1 / 1
勇者志望の彼が志半ばで死んだ理由
しおりを挟む
【問題】
二人の青年、ギデオンとダライアスは、勇者養成学校の同期であり親友でした。
勇者養成学校は、指導教官や先輩の言うことには絶対に服従であり、また訓練や集団生活は厳しいものではありましたが、彼らは勇者になるという夢を胸に、日々励ましあっていました。
そんなある日のこと、彼ら二人は勇者養成学校の実習で、とあるダンジョンを攻略することとなったのです。
実習とは言っても、まさに命がけの実習です。
攻略に失敗してしまえば、そこで終わり。ゲームオーバー。
”復活”などあり得ません。
彼ら二人は嫌な予感がしました。
ギデオンは自分の身よりも、ダライアスの身を案じずにはいられませんでした。
もう二度と彼に会えないのではないかと、彼とともに勇者となるという夢はここで潰えてしまうのではないだろうか、と。
ギデオンのその想像は現実のものとなりました。
ダンジョンからギデオンは無事に生還しましたが、ダライアスにそれは叶わなかったのです。
こんなことであいつが死んでしまうなんて……!
ダライアスたちの遺体を発見したギデオンは、彼の無念を思い落涙せずにはいられませんでした。
さて、ギデオンが生還し、ダライアスが志半ばで命を落とした理由は何でしょうか?
【質問と解答】
キクちゃん : 勇者養成学校が実在するのかはさておき、同じ夢に向かって邁進していた親友の死は哀しいですね。これはギデオンさんとダライアスさんは、同期とは言えども、その実力に大きな差があったんではないでしょうか? 努力は大切だと思いますが、生まれ持った身体能力にはやはり努力だけでは越えられぬ壁があると思います。ギデオンさんは優等生で、ダライアスさんは劣等生みたいな感じだったのでしょうか?
チエコ先生 : NO。ギデオンさんもダライアスさんも、生まれ持った身体能力含め、その実力はほぼ伯仲していたわ。命がけの夢であるからこそ、互いに足手まといになることなく、高めあえる同レベルの同期であり親友だったのよ。
キクちゃん : 彼らの実力に大きな差はないんですね。となると、何だろう? もしかして、ギデオンさんは最強の装備という万全の体勢でダンジョン実習に挑むことができたのかもしれませんが、ダライアスさんはそうではなかったかもしれませんね。事前の装備が彼らの生死を分ける鍵となったんでしょうか?
チエコ先生 : 関係ありません。問題文をよく読んでみて。ダライアスさんだって、出発前に嫌な予感がしているのだから、出来得る限りの最強の装備で挑んでいたのよ。
キクちゃん : ……あ! ギデオンさんは自分だって生きて帰れないかもしれないのに、自分の身よりもダライアスさんの身を案じていますよね。そうせざる得ないほどの不安な要因があったと……ダライアスさんは高熱でフラフラの状態だったり、吐き下していたりと、体調が悪かったのでしょうか?
チエコ先生 : NO。ダライアスさんは装備に加え、体調管理も万全だったわ。
キクちゃん : うーん…………あれ? 問題文を読み返してみますと「ダライアスたちの遺体を発見したギデオンは……」とありますね。ギデオンさんは、ダライアスさんが命を落とすところを目の前では見ていなかったようですね。見てしまわなくて、良かったのかもしれませんが……ギデオンさんとダライアスさんは、同期で親友と言えども、ダンジョン内では行動をともにしていなかったんでしょうか?
チエコ先生 : YES。そうよ、その調子よ。
キクちゃん : ということは、彼らは別々のパーティーに振り分けられてしまったんですね?
チエコ先生 : YES。
キクちゃん : 彼らがそれぞれ配属されることとなったパーティーのメンバーが彼らの生死を分ける鍵となったんでしょうか?
チエコ先生 : YES。正解よ。より詳しく説明するなら、双方のパーティーのメンバーたちの実力には顕著な差はなかったのよ。実力差が激しかったのはリーダーね。リーダー一人だけのせいにするのは酷かもしれないけど、やはり壊滅的にリーダーに向いていない人っているものよ。問題文中にある通り、「勇者養成学校は、指導教官や先輩の言うことには絶対に服従」なわけだけど、ダライアスさんが振り分けられたパーティーのリーダーは後輩たちから見ても、立場が上(先輩である)であるというだけで実力や判断能力が伴っていないと不安にさせざるを得ない人材だったの。案の定、ダンジョン内では地図を読み間違えてたり、スルーしても差し支えない敵モンスターにちょっかいを出したりして、メンバーたちの体力を無駄に体力を消耗させた挙句の果てに、パーティーは全滅よ。ちなみに、ギデオンさんのパーティーはリーダーの的確な判断と指示により、誰一人として命を落とすことなく生還したわ。
キクちゃん : ということは、ダライアスさんはギデオンさんのパーティーに振り分けられていれば生還していた可能性は非常に高いんですね。その逆も然り。これって完全に運じゃないですか?
