エピソードd 〜空色の幻想〜

亜夏羽

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第1章

第2話 トモダチ

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ひょんなことから僕、柚浦大は……


















桃源郷に来ました。















…………いや、は?
どうしてこうなったって?
知らんわ!神社でお願い事したらこうなったんじゃい!
……コホン、本題に戻ろう。こんなこと思ってるとヤベー奴に思われる。

僕は、新しくできた友達ケイと一緒に、どうやって帰るかをまず模索中です。













「おーい、大センセ?これからどうするん?」
「えー、どうするって言われてもなぁ……あの建物の中にいたりとか?」
「あそこはあかんよ。衛生的に無理だし。緊急事態の時用なんや。………あ!いいこと思いついた!」
「何、どうしたの?」
「俺ん家行けば良いんや!着いてこーい!!案内したる!」
「えぇ……ちょ、歩くん早いって、うわ草原」
「何を笑ってん」
「そういう意味じゃねえわ、景色のことだよ」
「あー、ええやろ?この景色!いつもここら辺でお弁当食べてん。明日から一緒に食べようや!」
「良いなぁそれ、明日行く」

ケイがどうやら家を案内してくれるらしいので、草原を歩いて行くことになった。

めっちゃくちゃ綺麗な草と花があってすごくいい。やっぱ桃源郷ってすげぇ居心地いいんだなぁ。

「俺ん家、着いたで~」
「え、お屋敷じゃん……すご」
ケイの家に着いたら、凄く驚いた。何故ならとてつもなく大きい和風なお屋敷だったからだ。
いいなぁ、自分の家はマンションで犬も飼えないのに。

「中は出入り自由。後でお布団の部屋用意するし、ご飯も作れるから心配しないでも大丈夫やでな」
「すっげ……ありがとう!ケイ!」
「どーいたしまして」
僕がお礼を言うと、ケイはニカッと人懐っこい笑みを浮かべてくれた。
神だ。ここに神がおる。











in ケイの家~

「そういえば、帰っちゃうん?元の世界に戻れるようになったら」
「あー。戻る、かな。その時は」
「なんでなん?」
「戻ったら学校とか、その他もろもろが待ってるからね」
「ふーん……」
「それがどうかした?」
「あー、いや……なんでもねぇわ」
「そうか」
「なんで帰ってしまうん?友達、向こう行ったら」
「……あー、作らんよ」 
「え」
「というか、ここにいたいっていうのもあるんだよね」
「じゃあ、ずっとここいる?」
「多分」
「そか……」
いきなり、ケイの家でくつろいでいるとそんな質問が来たので思わず聞いてしまった。

「なんで、急に帰る時のこと聞いたんだ?」
「ん、俺も友達いないからや。ここにはたくさん人いるけどな、あまり喋らんの」
「なるほど」

寂しがり屋さんなんかこの人は。


「あー、お菓子いる?」
「急だな、お願いしてもいい?」
「おん」
ケイは頷くとどこかへ行ってしまった。
暇だなぁ、何しよう。
スマホは充電中だし、ゲームなんてものは無い。あこれ詰んだ。

と、その時、

ピーンポーン……と音がした。

「ケイー、僕が出てくるね」
と、割と大きめな声で言ったあと、ドアを開けたら……














「あんた誰?」

見知らぬ少女が僕を凝視していた。















次回へ続く。
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