チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【10】『水泳の授業』【なずみのホラー便 第97弾】

なずみ智子

文字の大きさ
1 / 1

チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【10】『水泳の授業』

しおりを挟む
【問題】

 小学校3年生のP介くんは、超がつくほどの運動音痴であり、体育の授業が大嫌いでした。
 P介くんには、同じ小学校に通っている5年生の姉と2年生の妹がいましたが、不思議なことに彼女たちは超がつくほどスポーツ万能でボーイッシュな物が大好きな少女たちでした。
 そのことも「姉ちゃんと妹はスポーツ万能なのに、男のお前は……」という風に、周りの同級生たちにからかわれ、虐められる要因にもなっていたのです。
 今日は、P介くんの大嫌いな体育の授業がある日でした。
 しかも水泳の授業です。
 5メートル泳ぐのがやっとのP介くんのお腹がシクシクと痛み出しました。
 仮病を使って保健室で休もうか、とも思ったP介くんでしたが、しぶしぶ更衣室へと向かいました。
 水着に着替えようとしたP介くんですが、着替えることができませんでした。
 P介くんの様子に気付いた同級生の1人が、P介くんが水着に着替えることができない理由に気付き、囃し立てました。
 ついにキレたP介くんは真っ赤な顔で彼を突き飛ばしてしまい、更衣室の床で頭を強打させました。
 さて、P介くんが水着に着替えることができなかった理由は何でしょうか?


【質問と解説】

チエコ先生 : この問題の真の問題は、P介くんが水着に着替えることができなかった理由ではなく、P介くんに対する同級生からの虐めだと思うわ。

キクちゃん : ……確かにそうですね。それに後半部でP介くんは、虐めてきた相手を突き飛ばして、頭を強打させてますから、被害者であったけど加害者にもなってしまいましたね。

チエコ先生 : ……そうね。この後、保護者同士の話し合いにもなるでしょう。

キクちゃん : ……小学校の頃って、なんだかんだいって、スポーツが得意な子が周りから一目置かれてしまうのは分かります。特に男の子の場合は……P介くんは同じ小学校にスポーツ万能な姉妹も通っているから、彼女たちと比較されて虐められてもいますし……やっぱり、P介くんは水泳の授業が嫌というか、運動音痴ぶりをからかわれて虐められるのが”怖くて”、着替えることができなかったんですか?

チエコ先生 : NO。

キクちゃん : となると……「P介くんのお腹がシクシクと痛み出しました。」という描写がありますから、P介くんは仮病ではなく本当に体調が悪くなり、着替えることができなかったんでしょうか。

チエコ先生 : NO。

キクちゃん : そうなると、なぜだろう? うーん、うーん……

チエコ先生 : 今回は先生が解説するわね。やっぱりいじめに関する問題を取り扱うのは先生もつらいわ。ねえ、キクちゃん……キクちゃんが小学生の頃に使っていたプールバッグって、どんな物だったか覚えている?

キクちゃん : ……はい。覚えています。確か、透明ビニールにパステル系でアイスクリームの絵がいっぱい描かれている巾着型のプールバックだったと思います。私、可愛いものが大好きだったんで、いえ、今も大好きですけど……

チエコ先生 : そうね。全体的に、女の子は可愛いものが好きな傾向にあるわよね。でも、同じ女の子でもそうじゃない子もいるのよ。

キクちゃん : あ! まさか……P介くんの姉妹は「超がつくほどスポーツ万能でボーイッシュな物が大好きな少女たち」とありますから、彼女たち2人のプールバッグもボーイッシュな物……つまりは、全体的に男の子が選ぶ傾向にあるプールバッグだったということでしょうか? P介くんは、彼女たちのどちらかのプールバッグを間違えて持ってきてしまった。当然、プールバッグの中に入っているのは女児用のスクール水着で、だからP介くんは水着に着替えることができなかったということですか?

チエコ先生 : YES。正解よ。プールバックの中の水着を見られてしまったP介くんは、「オトコオンナ!」とか「ヘンタイ!」とか囃し立てられて、ついにキレてしまったのよ。


(完)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません

紫楼
ファンタジー
 母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。  なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。  さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。  そこから俺の不思議な日々が始まる。  姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。    なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。  十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...