昔に――国王ジョセフ・ガイの治世に――絞首刑に処され、この世を去ったはずであったのだから。
「罪状は約三百人近くの民に対する人体実験ならびにその末の殺人でありました。大量殺戮者です。犠牲者は身分なき者たちばかりであり、犯行も王国の広範囲にわたっていたことに加え、主な犯行時期は内乱や他国からの襲撃などで混乱の最中にあった頃であり、露見するまでに時間を要したとも。……レイモンド・ザカリー・アッシャーはいわゆる名家の出で、十代半ばでアドリアナ王国直属の魔導士となって六十年近くも王国に仕えておりました。しかし、その王国への貢献や身分、高齢であったことも減刑の理由とはされず、早々に死刑が確定し、七十七歳で死刑台への階段を登ることになったのです」
魔導士レイモンド・ザカリー・アッシャーは、アドリアナ王国の血塗られた闇の歴史にその名を刻まれることとなった。
話を聞いてたルークがミザリーに問う。
「そいつの魂がこの世に残り続けていた理由は、この世への並外れた妄執によってだったんですか?」
ルークはちゃんと敬語が使えるようになっていた。
ミザリーが首を横に振る。
「本来でありましたら、絞首刑に処されたのち、その魂が逝くべきところへといざなわれていたでしょう。しかし、”あの人”はあえて違う選択をしました。…………首に縄をかけられ、体が宙づりとなるまさにその瞬間、己の肉体から魂をバッと分離させたのです。肉体を捨て、魂のみとなってこの世をさすらい続けることを自ら選んだ。己の考えに賛同し、力を貸してくれる者を探し求めるために」
今の話を聞き、一番ゾッとしていたのはレイナであっただろう。
かつて彼女は、アリスの町の山間でのフランシスとの戦い(第2章)において、アンバーたちがフランシスに負け、レイナがマリア王女の肉体から追い出されることとなってしまえば、魂だけの状態となり永遠にこの世をさまよい続けることになると聞かされていた。
永久の孤独という地獄。
レイナはその地獄へと追いやられることを防ぐために自害のための薬までも持たされていたし、フランシスからのブリザード攻撃により実際にそれを飲む寸前にまで追い込まれていた。
あの白髪頭の魔導士は、日本の言葉でいう成仏することができなかったわけなく、永久の孤独という地獄でさまよい続けることを自ら選んだということか?!
ディランがミザリーに言う。
「その魔導士は決して後戻りのできない賭けをして……その結果が今のこの状況につながっているんですね」
ミザリーが頷く。
「ええ、まさに後戻りのできない賭けでした。しかも、二重の賭けでした。まず、自分の魂が視える力を持った者を見つけることができるかという賭け。そして、視える者を見つけたとしても自分の考えに賛同し、力を貸してくれるとは限らない……わけでしたからね」
だが、絞首刑に処されてから一世紀以上もの時が流れた時、レイモンド・ザカリー・アッシャーはついに己の魂を担保にした二重の賭けに勝った。
わずか十五歳になったばかりの少女クリスティーナ・クラリッサ・レディントンは奴の姿(魂)をしっかりと視ることができたばかりか、考えに賛同し、そのうえ奴に師事することにまでなったのだから。
死刑囚と少女は手を組んだ。
今現在、その組まれていた手は解かれているようであるが、こうして何十年後の未来にまで影響を及ぼしている最凶のマッチングが成立していた。
なお、十五歳と言えば今のレイナやジェニーと同い年である。
クリスティーナの生育環境までは語られなかったが、妙に肝が据わっているというか、随分と擦れた少女であったのだろう。
「……少しだけ俺の話をしても良いですか?」
普段は寡黙なフレディが珍しく自ら口を開いた。
フレディから言葉を絞り出すようにして語られていったのは、アダムに救われる前のこと――約二百年前に彼自身が当時の六人の仲間とともに凍てついた眠りへといざなわれた時の話――であった。
彼の生々しい記憶に登場する白髪頭の魔導士は、十中八九、レイモンド・ザカリー・アッシャーに違いない。
