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シーズン1
第二十七話
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蓮水が「実際はこんな人間で、申し訳ないな」と、言った。
「いえ、男性だったのには驚きましたが、それは、勝手に思い込んでいただけですから」
電話の相手が泉堂だったと教えたので、凡子は、蓮水に明日のランチについても話すことにした。
「明日のお昼なんですが、もし、泉堂さんからランチに誘われても、断っていただけますか?」
蓮水が首をわずかに傾けて、目を細めた。疑うような視線を向けられているのに、凡子はつい蓮水の顔に見入ってしまう。
「理由は?」と、訊ねられた。
「泉堂さんから、明日、お昼を一緒に取ろうと誘われたので」
蓮水は眉根を寄せながら「二人きりが良いってことか?」と言った。
「そういうんではなくて、泉堂さんがいるときに、蓮水さんとどういう距離感で接すれば良いかわからないからです」
納得したのか、蓮水が頷いた。
「そうだな。その辺りはすりあわせが必要だ」
蓮水が「これからのことを話し合う前に、コーヒーをいれよう」と言った。
「私がいれます」
凡子は立ち上がったが、「次からは頼むから、今は待っといてくれ」と、止められた。
数分すると、コーヒーの芳香とともに、蓮水が戻ってきた。凡子は、自分の前に置かれたコーヒーカップを、今度はこぼしてはいけないと心の中で唱えながら、カップに両手を添えた。
「さっきから気になっていることがある。会社で会うときは今まで通りで構わないが、家では名前で呼ぶようにしてくれ。俺も、なみこと呼ぶようにする」
唐突な蓮水の言葉に、凡子は動揺して「はひ?!」と、変な声を出した。
あれほど気をつけようとしていたのに、持ち上げかけていたカップが傾いて、熱いコーヒーが指にかかった。
「熱い!」
「大丈夫か?」
凡子がカップをほとんど持ち上げていなかったおかげで、わずかにかかっただけですんだ。
「念のために冷やそう」
蓮水に案内されダイニングキッチンに入った。リビングからは見えない位置だったがすぐ隣だった。結構広い空間に、アイランド型システムキッチンがあって、カウンターチェアが二つ並べてある。ほとんど物がなく、がらんとしていた。壁面の棚に、コーヒーマシーンとワインセラーが置いてあるのが見えた。冷蔵庫が見当たらない。
「あの、蓮水さん……」
蓮水はすかさず「家では名前で呼ぶように」と、言った。
「それは、無理かもしれないです……」
「君は……」
蓮水は咳払いをした後に「なみこの名字も、もう、蓮水になったんだから、名字で呼ぶのはおかしい」と、言った。
蓮水に指摘されたが、凡子は名字が変わったとしても、それは戸籍上のことだけだと、内心思った。
「俺が結婚を報告したら、必ず叔父達から会わせるよう言われる。そこで、今のようなよそよそしい態度や、『蓮水さん呼び』をされると、偽装だとすぐにばれる」
「あーなるほど……」
蓮水の言うとおりだと、凡子は納得した。
蓮水が、凡子の背後に立った。背中に、蓮水の体温が伝わってくる。途端に緊張が走る。
「このくらいで強ばらないように、夫婦らしい距離感になれてもらう必要がある」
蓮水の言い分は理解できる。それでも、こんな満員電車並みの密着に耐えられそうにない。
「心配しなくても、叔父たちの前でスキンシップをしようと言ってるわけじゃない」
「そんなことになったら、たぶん、失神します」
蓮水は「わかっている」と笑った。
蓮水が水をとめ手を拭いてくれた。凡子の指を確認して「薬を塗るほどではなさそうだ」と言った。
「とりあえず、これからのことをいろいろ決めていこう」
促されて、リビングに戻った。
まずは、お互いの家族構成の確認からはじめた。
蓮水には兄弟はおらず、いとこは同じ歳の男性と、三つ下の女性の二人らしい。
「挙式しなければ、いとこには会わずにすむだろう」
「挙式なんて、とんでもないです」
蓮水と結婚したことを、周囲に知られるのは困る。
「俺も、準備に時間を取られるのはごめんだ」
凡子は、自分の家族構成を蓮水に説明した。
「お義母さん、すごい人なんだな」
蓮水から「友人に言う言わないは任せるけれど、さすがに、ご両親に入籍したと報告しないとな。そのうち挨拶をさせてもらいたい」と言われた。
「次、NYから帰って来たら、話します」
「いつごろになりそう?」
「母の仕事次第なので、わかりません」
「二人でNYにご挨拶へうかがってもいいかもな」
凡子は気乗りしなかったが、「そうですね」と返した。
「しばらく海外へは行ってないから、取材でもしたいな」
蓮水の言葉に凡子は即反応した。
「五十嵐室長のNY編ですか! 読みたいです!」
蓮水は笑いながら、「どちらにせよ、少し先の話になる」と言った。まだしばらくは、仕事の忙しさが落ち着かない見込みらしい。
蓮水から「二人のなれそめなど、いろいろと矛盾の無いように決めておこう」と言われた。
