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第3章 王座争奪戦
46話 合宿
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放課後。
北区域の第四運動場にて。
「学校も休み期間に入ったことだし、チームで合宿を行いたいと思う!」
「が、合宿!?」
「そうだ。これまで、俺達はランニングや体幹、杖の突き方など、ワンディングの基本をやってきた。もう基礎は十分に身についているだろう。だが、試合の勝ちへ結びつけるには、相手とフィールドをよく理解し、適応しなければならない」
「フィールド、ですか?」
「ワンディングは仮想空間のフィールドに送られて試合が行われるばい。フィールドは森の中や洞窟、街中やファンタジーな世界までいろいろあるけん、試合ごとに変わるフィールドを活かせるかどうかも勝敗のカギになるとよ」
「フィールドはランダムで決まるから、決め打って練習することができない。だから、どのフィールドがきても対応できるように、いろんな場所へ練習しにいくわけだ」
「山道とかのボコボコしたフィールドとかはこの運動場とは違いますものね」
「楽しみデース!!」
「みんなの予定が良ければ、早速明日から行きたいと思うんだがどうだろう」
「あ、明日ですか!?」
「俺は構いませんよ。家でダラダラ過ごすくらいなら、時間を充実した練習に充てたい」
「私も大丈夫です!」
五条先輩と三橋さんが真っ先に答える。
「九重、どうだ」
「もちろん! 行きたいです!!」
「フフフ、みんなそう言ってくれると思って、既に宿は予約してるんだ。出発は明日の夕方! チューベローズ正門前のバス停にジャージで集合。夜行バスを入れて5泊6日だから、各自準備を頼む!」
「「はい!!」」
◇◇◇
「合宿~~~!?!?」
「そ。だからしばらく面倒は見れません」
夜飯時、フィアス軍曹に合宿のことを告げた。
「いやだ~~! 私もいく!」
「ダメです」
「なんでさ!」
「フィアスは俺達からしたら敵だからだよ!」
「酷い! 糸は私のこと敵だと思ってるんだ!」
「そうだよ! ていうか、フィアスのチームも合宿とかあるだろ」
「うん。でも私は免除されてるの。だからお願い! 私も連れてって?」
「ダメです!!」
「うわ~ん!! 糸は私が干からびて死んじゃってもいいんだ!」
「最近は青月館のバイキングとか行ってるんだろ? タダで飯が出てくるんだからこれを期にもっと活用しなさい」
「ぶー」
ワガママなフィアス軍曹を説得するのには時間がかかった。
◇◇◇
翌日の夕方17:00。
待ち合わせのバス停にて。
「すみません! 遅くなりました!」
すでにそこには、先輩が全員揃っていた。
「はは、まだ集合時間になっていないぞ。忘れ物はないか?」
「はい! 大丈夫です!」
しばらくすると水仙道行のバスが来て、それに乗り込む。
そして水仙道で電車に乗り換え、以前行った『神天町駅』よりもさらに先の『都方駅』に向かう。
娯楽の多い都会である神天町とは違い、都方はビジネス街や交通の中心となる高次元世界一の都会であり、あらゆる方面への電車やバスが出ているらしい。今日は田舎行きの夜行バスに乗る。
夜行バスが来るまで時間があったので、適当な店で晩御飯を済ませ、バスターミナルで出発を待つ。夜行バスへの乗車が可能になると、トランクに大きな荷物を預け、順番に乗り込んでいく。
さすが高次元世界、夜行バス内はカーテンで区切られた個室になっていて、入ってみるとカプセルホテルほどの横になれるスペースがある。これも【逆空間の次元】を用いた、いつものバスと同じ技術のようだ。
夜20:30、夜行バスが出発。
固室のカーテンから見える都会の夜景は、キラキラ輝く宝石の洞窟のようだった。しばらくすると高速道路に入ったので、俺はそっとカーテンを閉じ、目を閉じた。
カーテンの閉まった車内。ゴロゴロとバスのエンジン音。意外に揺れることや、寝慣れているベッドとは違うこともあり、寝ているのか寝ていないのか分からないような時間が過ぎていった。