奴と同じ時代を生きていたフレディは、生前の奴と面識があったというか、奴こそがフレディたちを山間部で襲った張本人であったのだ。
「実際にはあの時から二百年近い時間が経過していて……向こうは俺の顔なんて覚えちゃいないだろうし、鼻から覚える気がなかったろうが……だが、俺にとって”あのこと”は昨日のことどころか、ついさっきのことのようにこの身に刻まれていて……記憶が次から次へと蘇ってきて……」
フレディの拳は震えていた。
今、確かにここにいるはずの彼の魂は、仲間たちを失うこととなったあの雪山へと引き戻されてしまっているのだろう。
「あなたの証言を裏付けることのできる話がありますよ。私……いえ、クリスティーナはレイモンド・ザカリー・アッシャーが処刑台に上がるまでについて詳細に記された極秘文献にも伝手を使って目を通したことがあるのです。その文献によると、身柄を拘束された取り調べの際に、”あの人”は右肩の付け根付近に剣によるものだと思われる裂傷を負っていたと記されていました。しかし、その傷を負った経緯や誰の手によるものかは断固として口を割らなかったと……おそらく、自身のプライドが許さなかったんでしょうね」
クスリと笑ったのは、ミザリーではなくクリスティーナの方に違いない。
約二百年前に誰も知ることのできなかった謎の糸の一つが、今解かれた。
身分もプライドも高いエリート魔導士は、名も無いただの駒だと見下し、同じ人間とすら思っていなかった身分なき若い兵士(フレディ)に反撃を許してしまったばかりか、傷まで負わされたなんて口が裂けても言いたくはなかったのだとも。
「なんにせよ……厄介な奴が絡んできおったのう。しかも、”あれで終わり”とはなっておらぬわけじゃ」
アダムが言う。
主にピーターの力によってあいつを一時的に追いやり、民たちを守ることができたが、完全なる決着は着いていない。
それもそのはず、相手は元々アドリアナ王国直属の魔導士として六十年近く仕えることができたほどの実力者であり、一般的な人間の寿命など遥かに超えた長い時の中、魂だけの状態で生きながらえてもきた者だ。
良い意味でも悪い意味でも、並外れた実力と精神力の持ち主だ。
アダムの言葉を継ぐように、ヴィンセントが手元の手紙の字を目で追いながら言う。
「……先日のことはまだ歴史となっておりませんが、民たちも巻き込みあれほどの事態になったとなれば間違いなく後世に残る……すなわち歴史に刻まれる事件でしょうね。この手紙には『歴史の上に散らばっている点』という言葉が記されておりますし、『点と点を繋げば、また新たな点が浮かび上がり、それらからはまだに乾かぬ血と涙が滴り落ちてるのかもしれぬ』ともありますし。まさか二百年前に死刑となっていたはずの魔導士までもが絡んでくるなどとは思ってもみなかったのですが、あの魔導士のみならず、フランシスたちが関わっていたらしい事件も再度、洗い出していきましょうか」
ヴィンセントの言葉……というか彼の声を聞いてきたレイナはハッとする。
これから、あのまどろっこしい啓示の一つ一つを紐解いていかなければならない。
しかし、紐解きのヒントが彼女の眼前に垂らされていることがヴィンセントの声というスイッチによって気づいたのだ。
「あ、あのっ!」と声を発したレイナに、一同の視線が集まる。
やや赤面しながらも、レイナは言葉を紡いでく。
「……事件に関することじゃなくて、啓示の最初の方の『そなたの母を求めよ』という箇所についてのあくまで私の考察になるのですが……この『そなた』が誰を指しているかについてですが……今回の啓示を書き記したのは確かに私ですが、私はこの世界の言葉の読み書きはまだできません。けれども、『すべてはすでに紡がれている』なら、アポストルさんは”誰がこの場で手紙を読み上げることになるのかも知っていたうえでの言葉”ではないかと思うんです……っ」
啓示の中の『そなた』とは、手紙を読み上げた者……すなわちヴィンセントを指している?