「なれそめですか? 私が蓮水さんと結婚すること自体に矛盾があるように感じますが……」
「そんなことは無いだろう。実際、俺は君以外との結婚はまったく考えられなかったんだから」
字面は、熱烈な愛の告白のようだ。
「事実をベースにするのはどうでしょう。私が恋様のファンだったと」
「俺が水樹恋だと知ってるのは、この世の中で君だけだからな。これから先も誰にも話す予定はない」
「泉堂さんも知らないんですか?」
「泉堂と俺はバディではあるが、お互いプライベートな部分はあまり触れないからな」
「バ、バディ……良い響きですね……」
「泉堂はとにかく気が利くんだ。学生時代同じゼミで、泉堂に手伝ってもらうとなんでも滞りなく進んだから、叔父に俺とセットで入社させてもらいたい人材がいると頼んでみたんだ。即、了承をもらえて、泉堂も快く引き受けてくれて、今に至る」
瑠璃が二人の経緯を聞いたら、妄想を膨らませそうだ。泉堂が気が利くタイプなのは、凡子にもわかった。人をよく観ている印象だ。
「蓮水さんが社長のご親族というのは、商社の方では皆さんご存じなんですか?」
「いや、ごく一部しか知らないな。泉堂には口止めしてある」
たしかに、周知の事実であれば瑠璃が知らないはずがないと、凡子は思った。
蓮水から、早く決めてしまおうと言われた。
「俺と君は、本社ビルの入り口で、週に一度、顔を合わせてきた」
「そうですね。蓮水さんが来られたから、月曜日が待ち遠しかったです」
蓮水が「ん?」と言って、首を傾げた。
凡子は自分が口をすべらせたことに気づいた。蓮水を五十嵐室長の化身と思っていたことは知られたくない。
「ほら、蓮水さんも泉堂さんも素敵なので……」と、言い訳した。
「どうでもいいが、『樹』と呼ぶようにしてくれ」
「わかりました。少し練習しますね。い、樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん」
「いつまで言い続ける気だ」
蓮水から遮られた。
「あと百回は練習しないと……」
「わかった。練習は一人の時にしてくれ」
蓮水が「話がすすまないから、俺がそれらしい内容を考える」と言い出した。
「普段、会社で顔を見かける程度の相手と進展するにはきっかけが必要だ。俺かなみこかどちらかからアプローチするか、もしくは、偶然社外で会って話をするようになるか」
「い、樹さんからアプローチはありえませんし、私は分をわきまえておりますので」
「それじゃあ、偶然、社外で会ったのをきっかけにしよう。ランチに出た先で隣の席になるくらいが自然で良いかもしれないな」
凡子は、蓮水の話を聞きながら、泉堂と話すようになった経緯を思い出していた。
「いえ、男性だったのには驚きましたが、それは、勝手に思い込んでいただけですから」
電話の相手が泉堂だったと教えたので、凡子は、蓮水に明日のランチについても話すことにした。
「明日のお昼なんですが、もし、泉堂さんからランチに誘われても、断っていただけますか?」
蓮水が首をわずかに傾けて、目を細めた。疑うような視線を向けられているのに、凡子はつい蓮水の顔に見入ってしまう。
「理由は?」と、訊ねられた。
「泉堂さんから、明日、お昼を一緒に取ろうと誘われたので」
蓮水は眉根を寄せながら「二人きりが良いってことか?」と言った。
「そういうんではなくて、泉堂さんがいるときに、蓮水さんとどういう距離感で接すれば良いかわからないからです」
納得したのか、蓮水が頷いた。
「そうだな。その辺りはすりあわせが必要だ」
蓮水が「これからのことを話し合う前に、コーヒーをいれよう」と言った。
「私がいれます」
凡子は立ち上がったが、「次からは頼むから、今は待っといてくれ」と、止められた。
数分すると、コーヒーの芳香とともに、蓮水が戻ってきた。凡子は、自分の前に置かれたコーヒーカップを、今度はこぼしてはいけないと心の中で唱えながら、カップに両手を添えた。
「さっきから気になっていることがある。会社で会うときは今まで通りで構わないが、家では名前で呼ぶようにしてくれ。俺も、なみこと呼ぶようにする」
唐突な蓮水の言葉に、凡子は動揺して「はひ?!」と、変な声を出した。
あれほど気をつけようとしていたのに、持ち上げかけていたカップが傾いて、熱いコーヒーが指にかかった。
「熱い!」
「大丈夫か?」
凡子がカップをほとんど持ち上げていなかったおかげで、わずかにかかっただけですんだ。
「念のために冷やそう」
蓮水に案内されダイニングキッチンに入った。リビングからは見えない位置だったがすぐ隣だった。結構広い空間に、アイランド型システムキッチンがあって、カウンターチェアが二つ並べてある。ほとんど物がなく、がらんとしていた。壁面の棚に、コーヒーマシーンとワインセラーが置いてあるのが見えた。冷蔵庫が見当たらない。
「あの、蓮水さん……」
蓮水はすかさず「家では名前で呼ぶように」と、言った。
「それは、無理かもしれないです……」
「君は……」