いったい、出発してからどれだけ経っただろう。
窓のカーテンを少し覗いてみた。
すると建物の明かりが輝く夜景とは一変し、そよ風に揺れる草原と朝焼けが広がっていた。どこか懐かしいノスタルジックな田舎の光景に心を打たれた。
合宿2日目の朝、バスが田舎の駅に到着。
「みんなお疲れ様。じゃあ早速だが、体を起こすために宿舎まで走ってもらう! 俺はレンタカーで先に行ってチェックインしとくから」
「「え!?」」
「大丈夫、この道をずっと真っ直ぐ行くだけだ。遅かったやつは朝食ぬき! なんてな。ははは!!」
一ノ瀬先輩はレンタカーを借り、みんなの荷物を載せて『ブオオオオオン!』と勢いよく宿舎へ行ってしまった」
「あかん、朝食抜きはあかん! みんな、走るでっ!」
合宿に来て早々、朝のロードワークが始まった。ジャージで集合の意図はこういうことだったのか。ただ、いつもとは違う新鮮な景色だったこともあり、みんな良い気分で走ることができた。
途中までは。
「ぜえ……ぜえ……。なんだか道がボコボコしてきましたね……」
駅からしばらく行くと平原になり、さらに行くと山道になってきた。そのため、登り坂となっていて、斜面が苦しい。
「はあ……はあ……。宿舎って山の中にあるんかな……。あとどれくらいやろ……」
「あ、看板が見えてきましたよ!」
先頭を行く五条先輩が指を差した先には、『森中の宿まであと200 m』と書かれた看板があった。
「オオ、あと200 mデスね! がんばりマース!」
そして200 m進むと、宿の駐車場に一ノ瀬先輩が立っていた。
「はあ……はあ……。着いたあああ!!」
「みんなお疲れ様! さあ、まずは温泉に入ってこい! 朝食はその後だ!」
「え! 来たばっかりなのに温泉に入れるんですか!?」
「ああ。今日から5日間、ここの温泉には24時間入り放題だぞ!」
「イエーーイ!! アイラブ温泉デース!!」
先駆けて行ったジョニー先輩を筆頭に、俺達は温泉に向かった。
北区域の第四運動場にて。
「学校も休み期間に入ったことだし、チームで合宿を行いたいと思う!」
「が、合宿!?」
「そうだ。これまで、俺達はランニングや体幹、杖の突き方など、ワンディングの基本をやってきた。もう基礎は十分に身についているだろう。だが、試合の勝ちへ結びつけるには、相手とフィールドをよく理解し、適応しなければならない」
「フィールド、ですか?」
「ワンディングは仮想空間のフィールドに送られて試合が行われるばい。フィールドは森の中や洞窟、街中やファンタジーな世界までいろいろあるけん、試合ごとに変わるフィールドを活かせるかどうかも勝敗のカギになるとよ」
「フィールドはランダムで決まるから、決め打って練習することができない。だから、どのフィールドがきても対応できるように、いろんな場所へ練習しにいくわけだ」
「山道とかのボコボコしたフィールドとかはこの運動場とは違いますものね」
「楽しみデース!!」
「みんなの予定が良ければ、早速明日から行きたいと思うんだがどうだろう」
「あ、明日ですか!?」
「俺は構いませんよ。家でダラダラ過ごすくらいなら、時間を充実した練習に充てたい」
「私も大丈夫です!」
五条先輩と三橋さんが真っ先に答える。
「九重、どうだ」
「もちろん! 行きたいです!!」
「フフフ、みんなそう言ってくれると思って、既に宿は予約してるんだ。出発は明日の夕方! チューベローズ正門前のバス停にジャージで集合。夜行バスを入れて5泊6日だから、各自準備を頼む!」
「「はい!!」」
◇◇◇
「合宿~~~!?!?」
「そ。だからしばらく面倒は見れません」
夜飯時、フィアス軍曹に合宿のことを告げた。
「いやだ~~! 私もいく!」
「ダメです」
「なんでさ!」
「フィアスは俺達からしたら敵だからだよ!」
「酷い! 糸は私のこと敵だと思ってるんだ!」
「そうだよ! ていうか、フィアスのチームも合宿とかあるだろ」
「うん。でも私は免除されてるの。だからお願い! 私も連れてって?」
「ダメです!!」
「うわ~ん!! 糸は私が干からびて死んじゃってもいいんだ!」
「最近は青月館のバイキングとか行ってるんだろ? タダで飯が出てくるんだからこれを期にもっと活用しなさい」
「ぶー」
ワガママなフィアス軍曹を説得するのには時間がかかった。
◇◇◇
翌日の夕方17:00。
待ち合わせのバス停にて。
「すみません! 遅くなりました!」
すでにそこには、先輩が全員揃っていた。
「はは、まだ集合時間になっていないぞ。忘れ物はないか?」
「はい! 大丈夫です!」
しばらくすると水仙道行のバスが来て、それに乗り込む。
そして水仙道で電車に乗り換え、以前行った『神天町駅』よりもさらに先の『都方駅』に向かう。
娯楽の多い都会である神天町とは違い、都方はビジネス街や交通の中心となる高次元世界一の都会であり、あらゆる方面への電車やバスが出ているらしい。今日は田舎行きの夜行バスに乗る。
夜行バスが来るまで時間があったので、適当な店で晩御飯を済ませ、バスターミナルで出発を待つ。夜行バスへの乗車が可能になると、トランクに大きな荷物を預け、順番に乗り込んでいく。
さすが高次元世界、夜行バス内はカーテンで区切られた個室になっていて、入ってみるとカプセルホテルほどの横になれるスペースがある。これも【逆空間の次元】を用いた、いつものバスと同じ技術のようだ。
夜20:30、夜行バスが出発。
固室のカーテンから見える都会の夜景は、キラキラ輝く宝石の洞窟のようだった。しばらくすると高速道路に入ったので、俺はそっとカーテンを閉じ、目を閉じた。
カーテンの閉まった車内。ゴロゴロとバスのエンジン音。意外に揺れることや、寝慣れているベッドとは違うこともあり、寝ているのか寝ていないのか分からないような時間が過ぎていった。
いったい、出発してからどれだけ経っただろう。
窓のカーテンを少し覗いてみた。
すると建物の明かりが輝く夜景とは一変し、そよ風に揺れる草原と朝焼けが広がっていた。どこか懐かしいノスタルジックな田舎の光景に心を打たれた。
合宿2日目の朝、バスが田舎の駅に到着。
「みんなお疲れ様。じゃあ早速だが、体を起こすために宿舎まで走ってもらう! 俺はレンタカーで先に行ってチェックインしとくから」
「「え!?」」
「大丈夫、この道をずっと真っ直ぐ行くだけだ。遅かったやつは朝食ぬき! なんてな。ははは!!」
一ノ瀬先輩はレンタカーを借り、みんなの荷物を載せて『ブオオオオオン!』と勢いよく宿舎へ行ってしまった」
「あかん、朝食抜きはあかん! みんな、走るでっ!」
合宿に来て早々、朝のロードワークが始まった。ジャージで集合の意図はこういうことだったのか。ただ、いつもとは違う新鮮な景色だったこともあり、みんな良い気分で走ることができた。
途中までは。
「ぜえ……ぜえ……。なんだか道がボコボコしてきましたね……」
駅からしばらく行くと平原になり、さらに行くと山道になってきた。そのため、登り坂となっていて、斜面が苦しい。
「はあ……はあ……。宿舎って山の中にあるんかな……。あとどれくらいやろ……」
「あ、看板が見えてきましたよ!」
先頭を行く五条先輩が指を差した先には、『森中の宿まであと200 m』と書かれた看板があった。
「オオ、あと200 mデスね! がんばりマース!」
そして200 m進むと、宿の駐車場に一ノ瀬先輩が立っていた。
「はあ……はあ……。着いたあああ!!」
「みんなお疲れ様! さあ、まずは温泉に入ってこい! 朝食はその後だ!」
「え! 来たばっかりなのに温泉に入れるんですか!?」
「ああ。今日から5日間、ここの温泉には24時間入り放題だぞ!」
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先駆けて行ったジョニー先輩を筆頭に、俺達は温泉に向かった。
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