ここにきて、彼女を除いた一同は実感せざるを得なかった。
レイナは確かに普通の女の子だ。
けれどもやはり、何もできない子や何も気づかない子ではなかったのだと。
今年で御年九十二歳になること。
霊媒師のような力の使い方をし、その力を持って若い頃はアドリアナ王国の社交界にも裏社会にも少しばかり足を踏み入れていたこと。
本来の肉体の寿命は尽きていたのかもしれないが、彼女自身が開発した術により他人の肉体ならびに魂と融合し続けることを繰り返し、まさに今日という日までこうして生きてきたということ。
その融合であるも、クリスティーナ自身と融合先とできっちり半々に分かれるわけでも、完全にクリスティーナが乗っ取ってしまうわけでもなく、決まったパターンというものが掴めないこと。
中には、魂はクリスティーナの思うままに動かせても、外見は四十代半ばのすね毛の濃いおっさんのままであったりした場合もあったこと。
ペイン海賊団のパトロンとなっていた目的は、殺戮であったこと。
クリスティーナは殺戮という行為そのものを好んだり、興奮していたわけではなく、その殺戮によってもたらされる結果を求めていたこと。
そんな彼女は少女時代に――十五歳になったばかりの頃に――とある魔導士と出会い、以後、二十年近くその魔導士に師事することとなった。
その師の名は、レイモンド・ザカリー・アッシャー。
レイモンド・ザカリー・アッシャーとクリスティーナ・クラリッサ・レディントンは、本来なら出会うはずのない二人であった。
アドリアナ王国の紋章がしっかりと刻まれた黒衣に身を包んだままの姿で彼女の前に現れた、知的であり整った顔立ちをしているも陰険さが滲み出ている老紳士は、一世紀以上も昔に――国王ジョセフ・ガイの治世に――絞首刑に処され、この世を去ったはずであったのだから。
「罪状は約三百人近くの民に対する人体実験ならびにその末の殺人でありました。大量殺戮者です。犠牲者は身分なき者たちばかりであり、犯行も王国の広範囲にわたっていたことに加え、主な犯行時期は内乱や他国からの襲撃などで混乱の最中にあった頃であり、露見するまでに時間を要したとも。……レイモンド・ザカリー・アッシャーはいわゆる名家の出で、十代半ばでアドリアナ王国直属の魔導士となって六十年近くも王国に仕えておりました。しかし、その王国への貢献や身分、高齢であったことも減刑の理由とはされず、早々に死刑が確定し、七十七歳で死刑台への階段を登ることになったのです」
魔導士レイモンド・ザカリー・アッシャーは、アドリアナ王国の血塗られた闇の歴史にその名を刻まれることとなった。
話を聞いてたルークがミザリーに問う。
「そいつの魂がこの世に残り続けていた理由は、この世への並外れた妄執によってだったんですか?」
ルークはちゃんと敬語が使えるようになっていた。
ミザリーが首を横に振る。
「本来でありましたら、絞首刑に処されたのち、その魂が逝くべきところへといざなわれていたでしょう。しかし、”あの人”はあえて違う選択をしました。…………首に縄をかけられ、体が宙づりとなるまさにその瞬間、己の肉体から魂をバッと分離させたのです。肉体を捨て、魂のみとなってこの世をさすらい続けることを自ら選んだ。己の考えに賛同し、力を貸してくれる者を探し求めるために」
今の話を聞き、一番ゾッとしていたのはレイナであっただろう。
かつて彼女は、アリスの町の山間でのフランシスとの戦い(第2章)において、アンバーたちがフランシスに負け、レイナがマリア王女の肉体から追い出されることとなってしまえば、魂だけの状態となり永遠にこの世をさまよい続けることになると聞かされていた。
永久の孤独という地獄。
レイナはその地獄へと追いやられることを防ぐために自害のための薬までも持たされていたし、フランシスからのブリザード攻撃により実際にそれを飲む寸前にまで追い込まれていた。
あの白髪頭の魔導士は、日本の言葉でいう成仏することができなかったわけなく、永久の孤独という地獄でさまよい続けることを自ら選んだということか?!
ディランがミザリーに言う。
「その魔導士は決して後戻りのできない賭けをして……その結果が今のこの状況につながっているんですね」
ミザリーが頷く。
「ええ、まさに後戻りのできない賭けでした。しかも、二重の賭けでした。まず、自分の魂が視える力を持った者を見つけることができるかという賭け。そして、視える者を見つけたとしても自分の考えに賛同し、力を貸してくれるとは限らない……わけでしたからね」
だが、絞首刑に処されてから一世紀以上もの時が流れた時、レイモンド・ザカリー・アッシャーはついに己の魂を担保にした二重の賭けに勝った。
わずか十五歳になったばかりの少女クリスティーナ・クラリッサ・レディントンは奴の姿(魂)をしっかりと視ることができたばかりか、考えに賛同し、そのうえ奴に師事することにまでなったのだから。
死刑囚と少女は手を組んだ。