蓮水は咳払いをした後に「なみこの名字も、もう、蓮水になったんだから、名字で呼ぶのはおかしい」と、言った。
蓮水に指摘されたが、凡子は名字が変わったとしても、それは戸籍上のことだけだと、内心思った。
「俺が結婚を報告したら、必ず叔父達から会わせるよう言われる。そこで、今のようなよそよそしい態度や、『蓮水さん呼び』をされると、偽装だとすぐにばれる」
「あーなるほど……」
蓮水の言うとおりだと、凡子は納得した。
蓮水が、凡子の背後に立った。背中に、蓮水の体温が伝わってくる。途端に緊張が走る。
「このくらいで強ばらないように、夫婦らしい距離感になれてもらう必要がある」
蓮水の言い分は理解できる。それでも、こんな満員電車並みの密着に耐えられそうにない。
「心配しなくても、叔父たちの前でスキンシップをしようと言ってるわけじゃない」
「そんなことになったら、たぶん、失神します」
蓮水は「わかっている」と笑った。
蓮水が水をとめ手を拭いてくれた。凡子の指を確認して「薬を塗るほどではなさそうだ」と言った。
「とりあえず、これからのことをいろいろ決めていこう」
促されて、リビングに戻った。
まずは、お互いの家族構成の確認からはじめた。
蓮水には兄弟はおらず、いとこは同じ歳の男性と、三つ下の女性の二人らしい。
「挙式しなければ、いとこには会わずにすむだろう」
「挙式なんて、とんでもないです」
蓮水と結婚したことを、周囲に知られるのは困る。
「俺も、準備に時間を取られるのはごめんだ」
凡子は、自分の家族構成を蓮水に説明した。
「お義母さん、すごい人なんだな」
蓮水から「友人に言う言わないは任せるけれど、さすがに、ご両親に入籍したと報告しないとな。そのうち挨拶をさせてもらいたい」と言われた。
「次、NYから帰って来たら、話します」
「いつごろになりそう?」
「母の仕事次第なので、わかりません」
「二人でNYにご挨拶へうかがってもいいかもな」
凡子は気乗りしなかったが、「そうですね」と返した。
「しばらく海外へは行ってないから、取材でもしたいな」
蓮水の言葉に凡子は即反応した。
「五十嵐室長のNY編ですか! 読みたいです!」
蓮水は笑いながら、「どちらにせよ、少し先の話になる」と言った。まだしばらくは、仕事の忙しさが落ち着かない見込みらしい。
蓮水から「二人のなれそめなど、いろいろと矛盾の無いように決めておこう」と言われた。
「なれそめですか? 私が蓮水さんと結婚すること自体に矛盾があるように感じますが……」
「そんなことは無いだろう。実際、俺は君以外との結婚はまったく考えられなかったんだから」
字面は、熱烈な愛の告白のようだ。
「事実をベースにするのはどうでしょう。私が恋様のファンだったと」
「俺が水樹恋だと知ってるのは、この世の中で君だけだからな。これから先も誰にも話す予定はない」
「泉堂さんも知らないんですか?」
「泉堂と俺はバディではあるが、お互いプライベートな部分はあまり触れないからな」
「バ、バディ……良い響きですね……」
「泉堂はとにかく気が利くんだ。学生時代同じゼミで、泉堂に手伝ってもらうとなんでも滞りなく進んだから、叔父に俺とセットで入社させてもらいたい人材がいると頼んでみたんだ。即、了承をもらえて、泉堂も快く引き受けてくれて、今に至る」
瑠璃が二人の経緯を聞いたら、妄想を膨らませそうだ。泉堂が気が利くタイプなのは、凡子にもわかった。人をよく観ている印象だ。
「蓮水さんが社長のご親族というのは、商社の方では皆さんご存じなんですか?」
「いや、ごく一部しか知らないな。泉堂には口止めしてある」
たしかに、周知の事実であれば瑠璃が知らないはずがないと、凡子は思った。
蓮水から、早く決めてしまおうと言われた。
「俺と君は、本社ビルの入り口で、週に一度、顔を合わせてきた」
「そうですね。蓮水さんが来られたから、月曜日が待ち遠しかったです」
蓮水が「ん?」と言って、首を傾げた。
凡子は自分が口をすべらせたことに気づいた。蓮水を五十嵐室長の化身と思っていたことは知られたくない。
「ほら、蓮水さんも泉堂さんも素敵なので……」と、言い訳した。
「どうでもいいが、『樹』と呼ぶようにしてくれ」
「わかりました。少し練習しますね。い、樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん樹さん」
「いつまで言い続ける気だ」
蓮水から遮られた。
「あと百回は練習しないと……」
「わかった。練習は一人の時にしてくれ」
蓮水が「話がすすまないから、俺がそれらしい内容を考える」と言い出した。
「普段、会社で顔を見かける程度の相手と進展するにはきっかけが必要だ。俺かなみこかどちらかからアプローチするか、もしくは、偶然社外で会って話をするようになるか」
「い、樹さんからアプローチはありえませんし、私は分をわきまえておりますので」
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