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つけまつげ

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 アイは、同じ大学に通う手先の器用な友人・ミミに、マスクやエコバッグに始まり、化粧ポーチなど様々な小物を作ってもらっていた。
 お洒落な布地と匠の技の小物だけに留まらず、ピアス等のアクサセリー、さらには現在アイが着用中の”つけまつげ”までもがミミの手作りであった。

 つけまつげ自体は、100円均一の店でも購入できる。
 けれども、商品として売り出せるほど高クオリティなオリジナルつけまつげが、ミミに頼めばタダでいくらでも手に入るのだ。これは、頼まなきゃ損だろう。

 しかし「新しいつけまつげをちょうだい」と言ったアイに、ミミは渋い顔をするばかりであった。

「すぐには無理よ……2枚1セット作るだけでも、相当な労力と時間がかかるのよ」

「そんなこと言わずにパパッと作ってよ。あんたは手先が器用なんだから、それぐらい簡単でしょ?」

「私は”材料”にもこだわっているの。だから、探しに行って捕えるところから始めなきゃならないわ。1匹捕まえたとしても、2本しか取れないし」

「!? 探しに行くとか、捕まえるとか……あんたのつけまつげの材料って、一体何なのよ?!」

「ゴキブリの触覚だけど」


――fin Σ( ̄ロ ̄lll)――
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