今現在、その組まれていた手は解かれているようであるが、こうして何十年後の未来にまで影響を及ぼしている最凶のマッチングが成立していた。
なお、十五歳と言えば今のレイナやジェニーと同い年である。
クリスティーナの生育環境までは語られなかったが、妙に肝が据わっているというか、随分と擦れた少女であったのだろう。
「……少しだけ俺の話をしても良いですか?」
普段は寡黙なフレディが珍しく自ら口を開いた。
フレディから言葉を絞り出すようにして語られていったのは、アダムに救われる前のこと――約二百年前に彼自身が当時の六人の仲間とともに凍てついた眠りへといざなわれた時の話――であった。
彼の生々しい記憶に登場する白髪頭の魔導士は、十中八九、レイモンド・ザカリー・アッシャーに違いない。
奴と同じ時代を生きていたフレディは、生前の奴と面識があったというか、奴こそがフレディたちを山間部で襲った張本人であったのだ。
「実際にはあの時から二百年近い時間が経過していて……向こうは俺の顔なんて覚えちゃいないだろうし、鼻から覚える気がなかったろうが……だが、俺にとって”あのこと”は昨日のことどころか、ついさっきのことのようにこの身に刻まれていて……記憶が次から次へと蘇ってきて……」
フレディの拳は震えていた。
今、確かにここにいるはずの彼の魂は、仲間たちを失うこととなったあの雪山へと引き戻されてしまっているのだろう。
「あなたの証言を裏付けることのできる話がありますよ。私……いえ、クリスティーナはレイモンド・ザカリー・アッシャーが処刑台に上がるまでについて詳細に記された極秘文献にも伝手を使って目を通したことがあるのです。その文献によると、身柄を拘束された取り調べの際に、”あの人”は右肩の付け根付近に剣によるものだと思われる裂傷を負っていたと記されていました。しかし、その傷を負った経緯や誰の手によるものかは断固として口を割らなかったと……おそらく、自身のプライドが許さなかったんでしょうね」
クスリと笑ったのは、ミザリーではなくクリスティーナの方に違いない。
約二百年前に誰も知ることのできなかった謎の糸の一つが、今解かれた。
身分もプライドも高いエリート魔導士は、名も無いただの駒だと見下し、同じ人間とすら思っていなかった身分なき若い兵士(フレディ)に反撃を許してしまったばかりか、傷まで負わされたなんて口が裂けても言いたくはなかったのだとも。
「なんにせよ……厄介な奴が絡んできおったのう。しかも、”あれで終わり”とはなっておらぬわけじゃ」
アダムが言う。
主にピーターの力によってあいつを一時的に追いやり、民たちを守ることができたが、完全なる決着は着いていない。
それもそのはず、相手は元々アドリアナ王国直属の魔導士として六十年近く仕えることができたほどの実力者であり、一般的な人間の寿命など遥かに超えた長い時の中、魂だけの状態で生きながらえてもきた者だ。
良い意味でも悪い意味でも、並外れた実力と精神力の持ち主だ。
アダムの言葉を継ぐように、ヴィンセントが手元の手紙の字を目で追いながら言う。
「……先日のことはまだ歴史となっておりませんが、民たちも巻き込みあれほどの事態になったとなれば間違いなく後世に残る……すなわち歴史に刻まれる事件でしょうね。この手紙には『歴史の上に散らばっている点』という言葉が記されておりますし、『点と点を繋げば、また新たな点が浮かび上がり、それらからはまだに乾かぬ血と涙が滴り落ちてるのかもしれぬ』ともありますし。まさか二百年前に死刑となっていたはずの魔導士までもが絡んでくるなどとは思ってもみなかったのですが、あの魔導士のみならず、フランシスたちが関わっていたらしい事件も再度、洗い出していきましょうか」
ヴィンセントの言葉……というか彼の声を聞いてきたレイナはハッとする。
これから、あのまどろっこしい啓示の一つ一つを紐解いていかなければならない。
しかし、紐解きのヒントが彼女の眼前に垂らされていることがヴィンセントの声というスイッチによって気づいたのだ。
「あ、あのっ!」と声を発したレイナに、一同の視線が集まる。
やや赤面しながらも、レイナは言葉を紡いでく。
「……事件に関することじゃなくて、啓示の最初の方の『そなたの母を求めよ』という箇所についてのあくまで私の考察になるのですが……この『そなた』が誰を指しているかについてですが……今回の啓示を書き記したのは確かに私ですが、私はこの世界の言葉の読み書きはまだできません。けれども、『すべてはすでに紡がれている』なら、アポストルさんは”誰がこの場で手紙を読み上げることになるのかも知っていたうえでの言葉”ではないかと思うんです……っ」
啓示の中の『そなた』とは、手紙を読み上げた者……すなわちヴィンセントを指している?
ここにきて、彼女を除いた一同は実感せざるを得なかった。
レイナは確かに普通の女の子だ。
けれどもやはり、何もできない子や何も気づかない子ではなかったのだと。
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