チエコ先生 : そうね。ダライアスさんならびに命を落とした他の勇者志望者たちは、その逃した運をもう取り戻すことすらできなくなってしまったわね。世の中って理不尽なことだらけよ。ちなみに、作者・なずみ智子は「彼が忍者採用試験を「不合格」となった理由【なずみのホラー便 第80弾】」も書いているわ。忍者育成学校では常に主席であったにもかかわらず、自分自身ではどうすることもできない理由で「不合格」となってしまった清蔵さんのお話よ。500字以内でまとめたショートストーリーよ。時間があったら、読んでみてね。
(完)
二人の青年、ギデオンとダライアスは、勇者養成学校の同期であり親友でした。
勇者養成学校は、指導教官や先輩の言うことには絶対に服従であり、また訓練や集団生活は厳しいものではありましたが、彼らは勇者になるという夢を胸に、日々励ましあっていました。
そんなある日のこと、彼ら二人は勇者養成学校の実習で、とあるダンジョンを攻略することとなったのです。
実習とは言っても、まさに命がけの実習です。
攻略に失敗してしまえば、そこで終わり。ゲームオーバー。
”復活”などあり得ません。
彼ら二人は嫌な予感がしました。
ギデオンは自分の身よりも、ダライアスの身を案じずにはいられませんでした。
もう二度と彼に会えないのではないかと、彼とともに勇者となるという夢はここで潰えてしまうのではないだろうか、と。
ギデオンのその想像は現実のものとなりました。
ダンジョンからギデオンは無事に生還しましたが、ダライアスにそれは叶わなかったのです。
こんなことであいつが死んでしまうなんて……!
ダライアスたちの遺体を発見したギデオンは、彼の無念を思い落涙せずにはいられませんでした。
さて、ギデオンが生還し、ダライアスが志半ばで命を落とした理由は何でしょうか?
【質問と解答】
キクちゃん : 勇者養成学校が実在するのかはさておき、同じ夢に向かって邁進していた親友の死は哀しいですね。これはギデオンさんとダライアスさんは、同期とは言えども、その実力に大きな差があったんではないでしょうか? 努力は大切だと思いますが、生まれ持った身体能力にはやはり努力だけでは越えられぬ壁があると思います。ギデオンさんは優等生で、ダライアスさんは劣等生みたいな感じだったのでしょうか?
チエコ先生 : NO。ギデオンさんもダライアスさんも、生まれ持った身体能力含め、その実力はほぼ伯仲していたわ。命がけの夢であるからこそ、互いに足手まといになることなく、高めあえる同レベルの同期であり親友だったのよ。
キクちゃん : 彼らの実力に大きな差はないんですね。となると、何だろう? もしかして、ギデオンさんは最強の装備という万全の体勢でダンジョン実習に挑むことができたのかもしれませんが、ダライアスさんはそうではなかったかもしれませんね。事前の装備が彼らの生死を分ける鍵となったんでしょうか?
チエコ先生 : 関係ありません。問題文をよく読んでみて。ダライアスさんだって、出発前に嫌な予感がしているのだから、出来得る限りの最強の装備で挑んでいたのよ。
キクちゃん : ……あ! ギデオンさんは自分だって生きて帰れないかもしれないのに、自分の身よりもダライアスさんの身を案じていますよね。そうせざる得ないほどの不安な要因があったと……ダライアスさんは高熱でフラフラの状態だったり、吐き下していたりと、体調が悪かったのでしょうか?
チエコ先生 : NO。ダライアスさんは装備に加え、体調管理も万全だったわ。
キクちゃん : うーん…………あれ? 問題文を読み返してみますと「ダライアスたちの遺体を発見したギデオンは……」とありますね。ギデオンさんは、ダライアスさんが命を落とすところを目の前では見ていなかったようですね。見てしまわなくて、良かったのかもしれませんが……ギデオンさんとダライアスさんは、同期で親友と言えども、ダンジョン内では行動をともにしていなかったんでしょうか?
チエコ先生 : YES。そうよ、その調子よ。
キクちゃん : ということは、彼らは別々のパーティーに振り分けられてしまったんですね?
チエコ先生 : YES。
キクちゃん : 彼らがそれぞれ配属されることとなったパーティーのメンバーが彼らの生死を分ける鍵となったんでしょうか?
チエコ先生 : YES。正解よ。より詳しく説明するなら、双方のパーティーのメンバーたちの実力には顕著な差はなかったのよ。実力差が激しかったのはリーダーね。リーダー一人だけのせいにするのは酷かもしれないけど、やはり壊滅的にリーダーに向いていない人っているものよ。問題文中にある通り、「勇者養成学校は、指導教官や先輩の言うことには絶対に服従」なわけだけど、ダライアスさんが振り分けられたパーティーのリーダーは後輩たちから見ても、立場が上(先輩である)であるというだけで実力や判断能力が伴っていないと不安にさせざるを得ない人材だったの。案の定、ダンジョン内では地図を読み間違えてたり、スルーしても差し支えない敵モンスターにちょっかいを出したりして、メンバーたちの体力を無駄に体力を消耗させた挙句の果てに、パーティーは全滅よ。ちなみに、ギデオンさんのパーティーはリーダーの的確な判断と指示により、誰一人として命を落とすことなく生還したわ。
キクちゃん : ということは、ダライアスさんはギデオンさんのパーティーに振り分けられていれば生還していた可能性は非常に高いんですね。その逆も然り。これって完全に運じゃないですか?
チエコ先生 : そうね。ダライアスさんならびに命を落とした他の勇者志望者たちは、その逃した運をもう取り戻すことすらできなくなってしまったわね。世の中って理不尽なことだらけよ。ちなみに、作者・なずみ智子は「彼が忍者採用試験を「不合格」となった理由【なずみのホラー便 第80弾】」も書いているわ。忍者育成学校では常に主席であったにもかかわらず、自分自身ではどうすることもできない理由で「不合格」となってしまった清蔵さんのお話よ。500字以内でまとめたショートストーリーよ。時間があったら、読んでみてね。
(完)
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
予言姫は最後に微笑む
あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。
二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる