罰【なずみのホラー便 第62弾】

なずみ智子

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 ミズキの前には、まだ二十人以上もの女性が並んでいた。
 たった一つの公衆トイレの中にいた女性が、やっと出てきたのがミズキにも見えた。ついにミズキは列から飛び出し、もぢもぢとした足のまま”救いのドア”へと向かって一目散に走った。
「ごめんなさい! 先に入らせてください! もう漏れそうなんです!」
 当然ながら並んでいた女性たちからのブーイング――順番は守りなさいよ! 皆きちんと並んでいるのよ!――が飛んできた。
 次にトイレに入るはずの女性が肩をつかんできたも乱暴に振り払い、ミズキはドアノブへと我先に手をかけた。

 ガチャッ。

 ミズキはベッドの中で目を覚ました。
 夢であったのか? けれども、ミズキが猛烈にトイレに行きたいのは”ここ”でも同じだ。
 家のトイレは、彼女の部屋を出てそのまま廊下の突き当たりに位置していた。

 ガチャッ。

 なんと、”救いのドア”の先にはなおも廊下が続いており、その奥に”救いのドア”があった。
 ミズキは走った。そしてドアノブを回した。幾度も幾度も。だが、辿り着けない。

 半泣きで大事なところを右手で押さえ、もぢもぢした足で走り続けるミズキの耳に、夢の中の女性たちの笑い声が渦巻くように響いてきた。


――fin――
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