それはプルンと揺れて【なずみのホラー便 第146弾】

なずみ智子

文字の大きさ
1 / 1

それはプルンと揺れて

しおりを挟む
 リビングで算数の勉強をしていた若菜ちゃんの前に、女神様が現れました。
 お綺麗なうえにお優しそうな女神様は「まあ、一人でお留守番中なのに自主的にお勉強をしているの? 偉いわねえ」と若菜ちゃんを褒めてくれました。

 そして、女神様は若菜ちゃんの前におっきなプリンを出してくれました。
 頂きにチョコンとホイップクリームが乗せられた”それ”は、いかにも美味しそうにプルンと揺れています。

「このプリンはね。大人になったあなたのおっぱいの大きさよ」

「え? 私のおっぱい、こんなに大きくなるの?」

 おっぱいの大きい女の人に密かに憧れていた若菜ちゃん。
 今はまだペタンコだけど、私だって大人になったら、きっとあんな風に……と若菜ちゃんは、将来への希望を胸いっぱいに膨らませていたのです。

「このプリン、食べていいわよ」

「え……えっと、でも、今ここで食べちゃったら、未来の私のおっぱいが全部なくなっちゃったりしないよね?」

「そんなことにはならないわよ。だから、安心してお食べなさい」


※※※


 若菜ちゃんが女神様からいただいたプリンを食べてから、二十年ほどの月日が経ちました。
 今や若菜”ちゃん”ではなく、若菜”さん”と呼ぶべき年齢です。
 思い返すと、あの出来事は全て夢だったのかもしれません。
 でも、若菜さんは女神様の美しさも、ほっぺたがとろけて落ちるかと思われるほどのあのプリンの美味しさも、今もなお、しっかりと覚えていました。
 さらには、現在の若菜さん自身のおっぱいも、プリンの予言通りと言える大きさに成長していたのです。
 
 そんなある日、若菜さんは偶然に小中学校の同級生であり、幼馴染でもある女性に再会しました。
 懐かしさに話も弾み、若菜さんは彼女の家にお邪魔することになりました。

 ちなみにこの幼馴染の女性は、若菜さんよりおっきなおっぱいをしていました。
 さらに付け加えるなら、彼女はおっぱいだけでなく全体的に……すなわち縦にも横にも大きい人でした。

 若菜さんのために自家製のプリンを作ってくれた幼馴染は、慣れた手付きでそれを切り分けて始めました。

 不思議な記憶を呼び覚ますプリンというスイーツに、若菜さんはつい、小学生の時に女神様にプリンをいただいたことを話してしまいました。
「たぶん、夢を見ていただけだと思うけど。夢って本当に奇想天外よね」と、変な人だと思われないように保険の言葉も付け加えたうえでです。
 
 しかし、話を聞いた幼馴染は顔色を変えました。
 若菜さんが気づいた時、幼馴染の手に握られていたナイフはプリンではなく、若菜さんの左のおっぱいに刺さっていました。

 幼馴染は喚きながら、若菜さんのおっぱいを左も右も構わずにブスブスと……グチャグチャに崩さんとするかのごとく、なおも突き刺してきます。

「あんたもあの女神様にプリンをもらっていたのね! でも、なんであんただけが幸運を独り占めしてんのよ! あんたは昔から美人だったけど、崩れもせずに美人のまま大人になったばかりか……一流大学に現役合格して、一流企業に入社して……そのうえ、もうすぐ結婚ですって……! 女神様に会ったのは私も同じなのに、女神様にプリンをもらったのは私も同じなのに…………なんで、私は大学受験に失敗し、碌な職場に巡り会えないうえに彼氏の一人もできないのよ! なんで、あんただけが何もかもうまくいっているのよ?! ズルいわよ!! ズルすぎるわよ!!!」

 あの女神様は、若菜さんにプリンを食べると幸運になる、これから何もかもうまくいくなんてこと、一言も言っていませんでした。
 幼馴染の女性にだけ、そう伝えたのでしょうか。
 いや、そんなことはないでしょう。
 女神様は、彼女たち二人にプリンをくれただけではないかと思うのですが。

 次々に襲いかかる激痛に潰されゆく若菜さんの視界で、幼馴染はなおも激しく体を……特におっぱいを激しく上下させてていました。
 若菜さんがこの世で最期に見たのは、それがプルンと揺れる光景でした。 


(🍮完🍮)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...